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旅行記:アメリカ国立公園(世界自然旅)

36.展望しまくり (2003/7/1:晴時々曇

 バス利用で縦走

 今日から7月。シャトルバスの運行も開始されたので、グレイシャー最終日はメニー・グレイシャーからローガン・パスまで縦走する。この区間は非常に展望が良いので、最終日にふさわしい選択となるだろう。

 まずはMany Glacier Campgroundにスペースを確保し、車を置いていざ出発。この辺りもクマがよく出没すると言われているので、慎重に歩いていく。レッドロック・レイク(Redrock Lake)、ブルヘッド・レイク(Bullhead Lake)と、ほぼ平坦なトレイルを快調に進む。周囲はグレイシャーらしい切り立った岩山に囲まれ、朝から気持ちの良い限りである。

Redrock Lake
レッドロック・レイク

Bullhead Lake
ブルヘッド・レイク

 淡々とブルヘッド・レイクの端まで歩くと、岩壁に行く手を遮られ、いよいよ急登が始まる。かなり登るが、道はジグザグに切られているので、マイペースで歩けば問題ない。登るにつれて景色は開け、先ほど歩いた道と湖が眼下に広がり出した。あまりに素晴らしいので、思わず途中で足を止め、この景観をしばらく眺めた。

Swiftcurrent Valley
来し方を見下ろす

  この急登をこなすと、道は緩やかになるが、雪混じりとなって少々歩きにくい。雪解けしたところからは花が咲き始め、春間近といったところか。今日は天気も良いので、何ら問題なく登ることができた。

  こうして3時間ほどでスウィフトカレント・パス(Swiftcurrent Pass)に到達すると、西側が急に開け、今まで見られなかった山々が見えるようになった。そして、まもなく分岐に差しかかる。ここを右に進み、スウィフトカレント・マウンテン(Swiftcurrent Mountain)に登れば抜群の展望が得られる(ロンプラには"One of the most panoramic lookouts anywhere in the Rockies"と書かれている)ので、迷うことなく足を進めた。

Swiftcurrent Pass
スウィフトカレント・パスより

 急登の果ての大展望

  ここも急登となるが、一歩一歩着実に登っていく。次第に眺望が広がり、道中では雷鳥が現れ、勇気づけてくれている。そして、30分あまりで頂きに立つと、そこはまさに360°の大展望。東西南北全てが絵になる景色となっている。風が強くて寒く、頂上にある小屋には誰もいなくて寂しいが、この超展望を独り占めできるとは、望外の喜びだ。

Swiftcurrent West
西面の眺め

Swiftcurrent North
北面の眺め

  それにしても、こんな景色を眺めていると悩みも吹っ飛ぶ。アメリカに来てからというもの、自分の旅のスタイルが他人(特に日本人観光客)とあまりに違うので疑問を抱いたりもしたが、そんなことはどうでも良くなった。自分の信じる道を行けば良いのだ!

Swiftcurrent East
東面の眺め

Swiftcurrent South
南面の眺め

  ここで昼食ともども1時間あまり展望を満喫したら、納得の下山。分岐まで戻ったら、少し下ってグラニット・パーク(Granite Park)に向かう。この頃から人をポツポツ見かけるようになり、シャレーの近くまで歩くと、結構な混雑となっていた。しかしそれより驚いたのは、ここに咲くグレイシャー・リリーの多いこと。雪解けした斜面がお花畑となっており、まるで黄色い絨毯が敷かれたようだ。

Granite Park
グラニット・パークのお花畑

Glacier Lily at Granite Park
グレイシャー・リリーが咲き誇る

 ここからはハイライン・トレイル(Highline Trail)を南下していく。緩やかな道を歩くと、しばらくでグリンネル氷河を望む展望台への分岐が登場。そろそろ最終バスの時間が気になり始めたが、ここで通過してしまうと後で後悔するので、急いで登ることにした。

  この道、たかが1km程度だが、標高差約300mの急登なので、そう簡単にはたどり着けない。急いだせいもあって、途中で息が上がり、思うように登れなくなってしまった。それでも苦しみながら登っていくと、ガーデン・ウォールの尾根に登りつき、ゴウルド山(Mt Gould:2911m)とグリンネル氷河が一望のもととなった。

 久々に苦しめられたが、この展望は一級品。苦労して登ってきた価値はあった。尾根は非常にやせていて、足元からスパッと切れ落ちている。恐ろしいほどの景観だ。

Grinnell Glacier
グリンネル氷河を見下ろす大展望

  本当ならここでゆっくり休みたいところだが、もう終バスまで2時間を切ってしまったので、写真を撮ったら足早に引き上げる。下りは楽なもので、駆けるようにして分岐に舞い戻り(危ないので良い子にはお勧めできない)、休む間もなく歩を進めた。

  ここからは、ガーデン・ウォールの中腹をアップダウンを繰り返しながら南下していく。左手に岩壁を見上げ、右手にはGTTSを見下ろす大展望が広がって素晴らしいのだが、時間が迫っているので、巻き気味で歩かざるを得ない。今日の行程は長いので、ある程度は覚悟していたが、やはり残念である。

Highline Trail
ハイライン・トレイルをゆく

Marmot
マーモット

 トレイルは意外に距離があり、焦りとは裏腹に、なかなかゴールが近づかない。草原を駆けるように歩き、ヘイスタック・ビュート(Haystack Butte)を越えていくと、GTTSはすぐ下を走るようになってきた。もう時間がない、急げ!

 まさかの「遅刻」

  残りわずかとなってきたところで、トレイルは絶壁をくりぬいたような箇所を通る。なりふり構わず進んでいくと、岩場の張り出しで、マウンテンゴートが突如目の前に現れた。うわぁ!ぶつかりそうな勢いだったが、驚いたのはむしろ向こうのようで、行き場を失って右往左往している。仕方なく道を開けるも、もはやパニック状態で気づかず、慌てて引き返していく。だが、道は狭くて逃げ場がない。どうするゴート君!?

  もう残り10分となったので、早く抜け出したい…だが、この状態はいかんともし難く、マウンテンゴートを追って歩いていくばかり。しばらくしてようやく鎖の外に逃げ出すと、今まで怖い思いをしたのか、ゴート君はお漏らしをしてしまった。ごめんね、と心の中で謝りつつ先を急ぎ、目前のローガン・パスへと駆けていく。そして、何とか出発1分前に峠に到着することができた。

 これで安堵してバス停で待つが、バスは一向にやってこない。遅れているのだろうか…すると、しばらくして不審に思った人が「もうバスは出たよ」と言ってきた。そんなバカな、今回はアメリカ対応の電波時計を使っているので、時計は1秒たりとも狂っていない。間違いなく1分前に来たのだ!と説明しても、係りの人は「バスは運転手の判断で出発しちゃうからね」と冷たい一言。どうしよう…

  何としても明朝にはカナダに入国したいので、その前にキャンプ場に戻らなければならない。しかし、これから歩いても10時間以上はかかるし、夜間は極めて危険だ。こうなったら、危険を承知のうえで、ヒッチハイクするしかない!

Bighorn Sheep
ビッグホーン・シープ

  峠の駐車場にビッグホーン・シープが現れ、心を少し和ませてくれる中、いざヒッチ開始。だが見ず知らずの東洋人を乗せてくれる車などなく、皆平然と通過していく。仕方なくしばらく自力で下り、Siyeh Bendまで歩いたところで断念。再び挑戦すると、20台目ぐらいでようやくRV車が止まってくれた。親切な家族連れで、セントメリー・レイク湖畔にあるライジングサン(Rising Sun)までならOKとのこと。とにかく前進することが大事なので快諾し、一気に下っていった。

  車から降ろしてもらったら、改めてヒッチを試みる。またも苦戦を強いられたが、しばらくしてバックパッカー風のカップルが拾ってくれた。今度はバブまでなら構わないというので、同乗させてもらう。そして3度目のトライは、意外にあっさりと、若いカップルにさらってもらうことができた。

  こうして、一時はどうなることかと思ったが、なんとか日暮れ前にメニー・グレイシャーに戻ることができた。まさに「情けは人のためならず」。きっとグランドティトンでヒッチハイカーを拾ったのが、周り巡って今回の幸運に繋がったのだろう。ともかく一件落着であった。

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