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旅行記:アメリカ国立公園(世界自然旅)

9.キャニオンの底へ (2003/5/30:晴後曇

 見残し展望台

 今日からは1泊2日で、ついにグランドキャニオンの底に向かう。これは、グランドキャニオンに行ったら是が非でも実現しようと思っていた夢。ようやく現実のものとなった。

  ただ、序文にも書いたように、谷底のファントム・ランチのロッジもキャンプ場も満杯で、予約は不可であった。そこで苦肉の策として、今回は登り返した先のインディアン・ガーデン(Indian Garden)のキャンプ場を確保。テントと食料を担ぎ、1日で全行程の2/3近くを歩くはめとなったが、止むを得ないところだ。

 まずは早起きしてマーサー・キャンプ場を出立し、バスでキャニオンビュー・インフォメーション・プラザへ。ここでトレイルヘッドに向かうバスに乗り換える。乗り合わせた人たちは皆バックパックを背負っていて、いかにもこれからハイキング!といった格好だ。そして、皆トレイルヘッドで下車していったが、私はここでは降りず、いったん先のヤキ・ポイントに向かうことにした。ここは、サウスリムの中で唯一見残していた展望台。これを見逃して下るわけにはいかない。

  バスは私だけをつれて、展望台で停車。日の出が終わったところで、周囲には誰もおらず静かだ。もうさんざん展望台からキャニオンを眺めていたので、大感動とはいかなかったものの、思う存分この光景を目に焼きつけるのであった。

Yaki Point
ヤキ・ポイント

 しばらくして、次のバスがやって来たので乗車。本来ならインフォメーション・プラザまで直行するのだが、客が1人しかいないので運転手と交渉し、トレイルヘッドへの分岐で降ろしてもらう。後は歩きで向かうが、既に先陣が出発したせいか、トレイルヘッドは思いのほか混雑していない。眼下を見やると、これから下るサウスカイバブ・トレイル(South Kaibab Trail)が良く見える。ここから谷底までの標高差は1433m(!)。いよいよ歩行開始だ。

South Kaibab Trailhead
サウスカイバブ・トレイルをスタート!

 灼熱の谷底へ

 下り始めると、あっという間に高度を落としていくが、道は緩やかに作られていて歩きやすい。景色の良いところで小休止していると、目の前にコンドル(Condor)が登場、写真を撮ってくれと言わんばかりにポーズを取っている(番号が付されているので、調査対象なのだろう)。さらにジグザグに下ると、先ほどまで眼下にあったシーダー・リッジ(Cedar Ridge)に到着。多数のハイカーが休憩していたので、さっさと次に向かうことにした。

Condor at South Kaibab
コンドル登場

O'Neill Butte
オニート・ビュートへ

  しばらくは緩めの道が続いたが、オニール・ビュート(O'Neill Butte)の手前で突然つづら折の急降下がスタート。個人的には小気味良い道で良いのだが、足の弱い人には辛いらしく、先を行っていた人たちがどんどん近づいてくる。登りの人たちもチラホラ現れだしたが、さすがにしんどそうだ。それに比べると、ラバで上がってくる人たちは非常に楽しそう(何ヶ月も前に予約し、高い金を払っているので、当然といえば当然だが)。

Mule Tour
ミュール・ツアーの人たち

Skeleton Point
スケルトン・ポイントより

 また一段下ってさらに先へゆくと、スケルトン・ポイント(Skeleton Point)に到達。ようやく眼下にコロラド川が見えるようになってきた。ここでいったん休憩し、英気を養って再び下っていくが、ここまで来ると、さすがにハイカーの数が減って、静かになってきた。風は生温かく、徐々に気温が上昇してきているが、まだ快適で問題ではなかった。

 トント・トレイル(Tonto Trail)との分岐まで来ると、小屋で家族連れが休んでいた。なんと小学生の女の子2人も一緒に歩いている(日本だと「危ない」とか言って、行かせないだろう。本当に危ないのは子供より、運動不足の大人の方なのだが)。皆暑さでバテ気味だが、今日、明日とファントム・ランチで2泊するらしい。何とも羨ましい限りだ。

  ここで少し休んだら、足早に下り始める。まだ5月下旬だと言うのに、谷底は連日40℃前後と灼熱の様相を呈しているので、何とか昼までには下っておきたいところだ。まもなく先の家族連れに追いつき、追い越して下っていくと、目の前が突き出た崖のようになっていた。ここがおそらくパノラマ・ポイント(Panorama Point)だろう、トレイルを外れて崖の先まで行ってみると、足下に、ついにファントム・ランチが見えた。もう一息!

Phantom View from Panorama Point
パノラマ・ポイントから見下ろす谷底

  ここからは再びのジグザグ急下降となるが、道は全く問題ない。次第に暑くなってくるが、一歩一歩下っていくと、コロラド川が近づき、ついに橋までやってきた。ここが紛れもなく谷底。川を渡り、平坦になった道を歩いていくと、清流とともにファントム・ランチが見えてきた。もうかなり暑かったが、なんとか3時間ほどで下りきることができた。

Colorado Bridge
ついに橋に到達!

Colorado River
コロラド川を渡る

 夕焼けの奇跡

 ファントム・ランチのロッジに入ると、中は先客で一杯であった。まずはレモネードで喉を潤し、続いて食事で空腹を満たす。昼間は灼熱なので、夕方までのんびり過ごそうと佇んでいると、不意に日本語で話しかけられた。明らかに白人だったが、実に流暢な日本語だ。聞けば、以前北海道で働いていたとかで、今はノースリム(North Rim)から下ってくる友人を待っているところだという。彼自身、今日下ってきて日帰りで登り返すというが、その友人は、ノースリムからサウスリムまで日帰りで歩くとか。これは通常3日かかるコース、谷底まで日帰りで歩かないよう注意書きがあった(命を落とす危険性があるため)が、こんな無茶をする人もいるのかと驚かされた。

  彼は久々に日本語を話せるのが嬉しいらしく、それに付き合っている間に数時間が経過していた。やがて本日の宿泊客が増えてきたので退散。外はまだ暑く、とても歩く気にはなれない(日本の真夏より若干マシな程度)ので、水辺の木陰で静かに過ごし、涼しくなるのを待つ。3時半過ぎには例の無茶ハイカーが通り過ぎていったが、ここは我慢。今しばらく待機した。

  そして午後4時、満を持してスタート。橋を渡り、1311mの標高差を登りつめていく。復路はブライトエンジェル・トレイル(Bright Angel Trail)を歩くが、こちらも整備されていて歩きやすい。しばらく川に沿って歩いた後、谷に入って徐々に高度を上げる。幸い、この頃になって雲が出始めたので、思ったほど暑くはない。デビルズ・コークスクリュー(Devils Corkscrew)と呼ばれるスイッチバックを登り、前方の岩壁を見上げながら黙々と歩くと、2時間ほどで本日のキャンプ地、インディアン・ガーデンに到着した。もっと大変かと思ったが、今日のところはそれほどでもなかった。

Colorado View
橋を渡って登り返し

Devils Corkscrew
デビルズ・コークスクリューを振り返る

  一安心でテントを設置し、食事を食べていると、陽が暮れる間際、今までくすんでいた岩壁が、突如として炎のように燃え出した。これは奇跡か…夕焼けの岩壁は諦めていたのだが、おそらくは地平線すれすれから太陽が顔を覗かせ、眼前の岩を照らしているのだ。慌ててカメラをセットし、撮影に興じていると、周囲の人たちも気づき始めて、あまりの輝きに騒ぎ出している。が、目の前の家族連れは全く気づかず、食事に夢中だ。何とか伝えてあげたい(でも恥ずかしくて言えない)…

  すると、ようやく主人が異変に気づき、こちらを見た。指で合図すると、「コンドルか?」と言って外を見る。そして "Oh, gosh! Sunset rock!!"(意訳:「うおぉ、岩壁が燃えている!!」)と興奮しながら叫び、つられて他の家族もその光景に見入った。なんだかこちらも嬉しくなって、夕焼けの奇跡が消え失せるまで、この絶景を眺めた。

Sunset Rock!
岩壁が燃えている!

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