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旅行記:アメリカ国立公園(世界自然旅)

4.冬眠中の展望地 (2003/5/20:晴

 熊さんゴソゴソ

 この日も快晴、いよいよ期待のグレーシャー・ポイントに向かう。真上にある目的地を見ながらバスを待っていると、ゴソゴソ…背後から物音が聞こえてきた。怪しいと思って振り返ると、なんと5mほど先でブラック・ベアが餌をあさっているではないか!向こうは餌探しに夢中でこちらには気づいていないようだが、さすがにビックリだ。

  様子を注視していると、まもなくカメラ小僧が追いかけてきて、さかんにシャッターを押している。それに気づいて、慌てて逃げ出す熊さん。こういう事態を招いたのは人間のせいなのに、なんだか可愛そうになってしまった(自分の身には代えられないけれど)。

 さて、無事にバスに乗車し、サニーサイド・キャンプ場近くで下車したら、まずはトレイルヘッドに向けて歩いていく。目の前には岩壁群の先に月が輝き、池に反射した姿が美しい。振り返ればヨセミテ滝も凛々しい姿を見せており、幸先の良いスタートだ。

Yosemite Moon
月と岩壁群

Yosemite Falls
ヨセミテ滝

 川を渡り、4マイル・トレイル(4 Mile Trail)に入ると、いきなり「この先通行止め」という標識が立っていた。何かの間違いだろう…気にせず進んでいくと、まもなくスイッチバックの急坂を登るようになる。しかし、上がるにつれて景色が開け、エル・キャピタンやカテドラル・ロック方面が良く見えるようになってきた。傾斜が緩み、しばらく進むと、今度は前方にハーフドームやノースドームが見えてくる。前には歩いている人がいるし、上では道の整備工事をしているので、問題なさそうだ。

 夜明け前の静寂

 再びの急登をこなすと、今度はセンチネル・ロック越しに渓谷の風景が見えるようになってくる。やがてユニオン・ポイント(Union Point)まで来ると、数人が景色を眺めて佇んでいた。確かに良い場所だが、この先はもっと良いに違いない、と歩き始めると、いきなり「通行止め」の看板とロープがあり、行く手を遮っている。そんなバカな、レンジャーは通れると言っていたのに…

Yosemite Valley
渓谷の下流方面

Sentinel Rock View
センチネル・ロック越しの風景

Union Point
ユニオン・ポイントより

 途方に暮れてしばし眺めていたが、よく見ると、岩が少し崩れかけているだけで、気をつければ通過できそうだ。他の人たちの目を盗んで前進し、首尾よく通過すると、後は先に進むのみ!なのだが、今度は残雪が道に張り出し、危険な状態となっている(いわゆる「雪庇」というやつ)。滑ったら一たまりもないが、幸いにも1人分の踏み跡がある。これを頼りに慎重に歩を進めて何とかクリア。その後もしばらくは同じような箇所があったが、滑り落ちないよう気をつけて歩き、無事通過することができた。やがて斜面が終わると、もう命を落とす心配はなくなったのでズカズカと進み、途中からは傾斜も楽になって、苦労の末、グレーシャー・ポイントが迫ってきた。

 展望台の近くまで来てもまだ雪だらけで苦戦したが、ようやく目的地に到着すると、目の前には大展望が広がっていた。目の前にハーフドームがあり、ヨセミテ渓谷やシエラネバダ(Sierra Nevada)の美しい景観が一望のもとだ。本来なら、ここは車で来られるので大賑わいだろうが、まだ冬眠中のため、非常に静かである。周りには、どこから来たのか若いカップルが1組佇んでいたが、まもなく退散。1人、この大絶景を存分に味わうのであった。

Glacier Point
グレイシャー・ポイントの絶景

  さすがにこれまでよりは疲れたが、それだけに感動はひとしお。しかも、もう1週間も経てば道路がオープンして大混雑するかもしれない一大展望台で、夜明け前の静寂を味わえるなんて、なんと贅沢なことか。幸せと感動をかみ締めていると、こちらもどこから来たのか、中年のおじさんがやって来て、私に写真を撮ってくれと、張り出した岩の上に向かった。もちろん落ちたら命はないが…無事撮影を終えることができた。

Glacier Point 2
ヨセミテ滝方面(張り出し岩アリ)

Glacier Point 3
眼下にはバーナル滝とネバダ滝も

 雪のドーム

 こうして展望台を満喫したが、ここまで来たらせっかくなので、すぐ近くのセンチネル・ドーム(Sentinel Dome)にも行ってみたくなった。時間的には微妙だったが、意を決してスタート。ところが、いきなり残雪だらけで、道がほとんどわからないほどだ。どうにか地形から判断して歩を進めていくが、雪はかなり深く、苦労の連続。おまけに人の踏み跡は皆無で、たまに動物の足跡…どう見てもクマが横切ったような足跡だけが見える。こんなところで出くわしたら、もう生きて帰れないだろう…そんな不安と闘い、足と腿を雪にうずめながら、少しずつ歩を進めていった。

 幸い分岐点は確認できたが、そこからは正規の道がわからなくなったので、方向を頼りに登っていく。すると苦難の末、森を抜けた先に真っ白いドームが見えてきた。そう、まだ雪に覆われていたのだ。もう目の前だ、と思っても、ここからは雪の急斜面で、きつくて思いのほか進めない。やっとのこと頂上に登りつめると、逆側は幾分雪解けが進んでおり、頂上の岩肌は露出している。有名なジェフリーパインが見られ(しかし同年8月、この木はついに倒れてしまった…)、ここからの展望もなかなかのものだ。とにかく疲れ切ったので、ここでしばらく休んで、雄大な景色を堪能しながら、体力の回復を図った。

Sentinel Dome
雪のセンチネル・ドーム

Sentinel Dome Pine
ジェフリーパインの木

Sentinel Dome View
ドーム頂上からの眺め

 本当なら何時間でもゆっくりしたいところだが、ここから麓までの道のりも長いので、休息もそこそこに、再び残雪著しい道を引き返していく。無事にグレイシャー・ポイントに戻ったら、今度はパノラマ・トレイル(Panorama Trail)で帰途につく。しばらくは緩い道だったが、途中からは急降下となり、やがて沢を渡る。ここからはじりじりと登り始めるが、この先、パノラマ・ポイント(Panorama Point)からの景観も素晴らしいものだ。が、陽が傾きかけてきたので、あまり休むことなく再び登り、そして再下降と、雪道で消耗した体には辛い行程であった。

Half Dome side
真横からのハーフドーム

Panorama Point
パノラマ・ポイントより

  それでも何とか歩くと、あのジョン・ミューア・トレイルに合流。しかしここにも再び「通行禁止」の看板が…いったいレンジャーの言葉は何だったのか、と思いながらも、日暮れが迫っていたので慌てて下山し、辛うじて夕暮れ前に宿に戻ることができた。疲労困憊にてすぐ眠りについたのは言うまでもない。

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