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旅行記:チベット(世界自然旅)

48.圧巻の北壁 (2004/11/2:晴

 巡礼始まる

Kailash with chorten
チョルテン・カンギとカイラス山

 カイラス山の巡礼路は、一周約52km。これを時計回りにコルラするのが、巡礼に訪れたものの目的である。チベタンは1日で歩いてしまうらしいが、さすがに旅行者は困難なので、これから3日ほどかけて歩く予定だ。幸い、今日は絶好の天気に恵まれ、日本人のカップルも歩くことに決めたようで(これが初めてのトレッキングらしい)、出だしは順調である。

 ガイドに従って歩き始め、まずは緩やかなアップダウンをこなしていくと、1時間ほどでタンボチェ(経幡広場)にやって来る。少し先にはチョルテン・カンギ(双腿佛塔)があり、カイラス南面とも相まって美しい。

 ところで、カナダ人は昨日この辺りで幕営したはずなのだが、それらしきテントが見当たらない…周囲を探してみるものの、彼の姿は発見できなかったので、もう先に行ったものと思い、我々も先に進むことにした。

 ここから、カイラスを眼前に仰ぎながら下ると、ラ・チュ(拉曲)の川原に出る。川はすっかり凍っているが、ここを少し歩くと、左手にチュク・ゴンパ(曲古寺)が現れた。寺は崖上にあるため大変そうだが、ここからの展望が良いのは知っていたので、男2人で登ってみることにした。

Kailash and Lha Chu
ラ・チュの川原に下る

 川を渡るといきなり急登が始まるが、さすがに高所のため息が切れる。それでも頑張って登り、ほどなくして寺に到達。見上げると、少しスマートになったカイラス南面が眼前に迫り、本堂の伽藍とのコントラストが見事である。結構辛かったが、これは登ってきて良かった。

Kailash from Chhuku Gompa
チュク・ゴンパからのカイラス

 北壁に周りこむ

 あいにく寺の中には入れなかったが、展望を十分満喫したところで川原に戻り、再び上流に向けて歩き始める。この先は谷間に入ってしまうため、カイラスは時々しか見えなくなるが、それでも迫力ある姿を見るにつけ、素晴らしい眺めだと感嘆してしまう。

 川の左岸(東岸)に沿って歩いていくと、しばらくで広大な砂利道をゆくようになった。川の水が引いているせいか定かでないが、結構歩きにくい…それでも、周囲の雪山は美しいし、何よりカイラスの西面が見えてきて、気持ちの良い道のりだ。中国のことだから、ここに自動車道路でも作って、バスで観光できるように「開発」しかねないが、そんなことは実現しないよう祈るばかりである。

West side of Kailash
カイラス西面

 すると、小休止を取っていたところで、後方からカナダ人が追いついてきた。見当たらないと思ったら、どうやら丘の上に上がってカイラスを眺めていたらしい。彼はそのまま自分のペースで歩いていったので、その後は成り行きで自由行動になった。

 これは私も望むところだったので、ここからは自分のペースで、周囲の景観を楽しみながら歩く。進むにつれて、西面が露わになり、徐々に北壁も垣間見られるようになってきた。この北壁こそ、カイラス巡礼で最も感動する光景だと聞いていたので、否が応にも期待は高まってきた。

West view of Kailash
西面が露わになる

North-West of Kailash
北壁が見えてきた

 そして、北側に周り込んでくると、これまで邪魔していた尾根が消えて、ついにカイラスの北壁が全貌を現した。おぉ、噂には聞いていたが、この世のものとは思えぬほどの神々しい眺めだ。まるで仏が鎮座しているかのように、鋭く切り立っていて驚かされる。その威厳のある姿を見れば、普段信心深くなくても祈りたくなってしまうほど。これぞ神の山だ。

North face of Kailash
屹立する北壁!

 神との対面

 この圧巻の姿に魅せられていると、まもなくガイドがやって来て、対岸のディラプク・ゴンパ(哲熱普寺)に泊まると伝えてきた。とりあえず了解したものの、もっと神と語り合いたいので、この先の丘に登り、ここで腰を下ろしてじっくりと神と対面する。いっけん近寄りがたいほどの威容だが、しばらく向き合っていると、仏のような優しい姿に見えてくるから不思議だ。別に悩みなど特段ないのだが、こうしてしばらくの間、聖なる山をただただ眺めていた。

 結局1時間以上対面したところで、川を渡って寺に入る。すると、ほどなくして寺の住職に招かれ、歓迎を受けることになった。ガイドも珍しく恐縮しているので、かなりの高僧なのだろう。

 さっそく定番のバター茶とツァンパをいただくが、ツァンパは高僧直々にこねたもの。その御手から有難く戴こうとすると、フッと手を引き、ニヤッと笑うではないか。ずいぶん茶目っ気のある僧だ。そして、次はそのまま戴くと、砂糖がまぶしてあって結構美味しい。親切にも次々とこねてくれ、有難く戴くことができた。

 しばらくすると、チベタンの巡礼者も現れ、住職にカタを授けて歓待を受けている。やはりこの高僧は偉い人のようだ。そして、しばらくしてお経を始めるというので、我々は退席させていただき(正座が限界だった)、宿坊に戻った。

 しかし、さすがに標高5000mの高地なので、夜になるととてつもなく寒く、着れるだけ着こんでも暖かくならない。明日はコルラ最大の難関が待ち受けているので早く寝たかったが、そう簡単なことではなかった。

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