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チベットの旗

旅行記:チベット(世界自然旅)

47.カイラス見参! (2004/11/1:晴時々曇

 カイラスに迫る

 昨夜は寒風吹きすさぶ中、何度かトイレに行く羽目になったものの、朝になるとだいぶ落ち着き、調子は上向いているようであった。そして、朝食を済ますとさっそく出発するが、この辺りはもう完全に川が凍っていて、いかに厳しい環境かがよくわかる。凍てつく大地を、カイラスに向けてひたすら走っていった。

 2時間ほど走ったところで検問となり、ここを突破したら早めの昼食(と言っても、カップ麺しかない)を食らう。それにしても、このルートを走る車は少ない…昨日といい今日といい、1日に数台しかすれ違わないのだ。もう巡礼の時期を過ぎているのかもしれないが、これではとてもヒッチハイクなどできないだろう。

 お腹を満たしたら再出発し、まもなくマユム・ラ(馬攸木拉山口:5216m)を越える。クンギュツォ(公珠錯)を横目に走っていくと、ここでチベットカモシカの群れも現れ、いよいよンガリの核心部に迫ってきた感がある。目指すカイラスも、ここまで来ればもうすぐだ。

 ところが、ここで別のランクルがパンクしてしまい、こちらもそれにお付き合い…こうした辺境の地では止むを得ないことだが、カイラス山とマナサロワール湖が間近に迫っているだけに、早く行きたいところである。

 20分ほどで復活すると、2台ほぼ同時にスタート。競うようにして先を急ぐが、見晴台まで一歩のところで、もう1台は給油に入ってしまい、こちらだけ緩やかに登って、ついにカイラスを望む場所にやって来た。やや雲が多いものの、ちゃんと頂きが見えている。あれこそ、紛れもなくカイラス山だ。

Mt Kailash overlook
カイラス見参!

 起点の街へ

 カイラス山――それはガンディセ山脈(岡底斯山)の最高峰にして、ヒンドゥー教、ジャイナ教、ボン教、そしてチベット仏教の最高の聖地である。それゆえ、昔から巡礼者が絶えなかったというが、ごく最近まで、それは過酷を極める道程であった。チベット国は長らく鎖国していたし、中国領になってからも外国人の入境は容易に認められなかった。また、たとえ潜入できたとしても、道はろくに整備されていなかったので、そう簡単にたどり着ける場所ではなかったのだ。それが、今自分の目の前に鎮座していると思うと、感動も一潮だ。

 ここまで来れば、長かった移動ももうすぐなので、左にマナサロワール湖とナムナニ(納木那尼峰:7694m)を遠望しながら、聖なる山に近づいていく。ホルチュ(霍尓区)を過ぎ、バルガ(巴嘎)の検問を突破すれば、起点となる街はすぐそこだ。ここから荒れた道になったものの、こうして2時過ぎには無事ダルチェン(大金/塔欽)に到着した。

Memonani and Lake Manasarovar
ナムナニとマナサロワール湖

 ガイドは、ダルチェンには高い宿しかないと言っていたが、私は安宿情報を入手していたので、1泊20元の四海招待所に向かう。他の同行者も追随したので、ガイドもやむなく付いてきて、ここで一緒に泊まることになった。

 すると、中には偶然にも日本人の旅行者2人がいて、彼女たちはヒッチハイクなどでここまで来て、昨日コルラを終えたところらしい。話によると、3日前に大雪が降った影響で、巡礼路は雪道になっているとのこと。幸い、まだ何とか通れるようだが、この先、天気が崩れたら行けなくなるかもしれない…

 神山燃ゆ

 ただ、この日は午後になっていっそう天気が良くなり、いつの間にか雲もなくなっていた。こうなると、カイラスの南面が夕陽に照らされる可能性が高いので、落ち着いたら準備を整え、出立する。

 情報によると、正面に見える丘を上がれば南面が姿を現すとのことなので、適当な踏み跡を見つけて登っていく。思っていたより急な斜面でてこずるが、そこを越えると傾斜が緩くなり、前方にカイラスの南面が見えてきた。もう何度も写真で見ているとはいえ、やはり目の前にすると感動ものである。

View of Darchan
ダルチェンの集落

Kailash ridge
カイラス南面を見ながら歩いていく

 踏み跡は尾根に沿って緩やかに続いているが、ここでも標高5000m近くあるので、見た目ほど楽ではない。風も強く、誰もいない中を適当に歩くが、間違っても崖下に落ちないよう気をつけねばならない。時折、背後のマナサロワール湖とラカス・タル湖(拉昴錯)、それにナムナニも眺めながら歩き続けた。

 小ピークを越えると、その先にタルチョのはためくピークが見えたので、そこを目指して登っていく。やがてピークにたどり着くと、カイラスはいよいよ正面に迫り、絶好な眺めを提供してくれる。徐々に陽が傾き、カイラスも赤らみ始めたので、夕焼けが訪れるのを待った。

 そして、ついに太陽が地平線近くまで落ちると、神山は燃えるように赤く染まった。初日からこんな姿を見せてくれるなんて、神に感謝だ。まるで仏のような優しい山容をじっくりと眺め、陽が落ちたのを確認したら、駆けるように下って、何とか暗くなる前にダルチェンに戻ることができた。

Kailash sunset
夕映えのカイラス南面

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