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チベットの旗

旅行記:チベット(世界自然旅)

33.太陽の都? (2004/10/7-9:曇時々雨

 聖都の変質

 飛行機は7日の朝7時頃、成都の双流空港を発ち、一路ラサへと向かう。機内は意外に空いていて驚いたが、まもなく横断山脈の上空を通過するようになり、乗客の多くが外の世界に釘付けとなった。私も見たかったが、あいにく中央の席をあてがわれていたので、我慢するしかない…こうして2時間ほどでラサに降り立つと、すぐにバスに乗り換え、曇り空の中を市街に向かった。

 聖都・ラサの標高は3650mもあり、多くの人はここで高山病に苦しめられるが、この1ヵ月ほど標高3000~5000mの高地にいたので、さすがに何の違和感もない。ただ、街並みはすっかり漢化されていて、大いに違和感があった。噂で聞いていたこととはいえ、秘境・チベットに来た感慨はまるでない。

 バスを降り、安宿のある旧市街まで来てようやくチベット様式の建物が見られるようになったが、それでも中華料理店(と漢民族)が多い。15年前にはチベット族が9割近くを占めていたのに、現在では少数派に転じたというから、「西部大開発」の名の下に、いかに多くの人が移住し、チベット支配を強化しているかがわかるというものだ(そのおかげで、ラサ周辺では自由に観光できるようになったとも言えるのだが…)。

 ともあれ、こうして旧市街までやって来たら、定住する宿を決める。ラサには有名な安宿がいくつかあるが、事前の情報に基づき、今回は正昌・東措国際青年旅舎(YHA)に入った。ここは1ヵ月前にできたばかりで、清潔なうえにホットシャワーあり(どこかの宿のように、トイレが汚いということもない)、洗濯が無料、インターネットも1日1時間無料と、至れり尽くせりだ。しかも、同室には西チベットからやって来たという日本人がいて、その方面の情報の入手にも成功。午後になって雨が降り出し、天気こそ不調であったが、出だしは順調であった。

 観光客が減って…

 さて、今回チベットでは、ナムツォ(納木錯)、ヤムドク湖(羊卓雍錯)、マナサロワール湖(瑪旁雍錯)の「チベット三大聖湖」と、4宗教最高の聖地であるカン・リンポチェ(岡仁波斉峰:6656m)、通称カイラス山(Mt Kailash)を目指す予定である。しかし、チベット自治区にはバスがろくにない上、外国人の入域を制限している所がほとんどなので、合法的に行こうとすれば、同行者を集めて車をチャーターしなければならない。個人的にこうしたことは大の苦手なので、果たしてうまくいくのか、不安で一杯だ。

 そこで翌日、安宿にある掲示板をチェックすると、思いのほか同行者募集の貼り紙が少なかった。日本語の掲示は見当たらないし、英語のものでも、ネパールに抜けるツアーこそ多いものの、他は皆無に等しい状態だ。噂によれば、国慶節までは多くの募集があったようだが、それ以降は観光客ともども、極端に減ってしまったらしい。連休中は混み合うからと、わざわざ避けて来たというのに、何てことだろう。

 そんな気持ちを反映してか、午後になって霙まじりの雨になってしまった。仕方なく宿に帰ろうとすると、途中で偶然にも于さんと遭遇(稲城亜丁で会って以来だ)。彼女は既にナムツォに行ってきたが、途中で大雪に降られたため、峠越えが大変だったという。現在はナムツォへの道が閉鎖されているらしく、彼女は「早く行った方が良い」と言うが、それではいつ再開するかわからない…いきなりのピンチだ。

 ナムツォは一番最初に行こうと思っていただけに、これはショックであった。雪は50cm以上積もったそうなので、溶けるまでしばらく時間がかかりそうだ。こうなったら、いったん西チベットに足を向け、カイラス山とマナサロワール湖を巡ってから出直した方が良いかもしれない…話によると、ラサからアリ(阿里)までは2日に1便バスが出ており、悪路を揺られること3泊4日でたどり着けるらしい。ツアーの見込みがない以上、それが最良の選択に思えた。

 アリ行の行方

 翌9日は多少青空が覗いたものの、相変わらず曇りがちの天気であった。ラサに来てもう3日目になるが、曇りや雨ばかりで、冴えない天気が続いている。ラサは「太陽の都」とも呼ばれ、年に300日は晴天、しかも雨季は終わったはずなのに…

 しかし、天気のせいで何もしないのは問題なので、早起きしてジョカン(大昭寺)とバルコル(八角街)に出向いてみると、実に多くのチベタンがいるではないか。バルコルではたくさんの人がコルラし、ジョカンの前では五体投地する人を大勢目にする(このお祈りは大変そうに見えるが、専用のマットを使っている人が多いし、聖地に来たのが感動的なのか、とても嬉しそうにお祈りしている)。こういう情景を見ると、ようやくチベットに来たのだと実感する。私も敬意を表し、バルコルを3周ほどコルラして、朝の散歩を終えた。

Jokhang Temple
ジョカンの前で五体投地する人々

 そして、いよいよアリ行のチケットを入手するべく、街の北にある乗り場に向かう。ミニバスに乗り、教わった場所に赴くと、そこには明日出発との掲示があった。さっそく男が近づいてきたので、アリ行を1人と、見よう見まねで伝えると、先方はさらに何やら質問してきた。が、そんなものは理解できるはずがなく、動揺を隠せない。すると隣りにいたチベタンの女性に怪しまれ、ついには英語で「日本人? 日本人はダメ!」と言われてしまった。そんなぁ…

 しかし、身元がばれてしまった以上、国営のバスには乗れるはずがない(西チベットはどこも非開放地区なのだ)。それでも諦め切れなかったので、その場でしばらくごねてみると、不憫に思ったのか、すぐ隣りにいたドライバーを紹介してくれた。彼は闇タクシーの運転手らしく、バスとほぼ同額(700元)で、11日の夕方出発だったら良いと言い出した。本当に行ってくれるのか不安だったので、いろいろ質問してみるが、特に問題ないようなので承諾。これでどうにか次の予定が決まった…かに見えた。

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