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旅行記:北欧(世界自然旅)

30.王様休業中 (2004/6/2-3:晴後曇

 いざアビスコへ

 沿岸急行船の船内は、朝早いこともあってガラガラ(いちおう6月に入ったのだが)。今日はトロムソ(Tromsø)まで丸1日の移動なので、キャビンは取っておらず、1人ラウンジで横になって仮眠を取る(他にそんな人はいない)。しばらくして起床したら、ぼんやりと外を見て過ごすが、この日も天気は優れず、せっかくのフィヨルドの景観も台無しだ。

  船はハンメルフェストで一時停泊し、ちょうど昼時だったので街に繰り出してみる。思えばこの1週間あまり、カラショクで食べたハンバーガーを除けば、パンや非常食ばかりで、ろくな食事をしていなかった。そこで奮発してフィッシュバーガーを購入! ちょっとだけリッチな気分になったのだった。

  その後、いくつかの村に寄りながら、トロムソには夜11時45分に到着。ここは意外に風光明媚なところで、周りに荒々しくも美しい山々が数多く見られる。ぜひ今度は晴天の日に来てみたいものだ。

View of Tromsø
トロムソにて

 翌日のバスは朝6時発なので、いまさらホテルに泊まる気にはなれない(YHAは6月中旬から)。そこで再び野宿を敢行するが、ここは北極圏最大の街、さすがに夜遅くなっても人が多く、ちょっとだけ危険な香りがする。しかも隠れる場所がないので、思いのほか短時間で体が震えてきてしまった。これでは朝まで持たないので、とりあえず街中を散策してみると、幸いにもファーストフード店を発見。ここで夜食を取って体を温める。3時前になって店員が掃除を始めたので退散し、それからはバス停でひたすら耐えて、どうにかナルヴィク(Narvik)行のバスに乗ることができた。

 さすがに眠くなって、バスの発車とともに転寝してしまったが、途中休憩をはさみ、気がつくと3時間ほど経過していた。空は一転して青空が広がり、周りにはフィヨルドの美しい風景が広がっている。さすがノルウェー、最後まで飽きさせない展開だ。

View around Narvik
ナルヴィク周辺の景観

 こうしてナルヴィクに到着し、11時発の列車(小中学生の団体がいたため、結構賑やか)で東に向かうと、ここもロンバックスフィヨルド(Rombaksfjorden)を眼下に眺める美しい景観が続く(車内の喧騒がなければもっと良かったのに…)。列車はやがて雪深い山の中に入り、1時間40分ほどでスウェーデンのアビスコ(Abisko)にやってきた。

Rombaksfjord from Train
ロンバックスフィヨルドを見下ろす

 山小屋がやっていない?

 このアビスコ周辺には想像以上に美しい風景が広がっていて、トルネトレスク(Torneträsk)の湖越しに見える山々、そして反対側にはラポーテン(Lapporten)の釣り尾根を始めとした、優美な雪山が連なっている(ノルウェーの荒々しい景観とは異なり、スウェーデン側は穏やかな山容になっている)。まだ木々はほとんど芽吹いておらず、相変わらず荒涼とした風景だが、これは来た甲斐があった。

Tornetrask
トルネトレスク

Lapporten
ラポーテン

 さっそくAbisko Turiststationに赴きチェックイン。ところが、今はオフシーズンのため、宿泊は可能なものの、併設のレストランやパブ、売店などは休業中。さらにビジターセンターも閉館中で、チェアリフトも運休中だという。もう6月だというのに(ガイドブックによれば、少なくともチェアリフトに関しては「6/1~7/15のミッドナイトサンの時期は深夜まで運行」と書かれているのだが)…オープンは10日後とのことで、少し早く来たばかりに大いに不便になってしまった。

 アビスコに来た目的は、「王様の散歩道」として知られるクングスレーデン(Kungsleden)を歩くことにあった。これは「ヨーロッパ最後の原野」と呼ばれるラップランドの山脈を南北に貫くトレッキング・コースで、全長は約450km、このアビスコが起点になっている。今回はとても全てを歩く余裕はないので、スウェーデン最高峰のケブネカイセ山(Kebnekaise:2117m)方面へ1週間かけて歩く、最もポピュラーなコースをゆく予定なのだが…少々不安を覚えつつ、その件について聞いてみると、山小屋は現在休業中とのこと。不安は現実のものになってしまった。

 それでは歩けないのかというと、いちおう各小屋とも数人分のベッドは開放されているので、寝床としての利用は可能だという。それなら仕方がない。食料は担いでいくとして、歩くことにしよう、と意を決したのであった。

 少し休んだら、買い出しのためアビスコの街まで数km歩いていく。辺りの景観は美しく、まだ人も少ないので気持ちが良い。だが、スーパーの品揃えは大したことなく、1週間分の食料を揃えるのも困難なほどバリエーションがない。どうにかつじつまを合わせたものの、果たしてこれで大丈夫か、不安を抱きつつ宿に戻り、出発の準備を整えた。

 初日はこんなもの

 翌3日は、あいにくの曇り空であった。昨日は良い天気で、夕方には雲もほとんど消えたので期待したのだが、やはりそううまくはいってくれない…

  初日の行程は13kmほどなので、ゆっくりと支度を整え、10時前にチェックアウト。不要な荷物を預けて、いよいよ出発となった(ちなみに、今回歩くコースはノールカロットレーデン(Nordkalottleden)とかなりの部分で重複している。これはフィンランド、スウェーデン、ノルウェーの3ヵ国を股にかけるトレイルで、全長は800kmに及ぶ!)。

Entrance of Kungsleden
クングスレーデン入口

 まずはアビスコ川(Abiskojåkka)に沿って歩いていく。川岸に近づいたところで、川はそこから小渓谷になっていた。ほぼ流れに沿って上流へと緩やかに歩いていくが、周りの木々はほとんど芽吹いておらず、天気とも相まって寒々しい風情となっている。やはりまだ春はこれから、ということなのだろうか。

Abiskojåkka
アビスコ川

 30分ほど歩いたところで分岐に到着。すると、ここで高校生風のグループが暖を取っていて、タバコはないかとせがんできた。無下に断って(持っていない)先に進むと、橋を渡ってキャンプ場に到達。ここまで約1時間、ちょうど良いので小休止とした。ここはアビスコ川の先にギロン(Giron:1543m)とトムハス(Tjåmuhas:1743m)が望めて綺麗なところだが、残念ながら曇っていて頂上部分は雲の中だ…

Falls at Abiskojåkka
アビスコ川が滝のようになっている

 ここからさらに進むと、またアビスコ川が小渓谷となって、轟音を上げているので寄ってみる。ここは滝のようになっており、正面のギロンやトムハスとの景観が抜群だ。ここで十分に景色を楽しんだら元の道に戻り、淡々と進行。この辺りは冬にスノーモービルが通るらしく、とても広々とした道が続く。やがて別のキャンプ場が現れ、ちょうど1時間ほど経ったので、ここで昼食とした。

Ábeskojávri
氷結のアベスコ湖

 歩行を再開するとまもなく、正面に大きな湖、アベスコ湖(Ábeskojávri)が現れた。が、よく見ると氷結している…氷はもうかなり薄くなっているとはいえ、見える範囲は全て氷だ。さすが北極圏、たかだか標高488mの湖なのに、侮れない。この湖岸沿いを歩いていき、湖の対岸まで行ったところで、今日の宿、アビスコヤウレ小屋(Abiskojaure stugorna)が見えてきた。小屋は無人で、事前の話通り、1つだけ部屋が開いている。中のベッドは2人用のみで、後から人が来たらどうしようとドキドキしたが、幸い誰も来なかった。

 結局、この日は晴れそうで晴れず、夕方になって少し陽が差した程度であった。まぁ、初日はこんなもの。明日以降がメインなので、そちらが晴れてくれればそれで良い。心の中にテルテル坊主を下げて、1人眠りにつくのであった。

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