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旅行記:北欧(世界自然旅)

28.果てしなき北端 (2004/5/28:曇時々晴

 ガイドブックの嘘つき!

 翌朝はまたも早起き…バスが6時前発なので、5時には起きて早々にチェックアウトし、あいにくの雨の中、バス停に向かう。ハンメルフェスト(Hammerfest)行のバスは予定通り到着したので、雨をかいくぐって乗車し、数名の乗客とともに北上を始めた。

 早起きがたたり、時々転寝を繰り返していると、いつの間にやら右手に海岸線が見えるようになっていた。そしてまもなく、乗り換えポイントに到着。ここで各方面のバスが一同に介し、休憩をはさんで皆目的のバスに乗り換えていく。ホニングスヴォーグ行は若干名のみで、フィヨルドの海岸線に沿って北上を続けた。

 ホニングスヴォーグが近づくと、逆方向から何台もの観光バスが走ってくる(きっと昨夜、ノールカップに行って来たのだろう)。やがて長いトンネルに入り、そこを抜けると最果てのマーゲロイ島(Magerøya)に上陸し、それからわずかでホニングスヴォーグに到着となった。先ほどまでの雨が嘘のように止み、時々晴れ間も覗いていた。

Honningsvåg
ホニングスヴォーグ

 さっそくツーリスト・インフォメーションに出向き、ノールカップ行バスの時間を確認する。ところが、ここでとんでもない通告を受けた。なっ、なんと、まだバスはないというのだ。そんなバカな…確かに、日本のガイドブックには以下のように書いてあるのだ!

  ホニングスヴォーグからノールカップまでの路線バスは5/18~8/30はホニングスヴォーグ12:15発、ノールカップ13:00着。帰りはノールカップ14:50発、ホニングスヴォーグ15:35着。5/25~8/30のミッドナイトサンの季節はホニングスヴォーグを21:00に出るバスがあり、沈まない太陽を楽しんでからノールカップ0:15発のバスで戻ってくることができる…

  今日は5月28日、もう「ミッドナイトサンの季節」に入っているというのに、しかも明日から3連休だというのに、バスがないなんて…バスの運行開始は10日ほど先なので、さすがに待つことはできない。これは困った。

 歩くしかない

 飛び込みのツアーもこの時期では難しいとのことなので、行く方法としては、(1)タクシーをチャーターする、(2)途中のスカルスヴォーグ(Skarsvåg)までバスで行き、残り13kmあまりを歩く、となる。(1)については、見学時間なども含めると明らかに割が合わないので駄目。こうなったら(2)の方法で、歩いていくしかないだろう。それに、もともとホニングスヴォーグに宿を取ろうと思っていたが、ここには高いホテルしかない。他方、スカルスヴォーグにはキャンプ場などもあるらしいので、滞在費を安く上げることもできる。これで決まり!(2)を採用し、歩いてノールカップを目指すことにした。

 バスは昼過ぎなので、それまで街中で待機(隠れる場所がなく、寒くて仕方がない)。そしてバスが現れると、さすがに生活用の路線とあって、10名程度しか乗車できないミニバスだ。ここに荷物ごと入り、カーモイヴァル(Kamøyvær)経由で北上していくが、想像以上に起伏が激しく、また周囲には雪がかなり残っていた。

  スカルスヴォーグには2時頃到着。近くにホテルがあったのでちょっと寄ってみるが、結構高かったので諦める。少し戻ってKirkeporten Camping(世界最北のキャンプ場らしい)で交渉すると、部屋は空いているとのこと(見るからに宿泊客は少ない)なので、ここで3泊分を確保した。

 この日の天候は曇りで、時々陽が差す程度。しかしツーリスト・インフォメーションの情報によると、週末には雪が降るらしい。本来ならノールカップで真夜中の太陽を見たいものだが、それは二の次、今日行くのが無難そうなので、身支度を整える。だが、いざ出発しようとすると雨が降り始めたので待機し、結局4時頃の出発となった。

 歩き始めて30分ほどで、分岐に差しかかり、ここを右折してノールカップへの一本道を進んでいく。この時間と天気では、帰ってくる車はあるものの、これから向かおうというのはほとんどない。周囲には数多くのトナカイが群れで生活しており、私の気配を感じると、そそくさと逃げてしまった。危害を加えるつもりは毛頭ないのだが…

 ノールカップまでは平坦な道のりと思っていたが、意外に登り続きで疲れる。しかも風が強く、非常に冷たい。我慢しながら歩いていくと、やがて雨になってしまった。景色も天気も寒々しい…

  2時間ほど歩くと、クニブシェロデン(Knivskjelodden)への分岐が現れた。実はここが本当の最北端で、片道9kmほど歩けばたどり着けるが、周囲は雪だらけ…トレイルを見ると、雪というよりアイスバーンになっている。余裕があればここも歩こうと思っていたのだが、この状況では難しいので諦めざるを得ない(ただでさえ歩くのが困難な上、入口までで片道2時間もかかるようでは、時間と体力がもたない)。

Road to Nordkapp
荒野を歩いていく

 さらに歩き続けると、しばらくで前方にドームが見えてきた。どうやらあれがノールカップのようだ。雨も止んできたので元気倍増、向かい風と闘いながら、希望に胸を膨らませて歩いていく。最初に見えたドームは偽物だったが、その先に正真正銘の岬のドームが現れた。もう少しだ。

  そして1時間後、無事ゲートに到着した。歩き始めから3時間、寒さで震えかける有様だが、それでもちゃんと入場料を徴収され、ようやく建物の中に入ることができた。暖かい…中は驚くほど閑散としていて、ほとんど人がいない。展望台のあるバーにも誰一人おらず、有名なノールカップのモニュメント前にも、たまに人が現れるぐらいだ。ここまで静かとは…

Cliffs of Nordkapp
ノールカップ

 幻滅の時

 とりあえず建物内で暖を取ったら外に出て、モニュメントの辺りを散策する。モニュメントは想像よりもずっと小さかったが、岬は断崖になっていて、まずまずの迫力だ。ひとしきり見終えると、寒くなったので再び中に入り、展示物やミニ映画などを見て過ごす。一時は雪も舞っていたが、この頃になると止んで、時折陽も差すようになってきた。これなら、もしかしたら真夜中の太陽が見られるかもしれない。若干の期待を持って、雲が晴れるのを待った。

 カフェでの夕食を終え、見晴らしの良い場所に行っても、まだほとんど人がいない。ところが、9時半過ぎになって中国人のツアー客が登場し、しばしの賑わいとなった。これで終わりかと思ったら、次々とツアー客が現れるようになり、たちまちモニュメントの周りや建物内は大混雑。軽く200~300人がたむろするようになって、先ほどまでの静寂が嘘のような喧騒になってしまった。皆真夜中の太陽を見たくて来たのだろうが、ここまで混み合うと幻滅してしまう。仮に太陽が見られなくても、もうここには来ない!と心に誓わずにはいられなかった。

 太陽は10時過ぎに一瞬顔を出したが、それからはまた雲隠れ…雲も厚くなって、光は全く差さなくなっていた。そして、いよいよ12時。しかし太陽の姿はなく、空が何となく明るいだけ…日付が変わるとともに、ツアー客たちはため息をつきながら続々と帰っていく。12時半になるとほとんど人がいなくなったが、1時には閉館してしまうので、もう時間がない…最後まで粘ってみるが太陽は現れず、一瞬海に薄光が差したのが限界であった。

Nordkapp
真夜中のノールカップ

 結局閉館の時間になったので、後ろ髪を引かれる思いで帰路につく。当然だがバスはないので、再び歩いて帰る…白夜で明るいのが幸いだが、もう眠いので淡々と前進(さすがにもう、車も通らない)。そして4時前、無事に宿に戻り、長い長い1日は終わった。

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