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旅行記:北欧(世界自然旅)

25.フィンランドを知るために (2004/5/24:曇時々雨

 納得いかぬ

 クーサモに向かったのには、もちろん理由があった。これまで、ヌークシオ、コリと、フィンランド政府観光局「推奨」の国立公園を巡ったが、どうも納得がいかなかった。確かに万人向けで歩きやすく、悪いコースではない。しかし、だからと言って素晴らしいわけでもなく、この程度ではフィンランドの「フ」の字もわからない気がした。せめて「フィ」の字ぐらいはわかるようになりたい…しかも、もう1つ紹介されていたウルホ・ケッコネン国立公園(Urho Kekkosen kansallispuisto)のコースというのも、2kmと6kmという万人向けのお気楽コース。これではどうにも不十分な気がしていたのだ。

 そんな時ふと思い出したのが、ヘルシンキで立ち読みした本だった。フィンランドのガイドブックとしてロンリープラネットをパラパラ見ていたら、クーサモの北にあるオウランカ国立公園(Oulangan kansallispuisto)に、フィンランドで最も風光明媚なコースがあると書かれていた。こういう言葉には弱い…その時漠然と見ていた情報では、トレイルは3日程度で歩け、山小屋などはちゃんと整備されているらしいということぐらいだった。今さらながら、あの時ちゃんと見ておけば良かったと思ったが、フィンランドをもっと知るために、とにかく行くだけ行ってみよう!と思い立った次第である。

 バスには他に2人の乗客がいたが、まもなく下車し、それからは貸切状態となった。クーサモに着いたのは5時過ぎで、人気がない上にかなり寒い。とりあえず宿探しとなるが、ここのYHAは6月中旬にならないとオープンしないので、必然的にホテルとなる(キャンプは寒過ぎる!)。地図を見るとホテルは3軒だけ、うち2軒は大型高級ホテルチェーンなので、もう1軒のHotell Kuusankaに行ってみると、1泊49と、北欧のホテルにしては良心的な値段だったのでさっそく交渉(ここでも英語は通じない)。宿泊はまったく問題ないとのことで、とりあえず部屋を確保できた(実際にはガラガラだった)。

 その後バスの時間を調べると、明日はいっさい、オウランカ方面のバスがない(5月末からは一気に増えるのだが、まだシーズン前のようだ)。食料の調達もまだで、スーパーが開くのは(日曜は)昼過ぎ、ツーリスト・インフォメーションが開くのは月曜からと、週末は動きが取れないので、さらに1泊して英気を養うことにした(日曜は1日中雨だったので、出かけないで良かったが)。

 冬と春の同居

 明けて月曜日、いよいよ出発の時を迎えた。チェックアウトし、荷物を預けたらツーリスト・インフォメーションに行って情報収集。その後バス・ターミナルに出向き、11時半発のバスに乗った。

  ところが、起点となるユーマ(Juuma)に行きたいと言うと、1時間後に直通のバスがあるという(運転手は英語を話せないので、乗客の1人が通訳する)。そんなバカな…確かにターミナルの掲示には、このバスに乗って途中で乗り換えることになっているのだ。これまで、この手でどれほど苦杯をなめたかわからないので、とりあえず途中まで行くと決意。その旨伝えると、運転手もしぶしぶ納得した様子で、無事発車となった。

 バスは順調に北上し、45分ほどで乗り換え地に到着。ここで1時間待ちとなるので、昼食も兼ねてスーパーで買い物をする。ところが外に出ると、先ほどまでの小雨が一転、また大雨になってしまった。バス停に隠れるが、結構寒くてじっとしているのが辛い…

 1時間後、ミニバスが逆方向から現れた(もしクーサモで待っていたら、大変なことになっていた)。バスは学校帰りの子供たちを乗せて、一路ユーマに向かう。20分ほどで目的地に着いた頃には、雨もほぼ止んで、このところの天候を考えればまずまずのスタートと言えそうだ。

 さて、これから歩くThe Karhunkierros Trail(別名Bear's Ring)は全長80km、北のハウタヤルビ(Hautajärvi)から南のルカ(Ruka)まで、オウランカ国立公園を縦断する形で続いている。ユーマはオウランカの南端部、ルカから20kmほどの所にあるが、このコースのハイライトがユーマから北だということで、ここから歩き始めることにした(1日分短縮)。

 ユーマには何台かの自家用車が止まっていて、日帰りで歩いている人が結構いるようだ。というのも、実はユーマ起点で周回する12kmのコース(The Pieni Karhunkierros TrailLittle Bear's Ring)があって、その半分強は今回歩くトレイルと共通なのである。したがって、出だしから結構な人とすれ違う。まだ5月だというのに、意外に歩いている人はいるものだ(ほとんどが中高年層だが)。

 歩き始めてみると、コースは起伏が少なく歩きやすいが、ここは北極圏の手前。緑が多いとは言えず、まだまだ冬と春が同居している。川岸などではまだ雪が残っているところもあって、結構寒々しい。予想以上の季節感に戸惑いながらも、コース上は特に問題ないので、粛々と歩を進めていった。

Kitkanjoki
キトカ川

 山小屋貸切

 ユーマから橋を渡り、森の中を歩いてまもなく本コースに合流。左手に黒いキトカ川(Kitkanjoki)を見ながら進むと、3kmほどで轟音が聞こえてきた。崖の淵まで行って覗き込めば、下が滝になっている。これがユラバ(Jyrävä)と呼ばれる有名な滝。急な階段状の道を下っていくと、その全貌が露わになった。だが、いざ見えてくると、想像していたほど大したことはない。広大なプールの淵を周り、小屋の前まで来れば正面にその姿を見ることができるが、ここまで来ると遠すぎて迫力不足…少々期待外れであった。

Jyrävä
ユラバ

 気を取り直して先に進むと、しばらくは眼下にキトカ川を見ながらの快適な散歩道となる。出発した時間が遅かったせいもあって、この辺りからすれ違う人が全くいなくなり、静寂の一人歩きになった。川はここで大きく蛇行しているため、コースもそれに沿って大回り。やがて川岸まで下ると、湖のように静かな川面が現れ、残雪も多く見られるようになる。ここで橋を渡って対岸に進み、しばらくで分岐に到達。日帰りコースとはここでお別れで、右の斜面を登っていく。

 この先は、先ほどまでの整備された道よりも若干歩きにくくなるが、それほど問題ではない。道はいったん崖の上に上がると、今度は右手に川を従えて、アップダウンを繰り返しながら、湿原や森の中を進んでいく。きっと紅葉のシーズンなら綺麗だろう…そんなことを思いながら歩みを進める。それにしても、すっかり人とすれ違わなくなってしまった。シーズン中はかなり混み合うと書いてあったが、それが嘘のような静寂だ。

Oulanka marshland
途中の湿原

  しばらく崖の上の森歩きが続いたが、やがて川岸まで下りて、今度は川の横を歩くようになる。川の両側にはまだ雪がかなり残っていて、コース上も残雪著しく、一部迂回せざるを得ない箇所もある。試しに川の水を触ってみると…ツビタイ!手が凍ってしまいそうだ。そして(釣り用と思われる)シェルターが現れ出したので、ここでちょっと休憩。するとまた雨が降り出してきた。まったく、ろくでもないタイミングである。

Oulanka with snow
川岸にはまだ雪

 休憩もそこそこに、再び歩き始めると、雨はいよいよ本降りになってきた。コースは川岸から離れ、完全な森歩きとなるが、もう時間も遅いし、雨で景色も楽しみ難いので、ただ黙々と歩いていく。それにしても不思議なのは、このコースの周囲の川や沢は、ほとんどが茶色か黒色をしている。土で汚れているわけではないので、いったい何故だろう(タンニンの仕業か?)。

 我慢の森歩きを続けると、8時半過ぎにようやくユッシンカンパ(Jussinkämppä)の山小屋が見えてきた。2時過ぎにスタートしたので、休憩込みで6時間強、18kmほどの道のりだが、前半のんびり歩いたのでこんなものだろう。小屋に到着すると、ちょうどカップルも小屋の前で休憩中。今夜は彼らと一緒か…と思いきや、しばらくすると彼らはどこかへ歩いていった。いくら白夜が近いとはいえ、こんな時間に歩くなんて…ともあれ、これで1人だけ、広々とした小屋(15人ぐらい宿泊可能)が貸切状態だ。雨は相変わらず強かったが、1人寂しく、ではなくて、1人楽しく過ごしたのであった。

Jussinkämppä
ユッシンカンパ

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