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ノルウェーの国旗 スウェーデンの国旗

旅行記:北欧(世界自然旅)

22.裏スウェーデン越え (2004/5/15:雪後曇時々晴

 謎の山中

 ノルウェーからスウェーデンへは、当初オスロ経由でストックホルム(Stockholm)に向かう予定であった。ところが、北欧の大都市は既に宿の確保が困難で、しかも明日15日からはノルウェーが3連休と、かなりの混雑が予想される。いまだ宿も列車も確保していない状態だったので、この都市経由計画は断念。いったん北上し、トロンハイム(Trondheim)から東に舵を切ることにした。

 トロンハイムには、ドンボスから2時間半で到着。ここから東に向かう列車は、朝と夕方の1便ずつしかないので、2時間ほど構内で待機となった。そして、現れた車両は2両のみだったので大混雑…私は荷物置き場で立つ羽目となったが、列車は雨の中を快調に出発した。

 この先は(日本の)ガイドブックに載っていない空白地帯で、どんな景色が広がるのか、どんな展開が待ち受けているのか、全くわからない。期待と不安が交錯する中、時間は刻々と過ぎていき、2時間弱かかって、スウェーデンの国境の街、ストーイエン(Storlien)に到着。既に6時半になっていたので、ひとまず下車することにした。

 ストーイエンにはYHAがあり、一帯の山中ではハイキングが盛んらしい。スウェーデンは森が美しいと聞いていたので、それを実感できるかもしれないし、日程調整にも使えるかもしれない…と期待していたが、実際に降りてみると、ここは標高が高すぎて、まだ雪がかなり残っている。しかも、この雨の中、宿まで5kmほど歩かなければならない…

 駅周辺にはまるで人気がなく、バスもタクシーもない。やむなく歩き始めるが、閉店したスーパーを過ぎると、そこからは原野が広がるのみだ。雨水を蹴散らして疾走していく乗用車を恨めしく思いながら、未知の集落へと歩いていった。

 さすがに全重量背負っての歩きは辛いが、トレッカー要請ギブスに耐えて前進すると、やがて前方に集落が見えてきた。そして、恐る恐る宿に入ると、人気が感じられない…まさか休業中?と思ったら、宿の主人が現れ、今はオープンしていないが、1泊だけならOKとのこと。なんでももう帰ろうとしていたそうで、もう少し遅れていたら本当に危ないところであった。

 これでどうにか今日の宿は確保できたものの、今はシーズンオフのため、周囲の全ての建物が営業休止中で、買い物も何もできない。週末の混雑を避けるため、予定では2泊するつもりでいたのだが、とてもそんな状況ではなかった。とりあえず1泊分は非常用の食料で飢えを凌ぐが、それ以上の滞在は無理。明日にはさっさと宿を出ることにして、いつの間にか記憶を喪失していた。

 居場所の模索

 翌朝、目を覚ますと雪で、しかも結構激しく降っている。列車は1日2便、バスは土曜運休のため、午前の列車に乗るべく宿主に駅まで送ってもらう。10時過ぎの列車はガラガラ(なぜか逆方向は混んでいた)、ごく数人の乗客とともに、一路エステルスン(Östersund)に向かった。ここもガイドブックの空白地帯だが、大きな湖があり、娯楽施設もあるので、観光地として賑わっていそうなところだ。

 2時間かけて着いてみると、案の定、結構な賑わいを見せている。ここまで来ると晴れていて良かったが、風が冷たいので快適とは言い難い。ともかく宿の確保が最優先なので、少し離れたYHAまで歩くと、ここも人の気配がなく、入口には「受付は月~金の9時~5時」などと書かれている。一般商店ならともかく、宿でそんな時間設定はありか?と思ったが、どうすることもできない。もしこれが正しければ、これ以上粘ったところで誰も現れず、泊まれないかもしれない。次に可能性がある街はスンズヴァール(Sundsvall)だが、まもなくスンズヴァール行が出発し、次の便は夜7時以降になってしまう。ここで決断しなければ…

View of Östersund
エステルスンより

 多少迷ったものの、可能性の低いものに賭けるより、新しい可能性に賭けた方が賢明だろうと判断し、急ぎ駅まで駆けて列車に滑り込んだ。そして、2時間あまりかけて4時過ぎに目的地に到達。YHAは2km先の丘の上なので、喘ぎながら登っていく。街を見下ろす眺めは良いのだが、荷物を背負って歩くには辛いところだ。

 しかし、それでもどうにか宿に着くと、ここはちゃんと営業していて、結構賑わっている。まさか一杯では…と恐る恐る聞いてみると、幸いまだ空きがあった。しかもこの宿、インターネットが無料でつなぎ放題(自前のPCも)で、設備も綺麗と、壁の薄さを除けば申し分ないところだ。

 さっそく2泊分を確保すると、街に繰り出して現金を引き出し、スーパーで買い物を済ませる(ノルウェーよりは安くなった)。これでようやく当面のピンチを脱出したし、ここからストックホルムまでは特急で3時間半なので、フィンランドに渡るのに、ストックホルムの宿の心配をする必要もなくなった。めでたしめでたし。

View of Sundsvall
スンズヴァール

 こうして、翌日はこの旅初めての完全休養日となった。日記の作成に精を出すとともに、昼間は気分転換に周囲の森を散策。これがスウェーデンの森と言ってしまうのはどうかと思うが、気持ちの良いひと時を過ごすことができた。

 豪華客船貧乏旅

 そして週明け月曜日、満を持してストックホルムに向かう。昼過ぎに到着したら、真っ先にバイキング・ライン(Viking Line)の乗り場に出向き、夜の便に乗れるか聞いてみると、問題なしとの返事。しかも鉄道パスの効力もあって格安、と言うより安すぎる。有名な豪華客船にもかかわらず、1泊込で2,000円もしないなんて…

 ともあれ、これでスウェーデン越えは何とか成功し、フィンランドに抜けることが可能になった。この週は木曜が祝日で、その前後にかかると危ないと思っていたので、日程的に綱渡りだったが何とかなった。とりあえず。

 さて、船の搭乗時間が近づくと、続々とバスがやってきては乗客を吐き出していく。それにしてもすごい数…いったい何人が乗るのだろう。当然窓口は大混雑で、チェックインにも時間がかかった。そして搭乗。こちらはスムースに進むが、船内に入ると、進むべき場所がわからない。キャビンの案内はちゃんと書いてあるのだが、当然そんなもの取っているわけがない。どこに行けば良いのだろう…

 しばらく動き回ったが場所がわからず、仕方なく最下層の荷物置き場に逃げ込み、じっとしていた。すると出発後まもなく、係の人がやって来て、上階の座席室に案内された。見れば同じような貧乏旅行をしてそうな人たちが10名程度、この一室に押し込められている(座席は12名分)。安いのは結構なのだが、他の客層とはあまりのギャップ。すぐ下で大勢の人たちが高級料理に舌鼓を打っているかたわら、こちらでは買い置きしておいたサンドイッチとジュースをほお張るという構図…貧乏旅行者にとっては、豪華客船に乗るというのもなかなか辛いものだ。

 ともあれ、こうしてシートにもたれかかったまま一夜を過ごし、バルト海を越えてフィンランドの首都、ヘルシンキ(Helsinki)に上陸するのであった。

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