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ノルウェーの国旗

旅行記:北欧(世界自然旅)

21.度胸試しの展望地 (2004/5/13:曇一時晴後雨

 1人チキン・レース

 朝、起きてみると期待は見事に裏切られ、辺り一面雲に覆われていた。これから下り坂なのはわかっているので、とにかく早めの行動が肝心だ。朝食をた~っぷり取ったら、荷物を預けて外に出た。

 ガイランゲルフィヨルドを眺める場合、絵葉書などを見ても明らかだが、クルーズから見上げるよりも、山腹の展望地から見下ろす方がはるかに迫力ある景観を望むことができる。展望地としては主に3つ。1つは牧場跡から眺めるものだが、これは特別なツアーでしかいけないので、閑散期の個人旅行者には無理。2つ目はオーレスンやオンダルスネスに向かう途中、ジグザグ道を上がった所だが、これは距離があるので車なしでは難しい。

  しかし、もう1つの展望台、フリダールスユーエ(Flydalsjuvet)はガイランゲルを代表する展望地だが、意外にも、街から坂を上がって30分程度しかかからない。そこで、今回はこちらを目指すことにした。

 まずはホテルからフィヨルドに背を向けて、坂道をくねくねと登っていく。まだ朝早いためか人も車もほとんどなく、いるのは放牧された牛たちぐらいだ。登りといっても車道なのできつくはなく、楽々高度を稼いでいく。

  しばらくするとフィヨルドの展望が広がり始め、一層快適な道のりとなった。折りしも少しずつ陽が差すようになっている。これを逃すまいと歩いていくと、まもなく標識が現れ、目的の展望台に到着。ここからは、真下に切れ落ちた渓谷の先にフィヨルドを眺めることができる。誰もいないなんて、もう、本当にもったいない限りだ。

Flydalsjuvet overlook
フリダールスユーエより

 この眺めは結構なのだが、実は1つ、気になっていたことがあった。普通、この展望台からの写真とされているものは、同時に、張り出した岩も右手に写っている。これはどこから撮ったのだろう…と眼下を見ると、もう少し下りた先の岩がそれらしい。

  さっそく向かってみると、確かにここには張り出した岩があり、安全用の囲いまで作られているが、これは意図した光景ではない。半信半疑で、さらに奥へと進んでみると…おっ、意外にもそれらしい景観になってきた。しかし左手は数百m切れ落ちた崖になっており、容易には近づけない。なるほど、写真で見た時に、どうも中途半端な写り込み方をしていると思っていたが、こういうことだったのか。綺麗に撮りたいと思ったら左に寄りたいが、崖になっているので限界がある。それを可能な限り寄って撮ったものが、絵葉書などで出てくる風景だったわけだ。

 そこで私もさっそく挑戦し、崖の淵に近寄ってみる。もちろん落ちたら最期、取り返しがつかないので慎重に進むが、淵の方には苔が付着し、非常に滑りやすくなっている。どこまで寄れるか、1人チキン・レース状態で恐る恐る寄っていく。

  そして、ギリギリのところで足を止め、足場を確保。重心を右側に残しつつ、上半身を左に向けて…カシャッ、急ぎ元の位置に戻る。あぁ、怖い怖い!これ以上無理をして最悪の事態を招くわけにはいかないので、後は少し退いた所から存分に眺めて、ホテルに戻っていった。

Flydalsjuvet
これが有名な景色

 バス待ちぼうけ

 ホテルには昼前に帰着。天気がいよいよ怪しくなってきたので、これ以上滞在しても仕方ないと判断し、昼過ぎのバスに乗るため港まで歩いていく。時刻表によれば、次はオンダルスネス行。有名な景勝ルート、トロルスティーゲン(Trollstigen)も通れるのでラッキー、と思ったら、肝心のバスがやって来ない。不安になってよく確認してみると、昼間のバスは6月中旬以降のみ(どうもトロルスティーゲンが開通していないらしい)で、次は4時過ぎと、3時間以上の空き時間となってしまった(この時期は早朝と夕方の2便のみ)。やれやれ…

 隠れる場所がないのでテーブル席で待機していると、街はにわかに活気づいてきた。観光バスが何台もやって来て、先ほどまで閑古鳥が鳴いていた土産屋は大賑わい。しかも沿岸急行船まで登場して、盛り上がりに貢献している。

  そしてヘルシントからのフェリーが到着すると、今度はクルーズを楽しんだ観光客が登場。ある者はそのままバスでどこかへ向かい、別の者は街でしばしの休憩タイム。先ほどまで街にいた人たちは、こぞってフェリーに乗り込んでいく。この時期のガイランゲルは昼間だけの観光地のようだ(その証拠に、フェリーが出発してしばらくすると、再び街に人気はなくなってしまった)。良いのか悪いのか…

Troll
トロルも暇そう

 時間が経つにつれて風が強まり、じっとしているのが辛くなったので場所を移動。時に土産屋に入って、体を温めたりして難を凌ぐ。こうして現れたバスは、バスというよりバンで、10名程度しか乗車できない(もっとも、観光客は私1人だったが)。ほぼ満員のバスは坂を上がり、展望地に着いたところで停車(私だけのためにフォト・ストップをしてくれたのだ)。他の乗客の冷たい視線を尻目に下車し、急ぎ写真を撮る。ここも非常に雄大な眺めで、天気が良くて時間があればじっくり見たいところだ。

View of Geirangerfjord
ガイランゲルフィヨルドを望む

Looking down at Geiranger
ガイランゲルの街側

 そして、再出発するとまもなく雨が降り出し、瞬く間に本降りとなった。山には霧がかかってしまい、ほとんど何も見えない。しばらくでフィヨルドが行く手を遮るのでフェリーに乗り換え、対岸に着くと普通のバスが待っていた。バスはいったんバルダル(Valldal)に向かい、ここで大半の乗客を降ろした後、若干のインターバルを置いてオーレスンへと走っていく。道中、ほぼフィヨルドに沿って走っていくのだが、さすがにこの天候では見るべきものはない。時々居眠りしつつ、オーレスンには7時頃に到着した。

 まずは宿探しで、YHAがあるので行ってみると、全く問題なし。部屋は10人程度の大部屋だが、2人が眠りこけているだけでガラガラだった。幸いにもこの時には雨が止んだので、ちょっと外に繰り出してみる。が、街はもう閑散としたもので、開いている店がほとんどない。仕方なくマックで夕食を食べ、少々散歩して宿に戻った。

 部屋ではまだ2人が寝たままなので、別の部屋に移動したものの、どこにも電源が見当たらない…いい加減バックアップを取りたいので、しばらくして暗闇の部屋に突入し、勘でコードをつなぎ、バックアップのデータ・ストレージを電源に差し込むと、ボッと一瞬火の手が上がった。何?ショート?どこをミスしたかわからないが、とにかくこれで機械は死亡。無理をしなければ良かった…

 ノルウェーとの別れ

 こうして悶々とした夜を過ごし、翌朝は早起きして7時のバスでオンダルスネスに向かう。最初は平凡だった景色も、オンダルスネスの近くまで来るとフィヨルドの雄大な山々が広がってきた。ここで鉄道に乗り換え、わずか2両編成の列車に乗って、フィヨルドを後にした。

  ところが、出発してまもなく、右手に勇壮な岩山、トロルベッゲン(Trollveggen)が現れた。これは絵葉書で見たことがあって、どこなのだろう…と思っていたのだが、まさかこんなところで登場するとは!(ところが、こんな時に限ってカメラが電池切れで撮影できず…)

  しかも、その後も変化に富んだ景観が次々と目に飛び込んでくる。後で知ったことだが、この鉄道もまた風光明媚な路線として有名な区間で、まさにノルウェー・フィヨルドの最後を飾るにふさわしい幕切れだ。

 こうして(最後はやや迫力が落ちたものの)列車はドンボス(Dombås)に到着し、ここで乗換えとなった。本来ならこれから、リレハンメルの北西にあるヨートゥンハイメン国立公園(Jotunheimen Nasjonalpark)に出向き、数泊のトレッキングをするつもりだったが、この残雪状況を見る限り、まだとても歩けそうにないし、そもそも山小屋がオープンしていない。これはまた別の機会に譲るとして、大感動のノルウェーはひとまず終了(後に北部のラップランドには立ち寄る)。一路スウェーデンに向かった。

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