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旅行記:北欧(世界自然旅)

18.圧巻のフィヨルド (2004/5/10:晴一時曇

 ありきたりはやめて

 朝7時に起床すると、昨日の快晴はどこへやら、外は雲に覆われていた。まったく、どこまでもついていない…ところが、朝食に出てすぐにわかった。これは朝霧がかかっているだけで、街中は晴れている。しかも、この霧もどんどん消えており、まもなく無くなりそうだ。そうとわかればさっそく準備を進め、8時には宿を後にした。

 今日は、ベルゲンの北にあるソグネフィヨルド(Sognefjorden)に向かう。これは世界最長(204km)・最深(1308m)のフィヨルドで、ノルウェー観光最大の目玉と言って良いだろう。通常、この観光は"NORWAY in a nutshell"という周遊チケットで周る。オスロ(Oslo)またはベルゲン発着でコースが設定されており、それに従ってフィヨルド最奥部を周るわけだ。

 しかし、これには少々不満があった。このコースのメインは、個人的にはスタルハイム(Stalheim)渓谷の絶景を眺めること。しかしコースに従ってゆくと、わずか15分程度の休憩時間しかない…ここで天気が崩れてしまったら台無しだ。それに、フロム(Flåm)、グドヴァンゲン(Gudvangen)の順に周るノーマルコースでは、この時期、フロムで数時間も待たされてしまう。これではチグハグなので、まずはスタルハイムに赴き、十分に時間を取ってからフィヨルドに入り、再びスタルハイムに戻るという変則スケジュールを組むことにした(幸い、ローカルバスを組み合わせれば可能だ)。

 ともあれ、まずは8時40分発の列車に乗らなければならない。余裕を持って出発したはずだったが、街中に向かう道は大渋滞で、遅々として進まない。これを逃すと予定がガタガタだ…大いに心配したが、駅には8時半に着いて、どうにか間に合った。列車は観光客と言うよりも、バックパックを背負った地元の若者たちで大賑わい(どこかトレッキングにでも出かけるような装いだ)。そして快晴の中、定刻通りに出発していった。

 トンネルを抜けるとまもなく、車窓にはフィヨルドの景観が広がってくる。変化に富んだ迫力ある景色で、見ていて飽きることはない。1時間あまり走ったところで、列車は中継地、ヴォス(Voss)に到着。ここでほとんどの人が降りて、バスに乗り換えていく。私も乗り換えるつもりだったが、目の前に広がる湖と雪山の景観を通過するのがもったいなくて、ここで下車して湖畔に向かうことにした。

View from Voss
ヴォスの眺め

 この時間、湖畔には誰もおらず、道行く車の騒音がなければどんなに静かだろう。本当なら、背後に聳えるハングレン(Hanguren)山頂から街を見下ろすのが良いようだが、この時期はまだロープウェイが運休中…歩いて登るほどの時間はないので、今回は諦めざるを得ない。それでも、湖畔でのんびりするのは良いものだ。しばらくすると地元の人や観光客が多くなってきたので、ゆっくりと撤収することにした。

 迫力満点の渓谷

 50分後、リレハンメル(Lillehammer)行バスが現れたので乗車し、一路スタルハイムを目指す。わずかな時間の違いなのに、先ほどの混雑とは打って変わって車内は閑散としており、数人しか乗客がいない。この道すがらも、何気ないが美しい滝や湖の景色が続き、通過してしまうのがもったいない。北欧の自然を見ていると、イギリスなどとは違った、何か凛とした美しさが随所に見られる。レンタカーを借りられればと、ちょっと後悔してしまった。

 30分ほど走ったところで、不意にスタルハイム・ホテルへの入口で降ろされた(観光客向けのバスではないので、ホテルまでは行かない)。仕方なく1.5kmほどの道のりを、歩いてホテルに向かう。眼前には渓谷らしき風情が広がってくるが、ホテルが邪魔して良く見えない…他に場所がないのでフロントに近づいてみると、この時間帯、テラスは一般に公開されているとのこと。さっそく歩いていくと、目の前に絵葉書の世界が迫ってきた。晴天も手伝って、本当に素晴らしい眺めだ。

Stalheim overlook
スタルハイム渓谷

 ちょうど昼時ではあったが、観光スケジュールから外れているので、いるのはごく数人と、とても静かで快適である。さっそく一番展望の良い場所に移り、しばしのんびりとこの絶景を眺めたのであった。

 十二分に景色を目に焼き付けたら、今度は(例によって)周辺を歩くことにする。実はここにはノリ(Nåli)牧場跡に向かうトレイルがあって、先ほど見た岩壁を間近に見ることができるという。さっそくスタート地点を探すと…あった、標識だ。説明を読むと、片道1時間とある。しまった…このトレイルの情報はヴォスのガイド冊子に書いてあったのだが、それによると30~60分、それから考えて少なくとも1時間あれば往復できると思っていたのだ。次のバスまでの残り時間は、既に1時間半を切っている(しかも、バス停はホテルから1.5km以上先にある)。急がねば!

 急ぎ足で坂を登っていくと、谷の奥へと道が延びている。しばらくそれに従うが、道はいずれ谷を渡って渓谷方面に方向を変える筈だ。ところが、道は延々谷奥に続いている。どうやら分岐に気づかず、間違った道に入ってしまったらしい。

  慌てて引き返して途中の道を左折すると、一転して下りになり、谷中央を流れる沢を渡る。すると家屋が現れ、その先に標識があった。今度はそれに沿って森に入り、緩やかに高度を上げていく。振り返ればホテルを見下ろすようになり、断崖に付けられたジグザグの道、それに滝が一望のもととなった。ゆっくり眺めたいところだが、時間がないので、視線を送りながら先を急ぐ。

Looking down at Stalheim
トレイルより

Stalheim Falls
スタルハイムの滝

  道は多少ぬかるんだところもあるが、それほど厳しいわけではない。途中、崖横を歩くところがあったが、特に危険を感じることなく通過。迫力の岩壁を横目に見ながら、競歩ばりの駆け足で歩いていく。さすがに後半は少々疲れたが、どうにか30分ほどで終点にたどり着いた。眼前には岩山が立ちはだかるが、木々が邪魔して思いのほか展望は良くない…しかも時間の余裕はないので、数分のインターバルを置いたら、再び山岳マラソン並みのペースで下り始めた(まるでトレーニングだ)。

 下りは少し早く、30分弱で戻ることができた。ここで元のバス停に戻っても良かったが、先のバス停に進んでおいた方が時間的に安全だろうと、渓谷の麓に下ることとする。この道は渓谷を望むのに絶好の舞台で、ホテルから見るよりは高度が下がるものの、この絶景を目の前に眺めながら歩くのは、何という贅沢か。時間がないのが本当に惜しい…しかもこの道、かなりの急坂なので、疲れきった足には辛い。ふと気がつくと、轟音とともに左右に滝が現れた。特に左手の滝は大迫力で、水しぶきがものすごい。

 麓までは近いようで結構遠く、なかなか着けない。ようやく間近に迫った頃、ちょうどバスが来てもおかしくない時間になっていた。ここまで来て逃したら悔しいので、最後は走るに走って、無事バス停に到着した。

 ところが、バスはなかなか現れない。途中からはずっと道を見ていたので、よもや先を越されたはずはないが…嫌な予感がしてくる。すると、20分待ったところでようやくバスが登場。ただ遅れていただけのようで、良かった良かった。

  バスはそそり立つ岩壁の下を通り、クルーズの終点、グドヴァンゲン(Gudvangen)を通過するが、ここも風光明媚なところだ。そして長いトンネルに入り、そこを抜けるとフロムの町が見えてきた。こうしてクルーズ出発の30分前、通常のルートに合流したのであった。

View at Gudvangen
グドヴァンゲン

 ルートに乗って戻ってくると

 フロムはオスロやベルゲンなどから来た観光客で賑わっており、日本人観光客の姿もあったが、数えてみると40人程度。さすがはオフ・シーズンである。クルーズのチケットも難なく入手し(他の人は皆購入済だった)、中段のテラスに席を確保。そして午後3時、快晴の中、クルーズはスタート…ところが船が方向転換したため、席は後ろ向きになってしまった。これではイマイチ…なので、すぐに場所を移動し、立ち見の最前列に陣取った。

Sognefjord cruise
クルーズ出発!

 船はフィヨルドの中を、ゆっくりと進んでいく。ここはアウランフィヨルド(Aurlandsfjorden)、ソグネフィヨルドの中でも最奥部になるだけあって、切り立った岩壁が印象的である。アウラン(Aurland)の町を通過すると、いよいよ岩壁が迫ってきて、船はその間を縫うように進んでいく。この辺りから風が強まり、前方を眺めるのは困難なほどになったが、見ればソグネフィヨルドに通じる広々とした風景が見える。しかしクルーズはここで左折し、一層狭いナールオイフィヨルド(Nærøyfjorden)に入っていった。

Aurandsfjord
アウランフィヨルド

Nærøyfjord
ナールオイフィヨルド

 ちょうどこの辺りは逆光だったが、フィヨルドを形作る岩壁がシルエットになってかえって美しい。見上げれば至るところから滝が降り注ぎ、景観も都度変化していくので、見ていて飽きることはない。風も弱まり、快適なクルージングだ。谷奥に進んでいくと、眼前には切り立つ山々が見えるようになり、まもなく終点のグドヴァンゲンが見えてきた。およそ1時間、天候の良さも手伝って大満足であった。

Fjord near Gudvangen
岩壁が迫ると終点は近い

Falls near Gudvangen
いくつもの滝が見られる

 30分ほどの待ち時間の後、バスがやって来て、一路ヴォスに戻っていく。ここは先ほど通った道だが、他の人にとっては初めて。両側に迫る岩壁、そしてスタルハイム渓谷の絶景が広がると、どよめきと歓声が上がる。この時間、ちょうど太陽が背になるので、渓谷が最も美しく見える。さっき見た光景ではあるが、やはり素晴らしい!

View of Stalheim
改めてスタルハイム

 バスは急坂を登り切って、ホテル前に到着。ここで15分の休憩となり、皆展望台へと向かった。私も改めて鑑賞するが、ノルウェーを代表する景観だけあって、文句のつけようがない。オスロから来ていた日本人のおば様たちはいたく気に入ったらしく、急遽このホテルに泊まることにした模様だ。この時期だからこそできる芸当、私もあやかりたいところだが、そこまでの財力はないので、今回はあきらめるしかない。羨ましい限りであった。

 ヴォスに戻ったら鉄道に乗り換え、ベルゲンに帰っていく。到着は8時半頃だったが、まだ昼間のように明るい。それにしても良い天気だ。この辺りは天候の悪い地域として有名なのに、ここまで晴れるなんて…この幸運に感謝!

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