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旅行記:南部アフリカ(世界自然旅)

71.旅のフィナーレ (2005/5/19:晴

 天候に泣かされて

 テーブルマウンテンに喜望峰と、この2日で最低限の観光は終えることができた。しかし、ケープタウン周辺には他にも見所があり、中でもアパルトヘイトの象徴とも言える刑務所島、ロベン島(Robben Island)は是非訪れたいと思っていたので、ツアーは既に予約済だ。これでもう、行くべきところには行ったことになるので、旅も事実上終わりである。

 ところが、翌16日の朝、念のため旅行会社を訪ねると、今日は高波のため船が出ないという。何ということ…昨日も中止になったと聞いていたので、嫌な予感はしていたのだが、これでは止むを得ない。とりあえず明日に順延してもらい、私は経費節減のため、セントラルにあるInn Long street(かつてOverseas Visitors Clubと名乗っていたところ)まで歩き、こちらに居を構えた。

 だが、次の日は朝から風雨に見舞われてしまい、波の高い状態も続いていた。駄目元ながら、発着所のあるウォーターフロント(Water Front)に出向くと、予想通り今日は中止とのこと。予報によれば、明日も天気が悪いそうなので、思いきって次の19日に予約を変更してもらい、10時発の便を確保したのであった。

  最後の最後で天候に泣かされるとは運がないが、しかし、ケープ地方は雨季に入ったところなので、ある程度は想定済である。ただ、翌20日には日本に向けて出立しないといけないので、これが本当に最後のチャンスであった。

 アパルトヘイトの遺産

 その最終日を迎えると、待った甲斐あって朝から快晴で、テーブルマウンテンも久々に雄姿を見せてくれた。とりわけウォーターフロントからの眺めは抜群で、ケープタウンらしい絶景が広がっている。波はやや高いものの、今日はツアーが出るというので一安心。早めに手続きを済ませて、出発に備えた。

View from Water Front
ウォーターフロントからの眺め

 ロベン島は世界遺産に指定されているだけあって、ツアーの人気は高い。少なくとも1時間おき(場合によっては30分おき)に出ているにもかかわらず、今回も満員御礼での出発だ。そして、高速船で飛ばすこと30分、無事ロベン島に到着し、すぐにバスに乗ってツアーの開始となった。

  するとまもなく、島に上陸した囚人の写真が壁に貼られており、その痛々しい光景をまざまざと見せられる。ここには1991年まで、有色人種の政治犯が収容されており、その数は延べ3,000人に達するという。まさにアパルトヘイトの負の遺産だ。

Photo at Robben Island
囚人たちの写真

  そして、他のバスはまっすぐ刑務所に向かったが、我々だけはいったん外れて、ハンセン病患者の墓や、囚人たちの作業場などを先に見て回った。テーブルマウンテンの眺めが良いのは救いだが、後は本当に凄惨な現場ばかりである。

 こうして、いよいよ刑務所にやって来ると、ここからは実際に収容されていた人の案内で、内部を見学する。鉄格子に覆われた独房はわずか2畳ほどしかなく、あのネルソン・マンデラ氏もここで20年も過ごしたのだ。中には収容されていた人物の名前や写真、メッセージなどがあって、全てを見て回る時間はないものの、かなり痛々しい…

Corridor at Robben Prison
刑務所内の廊下

Cell at Robben Prison
独房の様子

  その後、中庭などを見学したら、最後に雑居房に案内される。ガイドもここに収容されていたとのことだが、驚いたのは、黒人とカラード、インド人の間でも待遇に差があったということ。それだけ黒人が虐げられていたというのがわかるが、こんなことがつい最近まで現実だったなんて、今では想像もできない…こんなことが二度とないことを祈りたいものである。

Guide
説明してくれたガイド

  これでツアーは終わりとなり、ガイドに感謝したら、刑務所を後にして港に戻っていく。何とも言えない神妙な気持ちにさせられたが、最後にこうした実態を目の当たりにして、良かったと思う。いまだ人種間の経済格差と差別意識が根強く残っているようだが、一刻も早く改善することを望むばかりだ。

Robben Prison
刑務所

 最後にふさわしい場所

 さて、こうしてケープタウンに戻ってきて、予定していた観光は全て終えたが、これで最後とするには何か物足りないものがあった。この「自然旅」の最後にふさわしい幕切れは、やはり自然の素晴らしいところに行くしかないだろう。幸い、今日は絶好の天気に恵まれているので、それをもってフィナーレにしたかった。

  そんな時思いついたのが、ライオンズヘッドである。これまであまり注目していなかったが、地形的には絶景が眺められるはずなので、これぞ最後にふさわしい場所に違いない。登頂するコースもさして難しくないようなので、ここは意を決して、街から歩いて向かうことにした(ミニバスをうまく捕まえられないせいもある…)。

 道路を辿ってクルーフネックに達し、そこで右折したら、その先の登山口を入って登り出す。コースは山頂まで、渦巻きのようにして登っていくが、のっけからテーブルマウンテンの眺めが素晴らしい。その先には12使徒やキャンプス・ベイの眺望が広がり、さらにはシーポイント、シグナル・ヒル、そしてケープタウンの街並みと展開して、これまでの観光を振り返っているようであった。

Looking up at Table Mountain
左手にテーブルマウンテン

Looking up at Lion's Head
ライオンズヘッドを見上げる

 しかし、この先は岩がちの急登となり、時には梯子を使ったりして登らなければならない。やがて道は二手に分かれるが、ここは無難なコースを選択し、回り道しながら高度を稼いでいくが、思ったよりスリリングな登りだ。山の形からして、最後は厳しいと予想していたものの、思ったより骨の折れる道である。

  それでも、尾根に取り付くと歩きやすくなり、一登りで頂上に到達。すると、まさに360°の展望が広がり、ケープタウンの街並み、テーブルマウンテン、12使徒と、どれも素晴らしい眺めだ。そして、足下にはシーポイントが広がっており、高所恐怖症なら恐ろしいほど切れ落ちている。まさに最後にふさわしい絶景だ。

Cape Town from Lion's Head
山頂からのケープタウン

Table Mountain from Lion's Head
テーブルマウンテンの眺望

Twelve Aposles
12使徒と海岸線

View of Sea Point
シーポイントを見下ろす

  予想以上に優れた眺望に感動し、思わず1時間以上滞在してしまったが、陽が落ちると危険なので、その前に下山を開始。やがて12使徒の眺めが広がったところで夕焼けを迎え、さらに下山したところではケープタウンの夜景が広がり、文句のつけようのない展開であった。

Sunset Twelve Apostles
夕焼けの12使徒

Night view of Cape Town
ケープタウンの夜景

  これでもう、旅のフィナーレとしては十分だ。最後は街まで淡々と下っていくが、これで2年半に渡る旅も終わり。思わず「終わったぁ~!」と叫んでしまったが、その声は車の音にかき消され、誰にも知られることなく幕を閉じた。

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