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南極の旗

旅行記:パタゴニア&南極(世界自然旅)

76.南極本来の姿 (2004/2/27:曇一時雨

 取っておきの海峡

 今日でもう出発から7日目、いよいよ南極滞在の最終日となったが、今朝は5時に目覚まし音声が響いた。それもそのはず、数ある海峡の中でも、最も有名で雄大なルーメア海峡(Lemaire Channel)に入るからだ。ブース島(Booth Island)と南極半島に挟まれ、幅はわずかに400mと、大型船は通行できないほど狭い見所で、両側は高さ1000mの絶壁に囲まれているという。これを見逃す手はない。

 しかし、こんな取っておきの海峡なのに、この日は朝からどんより曇り空で、パッとしない天気になっている。これが本来の南極らしい天候なのだが、これまでの3日が晴天に恵まれただけに、ちょっと残念である。もっとも、周囲が雲に隠れていないだけマシだと思うが。

Lemaire Channel
ルーメア海峡に突入

 船はまもなく海峡に差しかかり、さっそく両側に氷河の絶壁が続くようになった。どちらを見上げても、氷河と山のオンパレードで、次々に展開していく。特に切り立った山が多いので、迫力はなかなかのものだ。天気が悪いだけに、これまで見たような氷河の輝きはないものの、やはり見応えは十分である。

Lemaire view (1)
切り立った岩山が迫る

Lemaire view (2)
岩山と氷河のオンパレード

  しかし、悪天候だけにデッキの上はかなり寒く、眺めているのも容易ではない。時々挫けそうになりながらも、絶景を期待して耐えていたが、天気は一向に回復せず、結局1時間ほどで海峡を抜けてしまった。残念だが、こればかりは仕方ない…絶壁と氷河を眺められただけでも良しとして、すぐさま朝食を食べに船内に戻った。

Lemaire view (3)
氷河が崩れ落ちそうなほど

Pléneau Glacier
プレナウ・ベイから見える氷河

 最後の観光

 食事を終えると、船はもうプラナウ・ベイ(Pléneau Bay)に入っており、ここでまたゾディアックによる氷山クルーズとなった。昨日同様3艘に分乗して出発し、周囲の氷山を鑑賞するが、ここでも様々な彫刻品が展示されており、見ていて飽きることはない。深く抉れたもの、不思議な模様を描いているものなど興味深く、なかなかの見応えである。

Icebergs at Pléneau Bay (1)
氷山クルーズ開始

Icebergs at Pléneau Bay (2)
不思議な造形が目をひく

  が、海上は思いのほか風が強いうえ、まもなく雨が降り出したため、かなりしんどいクルーズになってしまった。周囲ではヒョウアザラシ(Leopard Seal)が遊んでいて、我々のボートを弄ぶかのように動き回っているが、こうなるともう、あまり楽しむ余裕はない。ようやく南極観光の辛さを体感する羽目になった。

Icebergs at Pléneau Bay (3)
様々な氷山が展示されている

Pléneau Bay
色も形も鮮やか

 半分は泣きべそをかきつつ、もう半分は氷山の美しさに感動しながらクルーズを終えると、船はペノラ海峡(Penola Strait)を進むようになった。そして、1時間ほどでピーターマン島(Petermann Island)に到着。ここもペンギンを数多く見られる島で、有名な上陸地の1つである。これが事実上最後の南極観光となるだけに、気合十分で上陸を果たした。

Petermann Island
ピーターマン島より

 島には数多くのジェンツーペンギンとアデリーペンギンが見られるが、まずは彼らの中を分け入って進んでいく。ペンギンたちの仕業か、雪面は赤く色づいており、振り返れば半島にスコット山(Mt Scott:880m)などの姿もある。リーダーについて歩き、ひとまず対岸に出てみると、こちらは氷塊が少し浮いている程度で、ペンギンの数も少ない。どうも今ひとつ見所に欠けていたので、躊躇なく引き返すことにした。

Icebergs at Petermann Island
氷塊が浮かんでいる

  少しも戻ってペンギンの多いところにやって来ると、彼らはせわしなく動いていて、雪上をバタバタと歩いては転んだりしている。特にジェンツーは落ち着きがなくて、泥だらけのところで遊んだり、岩の上で転んだりと危なっかしい。他方、アデリーは数が少ないせいもあるが、あまり動かず可愛らしい目で佇んでいたりする。これが最後のペンギン鑑賞なので、いろいろな場所から、様々な様子を拝見して、時間一杯まで観察したのであった。

Snow-walking Gentoo Penguins
雪上を一生懸命走っている

Muddy Gentoo Penguins
泥んこ遊び中?

Flying Adélie Penguin
空を飛びたい(?)アデリーペンギン

 基地訪問

 こうして1時間半の上陸を終えて船に戻ると、昼食の間にさらに南下し、やがてアルゼンチン諸島(Argentine Islands)にあるベルナツキー基地(Academician Vernadsky Station)にやって来た。これはウクライナ(Ukraine)所有の基地で、今回はこちらにお邪魔して、観測の模様や、基地内の様子などを拝見させていただく。ここがこの旅の南限であり、最後の訪問地。再び雨が降り出してきたものの、そんなことには構わず上陸した。

Vernadsky Station
ベルナツキー基地

 外から見るとプレハブ小屋のように見えたが、中に入ると意外に綺麗で、十分に温かい。そして、さっそく内部の見学となるが、さすがに50人では多過ぎるので、いくつかのグループに分かれて説明を受ける。様々な観測の模様を説明してくれるが、なかでも印象的だったのはオゾン・ホール。既に北米大陸をすっぽり覆い尽くすほどに広がっているというから驚きだ。知識としては知っていても、やはりこうして学ぶのも意義深いものである(でも、どう見ても観測の邪魔をしている気がするが…)。

Researcher at Vernadsky Station
説明する観測員

 30分ほどで一通り見学を済ませたら、指示に従って2階に上がるが、そこはお土産屋とバーになっていて、気の早い人は既にウォッカを飲み始めている。私は酒には興味がないので、やむなく土産を物色したりして過ごすが、これで南極ともお別れだからか、意外に盛り上がって、なかなか立ち去る気配はなかった。

  それでも、結局1時間半ほどでここから去ることになり、ゾディアックに乗って船に向かう。船はなぜか少し離れたところに停泊しているので、短いクルーズを楽しむことになるが、ここまで来たらもう、お腹一杯だ。今日はやや天気が悪かったけれど、南極本来の姿を見られたと思えば、それはそれで良かったと思う。ありがとう、南極!

  そして、ついに船は南極を後にし、北上を開始したのであった。

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