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南極の旗

旅行記:パタゴニア&南極(世界自然旅)

75.麗しの海峡をゆく (2004/2/26:晴時々曇

 海峡からの絶景

 夜のうちに南シェトランド諸島を離れ、朝6時半、モーニング・コールとともに起床すると、船はちょうどエレラ海峡(Errera Channel)に差しかかっていた。ここはロンジ島(Rongé Island)とアートウスキー半島(Arctowski Peninsula)に挟まれた狭い海峡で、海面には氷塊が浮かび、両側には氷河を戴く岩壁がそそり立っている。あいにく雲が立ち込めていて、視界があまり効かないが、好転を願いながら眺めていた。

Errera Channel
エレラ海峡を進む

 低い雲に遮られているとはいえ、雲間から氷河の数々を見ることができ、素晴らしい限りである。船はその中をゆっくり進んでいくが、徐々に雲が上がっているのか、次第に氷河峰の様子が見えるようになってきた。いくつもの氷河が流れ落ち、かなりの迫力だ。そして、雲はさらに消えていき、ついには全容を望むことも可能になった。

Errera Mountain
雲間から見えるようになってくる

Errera Glaciers
いくつもの氷河が続く

 と、ここで朝食の時間となったため、他の人たちは続々と船内に戻っていく。しかし、ここで私は待機することを選択した。と言うのも、すぐ目の前にアンドボード・ベイ(Andvord Bay)が広がるのがわかったからだ。誰もいない中、1人でその時を待っていると、まもなく左手が開けて、アンドボード・ベイが一気に見えてきた。いくつもの山並みと氷河が連なり、実に美しい光景だ。天候も一気に回復して、本当に素晴らしい。

Andvord Bay
アンドボード・ベイの景観

  この絶景を見届け、ウォーターボート・ポイント(Waterboat Point)に入ったところで、遅めの朝食をいただく。すぐに片付けてデッキに戻ると、南極クルーズ随一の景観を誇るパラダイス・ベイ(Paradise Bay)に入り、一層美しい景色が広がっていた。船はその先、ブライド島(Bryde Island)を過ぎたスコントープ・コーブ(Skontorp Cove)で停まったが、周囲は眩いばかりの氷山に覆われ、この世のものとは思えぬ景観であった。

Paradise Bay
パラダイス・ベイの景色

View from Skontorp Cove
スコントープ・コーブより

 パラダイスの居心地

 ここで、またもゾディアックに乗り換えて、周囲のミニ・クルーズが始まった。3艘に分かれて、まずはスコントープ・コーブをぐるりと周遊し、その奥にあるペッツバール氷河(Petzval Glacier)へと進んでいく。氷塊だらけの海面を進むので、スリル満点。やがて氷河の末端が迫ってくると、想像以上の高さに驚かされる。よくぞここまで積み重なったものだ。

Petzval horn
そそり立つ氷河末端

Skontrop Cove
氷塊の崩落を待つ

  すると、ゾディアックはストップし、氷塊の崩落を待つことになった。まもなく他のボートも追いつき、同様にしてその瞬間を待つ。南極のような寒いところで見られるか?と半信半疑だったが、固唾を呑んで見守っていると、しばらくして末端の一角が崩れ落ちた。ドーンという音とともに波が襲ってきたが、恐れるには及ばない。それにしても、まさか本当に見られるとは…

Petzval Glacier
ペッツバール氷河の奥を望む

  これで満足したら、ボートはいったん氷河末端を見届けてから引き返す。ブライド島を左に見ながら北上するが、右手にはズグロムナジロヒメウの群れが確認できる。そして、ほどなくしてアルゼンチンのアルミランテ・ブラウン基地(Almirante Brown Base)に到着。ここで2度目の大陸上陸を果たすことになった。

Bryde Island
ブライド島

Almirante Brown Base
アルミランテ・ブラウン基地

 難なく基地に上がると、数羽のジェンツーペンギンが生活していたが、あいにく人の姿はない。日本のガイドブックには「基地名のTシャツやキーホルダーなどのおみやげ物を買うことができる。パスポートに基地のスタンプを押してもらって記念にしよう」などと書かれていたが、どうやらもう使われなくなったらしい。

 すると、他の人たちは裏手にある丘に登っているので、私もそれに付いて登っていく。雪上を着々と進み、丘の上に立つと、湾の全景が見渡せ、周囲の氷山や氷河も一望のもとになっている。何て見事な景色だろう…少し上がっただけでこんな景観を眺められるとは、まさにパラダイスであり、驚異ですらある。

Almirante Lookout
基地裏の丘より

  ほぼ全員が登頂したところで、下りは滑り台感覚で滑り落ちることになった。個人的には大いに不安であったが、先陣の様子を見る限り大丈夫そう…私は長くこの場に居たかったので、最後の方の出陣となったが、無難に下ることができた(その代わり、他の人を楽しませるようなパフォーマンスはできなかったが)。

 海峡のとりこ

 こうしてパラダイス・ベイを後にし、昼食を取ったらしばしリラックス。やがて正面にアンバース島(Anvers Island)が見えてきたのでデッキに上がると、まもなく左手に旋回して、ノイマイヤー海峡(Neumayer Channel)に入った。

Entrance of Neumayer Channel
ノイマイヤー海峡に入る

  これはアンバース島とヴインケ島(Wiencke Island)に挟まれた海峡で、風光明媚なところとして有名だが、確かに両側に氷山が連なっていて、いきなり素晴らしい眺めが連続している。今日もまた好天に恵まれたので、実に快適なクルージングだ。

Neumayer Mountain
氷山が連なっている

Neumayer Channel
圧巻の景色が続く

  最初はヴインケ島、途中からはアンバース島の眺めが良いが、もうすっかり海峡のとりこになってしまい、とにかくのんびりと、この絶景を眺めさせてもらう。すると、船が右に舵を取り始めたところで、背後にミンククジラ(Minke Whale)が登場し、豪快なブリーチングを繰り返していた。やや距離はあるものの、あの巨体が何度も宙を舞うのだからたまらない。思わず見入ってしまった。

Breaching Mink Whale
ブリーチングするミンククジラ

Anvers Island
アンバース島の眺め

  1時間半の海峡クルーズを終え、さらに進むと、まもなく左手にポート・ロックロイ(Port Lockroy)が姿を現した。これはかつてイギリスの基地だったところで、今は博物館になっている。ゾディアックに乗り込み、ゴージャー島(Goudier Island)に上陸すると、いきなりジェンツーペンギンがお出迎えで、建物までのわずかな距離も、すっかり彼らの棲家になっている。これでは、5m以内に近づかないなんて無理だ。

Port Rockroy
ポート・ロックロイ

Gentoo Onedari
餌をおねだり中

  何とか中に入ると、ここにはかつての遺品などが展示されているが、むしろお土産屋という側面の方が強いようである。中でも郵便物を送るのが人気で、ほとんどの人は、ここで絵葉書などの郵送を頼んでいた(私は、送る相手がいないので利用しない)。パスポートには記念のスタンプも押してくれるので、これは良い記念になった。

 その後もペンギンの親子の様子を拝見したりして、2時間の滞在はあっという間に終了した。そして、その後はバーベキュー・パーティとなり、ポート・ロックロイで働く3名も招待して、船上で夕食をいただく。例によって美味しい食事が振舞われたが、いかんせん風が強くなり、寒くて長居はできない。酔っ払った人たちは大盛り上がりであったが、私は寒さに耐えかねて、早めに部屋に戻ってしまった。

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