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旅行記:ニュージーランド(世界自然旅)

31.意地の大反転 (2003/2/24:晴時々曇

 歩かずにはいられない

 朝、あまり期待せずに起きてみると、西の方には綺麗な青空が広がっていた。予想より回復が早かったようで、昨日の午前中と比べればずっとマシだ。おまけに閉鎖されていたコースもオープンになった模様で、最新の掲示には何も書かれていない。こうなったら歩かずにはいられない。このまま谷を下れば絶対に後悔するので、無理は承知、秀吉も真っ青(?)の大反転を決行することにした。

 出発前にワーデンに確認したところ、やはりコースはオープンになったとのことだ。これからテ・アナウまで逆走すると告げると、"big walk"と驚き、まだ雪が膝ぐらいまで残っているので注意するように言われる。ここは素直に了解し、興奮してアドレナリンを大放出しながら、9時過ぎに小屋を後にして登りにかかった。

  歩き始めはそれほど急勾配ではないが、しばらく登りが続くので、オーバーペースにならない程度に早く歩く。ジグザグの登りを20分ほどこなし、いったん川原の緩やかな道を進むと、再びジグザグの登りだ。さすがに暑くて服を脱がずにはいられない。辺りには低い雲が残っていたが、登るにつれて樹林越しに山々の展望が開け始めた。

  景色に期待しながら我慢強く登り、1時間ほどで森林限界に到達。すると雲海の上に雪を戴く山々が見え、素晴らしい展望になっている。ここからさらに一息で、突き出た岩の展望台に到着。昨日と比べると雪はだいぶ溶けてきていたが、何より天気が良い。ここで雲海が見られるのは、逆走したからこそだ。アイリスバーンの源流もハンギング渓谷も、全て手に取るように見える。急ぐ必要はあったが、しばらくはここで大展望を満喫することにした。

Cloud sea at Iris
マナポウリ方面に広がる雲海

View of Iris Burn Valley
アイリスバーン源流方面の展望

View of Hanging Valley
ハンギング渓谷の雪景色

 雪山だらけの大展望

 しばし休んでいると、1人の男性が同様に登ってきたので、多少話をして次に進む。今度はハンギング・バレー・シェルターに向けての尾根登りとなるが、この辺りは適宜階段が整備されているので楽、かと思いきや、逆にそれが徐々に足に応えてくる。一方の雪は、昨日とは見違えるほど溶けており、ほとんど問題にならない。

  景色に励まされながら進み、30分あまりでシェルターに到達。ここからは手前のマウリー山(Mt Maury:1570m)、西奥のケプラー山脈やマーチソン山脈、そしてテ・アナウ湖の端が見えてきて、雪山に囲まれた大展望を楽しむことができる。山、山、山…まさに雪山だらけの景観だ。

Kepler Mountains
雪のケプラー山脈を望む

 シェルター付近で軽食を取っていると、先ほどの男性が再び現れた。彼は今日ラクスモア・ハットまで行く予定だという。もうお昼になりかけたので、構わず先を急がせてもらう。

 この先は人跡未踏の地、のはずだが、なぜか足跡がある。それに沿って下っていくと、時にモモの辺りまで残雪があって苦労させられる。すると、逆側から先陣のトランパーが現れた。どうも見た顔だと思ったら、彼はラクスモア・ハットで2泊してこの時を伺っていたのだという。この先は楽な道だと言うので安心し、再びの登りに差しかかった。

  この井戸端会議中に先の男性が追いついてきたので、登りの途中で先に行ってもらう。そして彼について登っていくと、まもなくピークに向かってきつい登りとなった。やがて私が先を歩き、ピークに登りつめると、下に正規のコースが見えている…明らかに登り損になってしまったが、慌てて2人して正規の道に戻り、緩やかなアップダウンをこなしながら進んでいった。

Kepler Track
トラックを振り返る

 ケプラー・トラックは、ハンギング・バレー・シェルターからラクスモア・サドル(Luxmore Saddle)にかけて、ずっと稜線付近を歩くようにできている。それだけに晴天時の景色は格別で、ルートバーン・トラックを凌ぐと言っても過言ではないほどだ。

  ラクスモア山の方までずっとコースが見渡せる中、雪山の展望を楽しみながら歩いていく。まだ雪の深いところもあるが、徐々に反対側から来る人も増え、彼らの足跡を辿ればそれほどはまらない。基本的には左手にライアル山(Mt Lyall:1905m)をはじめとしたマーチソン山脈とテ・アナウ湖を見ながらの快適な山歩きだ。

  こうして、1時間あまりでフォレストバーン・シェルター(Forest Burn Shelter)に到着。反対側から歩いている人たちの多くが休憩中で賑やかだが、ここからはジャクソン・ピークス(Jacson Peaks)の山々と、フォレストバーンを通してマナポウリ方面の視界が開けている。この前後のテ・アナウ湖の景色も抜群で、歩いていて飽きない景観だ。本当ならもっとゆっくりしたいところだが、既に1時半近くになり、あまり時間の余裕がなくなってきたので、ほどほどにして先を急いだ。

Lake Te Anau and Murchison Mountains
テ・アナウ湖奥とマーチソン山脈

Forest Burn
フォレストバーンより

Jackson Peaks
ジャクソン・ピークス

Murchison view
テ・アナウ湖奥を振り返る

 ここからはまた登りにかかる(急登ではないが、ジリジリ高度を上げていくので、それなりにしんどい)。最初の登りをこなすと坂が緩くなり、フォワード・ピーク(Forward Peak:1361m)を横に見ながらさらに進んでいくと、30分あまりでラクスモア山への分岐にたどり着いた。ここがコースの最高点だが、せっかくなので寄り道して頂上を目指す。

  荷物を置いて岩場を登っていくと、10分少々で頂上にたどり着いた。さすがに展望は素晴らしく、テ・アナウ湖やマーチソン山脈など、ケプラー前半部の景色が一望できる。山頂には5~6人いたが意外なほど静かで、皆素晴らしい景色に見入っているようだ。

Lake Te Anau from Luxmore
ラクスモア山頂よりテ・アナウ湖

Forward Peak
フォワード・ピーク (手前) とマーチソン山脈

Manapouri view
マナポウリ方面の眺望

 陽が暮れる前に

 山頂でゆっくりしていると、また例の男性が追いついてきた。しばらくして私は元の分岐まで戻って下るが、彼は頂上から直接道なき道を下ってきた。それからは巻きながら徐々に下っていき、30分ほどでラクスモア・ハットに到着。既に3時半、だんだん危ない時間帯になってきたので、遅い昼食を食べたら、4時過ぎに賑わうハットを後にした。

Luxmore Hut
ラクスモア・ハット

 30分ほど緩やかな草原帯を歩くと、森林限界に達し、ここから本格的な下りに差しかかる。道は綺麗に整備されているので、早歩きで快調に下山。反対側からは登りで疲れきった人たちが「小屋まであとどのくらい?」と何度も聞いてくるが、やがてそうした人たちも少なくなっていった。

  20分も下るとライムストーン・ブラフに達し、さらに10分の下りでテ・アナウ市街の展望地まで降りる。その後も疾風のごとく下り、1時間程度で休憩しようと思っていたら、1時間あまりでブロド・ベイに着いてしまった。小屋から1時間半、DOCのタイムでは3~4時間なので、予想以上に早い。これでテ・アナウ到着にも目処がついたので、多少ストレッチをして、今度は適度なペースで歩き始めた。

 ブロド・ベイからは平坦な道を進み、1時間ほどでコントロール・ゲートに到着。ここまで来るとさすがに疲れを隠し切れなかったが、湖岸に沿って30分あまり歩き、その後国道沿いを進んでいくと、不意に車が止まり、宿まで乗せてくれると言い出した。その人もケプラー・トラックを歩いてきたそうだが、おかげで15分程度短縮し、7時半頃に無事チェックインすることができた。

Te Anau lakeside
テ・アナウ湖岸より

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