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ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド(世界自然旅)

30.銀世界を越えて (2003/2/23:曇後晴時々雨

 やむなし!ヘリ移動

 ケプラー2日目はやや雲が多くなっていたが、まずまずの天気のようだ。しかしながら、コースの閉鎖は解けず、アイリスバーン(Iris Burn)に抜けるにはヘリで移動するしかないという。せっかくここまで来て引き返すのも何なので、ここはヘリで移動せざるを得なかった。

 ただ、閉鎖されている区間のうち、ラクスモア山中途のラクスモア・ベイジン(Luxmore Basin)までは歩いて良いとのことだったので、散歩がてら歩いてみる。ワーデンに聞いたところ片道20分程度とのことで、時間的には問題ないはずだ。

  さっそく小屋の裏手から登り出すが、しばらくすると早くも残雪の中を歩くようになる。慎重に足を運びながら進むと、やがて白いラクスモア山が眼前に現れた。ここからまた登りが始まるが、この先は危険そうなので止めておこう。無難に引き返して、ヘリが来るまでしばし小屋で待機した。

Cloudy Luxmore
ラクスモア山

 雪山で半政宗状態

 小屋で待つこと30分で、ついにヘリがやって来た。さっそく$45払ってヘリに乗り込み移動開始。私は2つ目のフライトで飛び立ったが、眼下を見やると、稜線のコース上にはまだ雪がかなり残っているようだ。

  雪山を抜けて5分ほど経つと、あっという間にハンギング・バレー・シェルター(Hanging Valley Shelter)に降り立った。辺り一面銀世界で、しかも風が強くてかなり寒い。フリースだけでは足りず、慌ててレインウェアを着込んで急場をしのぐ。

  それにしても周囲は雪山だらけで、まるで冬山に迷い込んだような景色が広がっている。雲がまだ残ってはいるが、雄大な山並みに囲まれて荘厳な気分であった。

Helicopter at Kepler
ヘリで移動

View from Hanging Valley Shelter
ハンギング・バレー・シェルターより

Kepler ridge
ケプラー・トラックの稜線部

  しばらくして下り始めるが、道には雪がかなり残っており、しかも細い尾根上を歩いていくので油断はできない。場所によっては膝ぐらいまで積もっており、足を滑らせないよう慎重に下りていく。

  尾根を進むにつれて、ハンギング渓谷やジャクソン・ピークス(Jackson Peaks)、アイリスバーン渓谷(Iris Burn Valley)の景色が広がってきたので、思わず足を止めて撮影タイム。とその時、セッティング中にカメラと顔がぶつかり、右目のコンタクトレンズが外れてしまった。最初はずれただけかと思っていたが、目の中に違和感がなく、どうやら落としてしまったらしい。

  慌てて雪道の中を探してみるが、一向に見当たらない。風がすごい勢いで吹いているので、もう一瞬のうちに谷の中に飛んでいってしまったのかもしれない。しばらく粘って探すものの、全く見つからないうえ、他の人たちが近くで佇むようになってしまったので、諦めて下ることにした。突然片目の視力が極端に落ちて半伊達政宗状態になってしまい、しばらくは遠近感がつかみにくかったが、気をつけながら先へ進んでいった。

  尾根上を30分ほど下ると、先端の展望地(Lookout)に到達。ここからは背後にハンギング渓谷、前方にケプラー山脈、そしてアイリスバーン渓谷の先端からマナポウリ湖まで見渡すことができる。突き出た尾根の先端だけに、素晴らしい展望だ。皆ほぼ同じような時間に出発しているので結構混雑していたが、ここで大休止して雪山の展望を楽しんだ。

Hanging Valley
ハンギング渓谷

Manapouri from Lookout
展望台よりマナポウリ方面を望む

 展望台からは、ハンギング渓谷に向けてジグザグの下り坂となる。このトラックで最も厳しいところだ。登りなら辛いかもしれないが、道は良く整備されているので快適に下ることができる。

  ほどなくして森の中に入ると、あっという間に寒さが和らいだ。この辺りの森もなかなか綺麗で、苔むす原生林が心地よい。なおも下ると沢沿いの緩やかな道となり、それを抜けるとまた坂道をジグザグに下るようになる。途中には大きな滝もあったりして、ただ辛いだけでないのも良い。

  こうして1時間ほど下ると、アイリスバーン・ハット(Iris Burn Hut)が姿を現した。シェルターの標高が1390m、ハットが497mだから、約900mを一気に下ってきたわけだ。

Forest at Hanging Valley
ハンギング渓谷の森

Hanging falls
下り途中の滝

 一縷の望み

 ハットでしばらく休息した後、片道20分ほどで滝までのサイド・トリップがあるというので、ちょっと行ってみることにした。2時間も歩いていないので、まだまだ余裕なのだ。

  道はシダの森の中を抜けていくが、途中からはアイリスバーンが横を流れるようになる。流れは綺麗な緑色をしており、吸い込まれそうな美しさである。想像以上に素晴らしい散歩道を歩いていくと、徐々に轟音が聞こえるようになった。初めはヘリの音かと思っていたが、これが滝の音なのだ。滝はなかなかの水量だが、見映えとしては特段優れているわけではない…少々滞在したら、あっさりと引き返した。

 ハットに戻ってもまだ余裕があったので、今度は逆に、しばらくアイリスバーンを下ってみる。ここは普通なら明日通るコースだが、もしかしたら明日、トラックがオープンするかもしれない…ラクスモア・ハットのワーデンは明日、アイリスバーンのDOC職員は明後日開くのではと言っていたので微妙だし、今日の残雪状況から考えても難しいところだ。既にそれなりに雪山の景色を楽しんだし、オープンになったとしても天気が良くなければ意味はない。が、今日歩けなかったコースはこのトラックの核心部なので、可能なら歩きたいのだ。ここは一縷の望みに賭けることにして、再び森の中へと分け入っていった。

 初めのジグザグの登りをこなすと、しばらくは快適な森歩きとなる。ケプラーらしい小奇麗な森だ。そこから少しずつ下っていくと、やがて視界が開けて枯木が立ち並ぶようになった。この辺りは1984年のガケ崩れ(Big Slip)で森が消失した地域で、荒涼とした景色が広がっている。そこを抜けると再び森に入り、コケの美しい樹林帯を歩くようになる。結局1時間半ほど歩いて、3つ目の大きな支流が流れ込む辺りで引き返していった。

Upper Iris Burn
アイリスバーン上流

Iris falls
アイリスバーンの滝

Forest near Iris
アイリスバーン中途の森

Slip at Iris
ガケ崩れ跡

 ハットに戻るとサンドフライの歓迎を受けるが、それを振り切って夕食を食べる。そして7時半からはワーデンによる説明があり、トラックはおそらく明日オープンするだろうと話していた。しかし外では雨が降り出しており、予報では明日から回復に向かうとのことだったが、この地域のことだから遅れる可能性が高い。しかもアイリスバーンから逆走するとなれば、最もアップダウンの激しい区間を、辛い側から1日で2日分も歩かなければならないのだ(DOCの想定タイムでは12時間程度かかる見込み)。

  とにかくトラックがオープンになり、かつ最低でも今日以上に天気が良くならなければ歩く必要はない。後は運を天に任せることにした。

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