検索 Google
五輪館
Back|Next
旅巧館旅行記オセアニア>ニュージーランド
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド(世界自然旅)

26.懐かしの森歩き (2003/2/19:曇時々雨時々晴

 全てを背負って

 昨夜から降り続いた大雨は、朝起きてみると小降りになっていた。窓から外を眺めると、一部では青空が覗き、山々にははっきりと白雪が纏われている。これなら、どうにか歩けそうであった。

  そこで宿を9時過ぎに出発し、5分ほど歩いてターミナルに向かうと、既に何人ものトレッカーが待機していた。グレノーキーはルートバーン・トラック、リーズ&ダート・トラック、そしてグリーンストーン・トラック、ケイプルズ・トラック(Caples Track)の起点であるため、人口はたかだか200人程度なものの、一時の賑わいをみせるのだ。

  グリーンストーン・トラックへは、まずルートバーン・トラック行のバスに同乗してワカティプ湖畔の桟橋まで移動し、ここからジェット・ボートで対岸のグリーンストーン川(Greenstone River)河口へ向かう。ボートには既に十数人の先客がおり、どうやらガイド付ツアーと一緒になってしまったらしい。ここでは週1回しかツアーはないのだが、あいにく日程が重なったようだ(避けたつもりだったが…)。

  仕方なく荷物を預けると、あまりの重さに、引き継いだガイドが喘いでいる。今回はクィーンズタウンからテ・アナウまでの完全縦走となるため、カス&ラグーン同様、不必要なものも含めて全ての荷物を背負って歩く。それゆえ通常のトレッキングではありえないほどの重量になってしまい、普段から慣れているガイドでさえ辛いようだ。

  ボートは快調に飛ばして、15分ほどで河口に到着。荷物を運び出す際には再びもがくように上げられ、いつしか"heavy one"と言われるようになってしまった(実際にはさらに一眼レフと三脚を担ぐので、もっと重いのだが)。そこから100mほど歩き、バスで駐車場まで数分の移動となるが、この時にはもはや、荷物の出し入れは自分でやってくれと言われてしまい、なんだか悲しい…

 ともあれ、こうして無事駐車場に到着し、準備をしていると、止んでいた雨が再び降り始めた。雲の切れ間から青空が覗くこともあり、昨日よりは回復に向かいつつあるように思えたが、ただでさえ天候の変わりやすい地域なので油断できない。やむを得ず雨具を着込んで、10時過ぎに歩き始めた。

 懐かしい感覚

 このコースはグリーンストーン川沿いを歩き、アップダウンの少ない快適な道が続く。川は確かにグリーンストーン(翡翠)色をしているが、いかんせん水量が多くて味気ない。それでも美しいブナ林の中を行くと、何か懐かしい感じがする。森の印象で言うと、ミルフォードというよりルートバーンに近いが、2年2ヵ月ぶりに訪れたフィヨルドランドの感覚が思い出されてくる。

Greenstone forest
歩き始めの森

  20分ほど歩くとケイプルズ・トラックとの分岐に差しかかり、ここで吊り橋を渡って進んでいく。雨はさらにひどくなったが、時折覗く山々を見ていると、すっかり雪化粧していて美しい。特にトゥース・ピーク(Tooth Peak:2050m)の険しい姿が印象的だ。

Cloudy Tooth Peak
雲間のトゥース・ピーク

  また、森の中では美しいブナとコケが見られ、時には名もなき滝が出現して、天候を除けば快適この上ない道のりだ。その後もだらだらとした登りをこなし、さらに1時間ほどの森歩きを楽しむと、スリップ・フラット(Slip Flat)と呼ばれる平原に出る。雨はまだ結構降っていたので、その手前で休息するが、すぐにブッシュ・ロビンが寄ってきて微笑ましい。

  ところで、歩いていると気づかないが、ここは意外と多くの人が歩いており、軽食を取っているとどんどん抜かれていく。しまいにはツアーの人たちにも追いつかれてしまったので、あわてて身支度を整えて出発した(しかしツアーの人たちはこの平原で昼食を取るらしく、すぐに姿が見えなくなった)。

Falls at Greenstone (2)
いくつも横切る

Falls at Greenstone (1)
名もなき滝

Bush Robin
ブッシュ・ロビン

  スリップ・フラットを抜けていくと、やがて大きな支流が合流してきた。本来ならここを渡渉していけるようだが、昨日からの大雨で水かさが増しており危険だ。やむなく遠回りして上流に設置された橋を渡り、再び森の中へ分け入っていく。しばらく歩くとブナが印象的な林になり、さらに進むと、突然目の前に奇怪なコブが現れた。見ようによってはキーウィのように見えなくもないが、ともかく自然の造形には驚かされるばかりだ。

Greenstone burn
グリーンストーン川に流れ込む沢

Beech like Kiwi
キーウィのようなブナの瘤

 青空が広がって

  こうしてスリップ・フラットから2時間弱で、スリーバーン(Sly Burn)との分岐にたどり着く。ここを過ぎてしばらく歩くと、まもなく視界が開けて、眼前に雪化粧したリビングストン山脈(Livingstone Mountains)が見えてきた。ちょうど青空が広がり始めたところで、なかなか美しい景色だ。

  さらに森を下ると、やがて川岸に下り立ち、グリーンストーン渓谷(Greenstone Valley)の大展望が広がった。まだ雲も残っているため、さすがに彼方のクリスティーナ山は望めないものの、広大な谷の左手にリビングストン山脈、右手にエイルサ山脈(Ailsa Moutains)が雪を戴く姿は、感動的ですらある。ここでしばし景色を堪能し、後は川原を快適に進行。最後の一登りで雹が降り始めたが、ともかく無事ミッド・グリーンストーン・ハット(Mid Greenstone Hut)に到着した。

View from Sly Burn
スリーバーンからの展望

Greenstone Valley
グリーンストーン渓谷

 ハットには既に何人かが佇んでいたが、まだ定員12人を埋めるほどではなかった。そこで寝床を確保すると、その横には日本人らしき人が休んでいる。私が身支度を整えていると、先方から話しかけてきて、お互い日本人同士であることが確認された。

  彼は今日ホーデン・ハットから南下してきたところで、これからケイプルズとルートバーンを歩く予定だという。さらにすごいことに、この人はNZを南端から北端まで歩き通す途中だそうで、これまでのエピソードをいろいろと話してくれる(これほど安全で親切な国があるとは思わなかったそうだ)。過去にはヨーロッパと南米を歩いて縦断しており、この後はオーストラリアのアウトバックを縦走する予定だというのだ。世の中には面白い人がいるものだと感心しながら、こちらはNZのお勧めポイントなどを紹介して、話に花を咲かせた。

 夕食時になると、いつの間にか小屋の定員をオーバーするほどの人数になっていた。いつも通り質素な食事を用意しようとすると、「歩き人」の彼が、食料を多く持ってきたので食べないかと言う。迷惑でなければ、ということでパスタとコーヒーをおすそ分けしてもらい、久々に豪華なディナー(?)を満喫したのであった。

Page Top
Copyright © gorinkan.org All Rights Reserved.