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旅行記:ニュージーランド(世界自然旅)

25.悦びと寂しさと (2003/2/16:晴時々曇

 美しい谷歩き

 充実の1日から夜が明けて、なおも天気は良かった。多少雲が出てきているものの、今日一杯は何とか持ちそうだ。

  この日はラズベリー・クリークまで3時間ほど下るだけなので、十分に時間の余裕がある。アスパイアリング山を眺めながら朝食を終えて、小屋を出発したのは9時過ぎ。ここから美しい谷歩きが始まった。

 マツキツキ渓谷は美しい谷として知られるだけあって、日曜日の今日は家族連れなどが散策に訪れている。森を抜けていくと、背後には再びアスパイアリング山が美しい姿を見せ、前方にはマツキツキ渓谷の景色が広がっている。しかし、1時間ほどでアスパイアリング・ハットに到着すると、この辺りから徐々に雲が現れ始めた。聞けば、午後から天候は崩れてくるという。それを聞いてあまりゆっくり出来なくなり、休みもそこそこに歩を進めることにした。

View from Aspiring Hut
アスパイアリング・ハット付近からの景色

 ここからは川岸に沿った緩やかな道をゆく。美しい景色を眺めながら、牛たちの邪魔をしない程度に歩いていくが、撮影ポイントが多いので、いつでも撮影できるようにレンズ・キャップを外して歩くことにした。

  時々気に入ったポイントで撮影しながら進むが、マーチンは昨日の歩きで足を痛めた模様で、休むと足が痛むので先に行くという。こうして抜きつ抜かれつしつつ、着実に谷を下っていくが、例の渡渉ポイントももはや恐れることはない。そして、まもなく前方には鋭い形をした山が出現した。これは「サメの歯」を意味するシャーク・トゥース・ピーク(Sharks Tooth Peak:2096m)で、あの辺りまで歩けばこのツアーも終了だ。やがてほぼ唯一の登りをこなし、それを下り終えたところで休憩となった。

Sharks Tooth Peak
シャーク・トゥース・ピーク

View from Cascade Hut
カスケード・ハット付近にて

Gentle view of Matukituki Valley
マツキツキ川と山々

  ところが、ここでカメラのレンズ・キャップを紛失していることに気がついた。あわてて探しながら引き返してみるが、なかなか見当たらない。美しい谷に見とれて全く気づかなかったが、どこで落としたのだろう…

  撮影ポイントなどを重点的にチェックしながら戻っていくが、それらしきものは見つからない。ついには例の渡渉ポイントも越えて、アスパイアリング・ハットのすぐ近くまで戻ってしまったが、手がかりすら発見することはできない。仕方なく反転して探しながら戻るが、それでも結局見つからず、往復1時間半のロスだけ残して元の地に戻った。無念…

 フィナーレを迎えて

 待ちくたびれた感のあるマーチンの元に戻ると、なぜか周囲を牛たちに包囲されていたが、軽食だけ取って先へ進むことにした。

  ここからはもう1時間あまりで終わりとなるが、フィナーレが迫るにつれて、次第に複雑な感情が芽生えてきた。1つはやり遂げたぞ、という悦びに満ちた達成感。もう1つは、これで待ちわびたハイライトが終わってしまうのだ、という寂しさだ。望み通り素晴らしいツアーになっただけに、終焉を迎えるのが何とも言えない悦びと寂しさに溢れたものとなった。そんなことを感じながら歩いていくと、やがてラズベリー・クリークに到着。この複雑な感情に支配されたまま、かの地を後にした。

Home Stead Peak
ホーム・ステッド・ピーク

 車でワナカで向かう最中も、やはりこの感情から逃れることはできなかった。そんな折、背後にはアバランチ氷河とアスパイアリング山の大展望が開け、まるでフィナーレを祝福するように姿を見せてくれている。その光景をしばし堪能したら、車は再びワナカに向かい、無事晴天の市街地へ舞い戻った。そして借り物を返し、預けていた荷物を受け取り、宿泊先であるMatterhorn South Backpackersまで送ってもらって、この素晴らしきツアーは完全に終了した。

Avalanche Glacier and Mt Aspiring
アバランチ氷河とアスパイアリングの展望

 寂しさを紛らわすが如く

 ワナカの宿に到着しても、この感情を脱することはできなかった。だが、この後もフィヨルドランドを中心にまだまだ旅は続く。そのため、さっそくコロミコ・トレックに電話して情報収集にあたるなど、この寂しさを紛らわせるかのように、精力的に今後の予定の検討に入った。

 そして翌日にはクラウン・レンジ(Crown Range)経由でクィーンズタウンに移動し、宿のPinewood Lodgeに荷物を預けた後、DOCに寄ってハットの空き状況や天気予報の確認などを行う。予定では、これからグリーンストーン・トラック経由でテ・アナウに抜けた後、フィヨルドランドではケプラー・トラック(Kepler Track)とホリフォード・トラック(Hollyford Track)、そしてゲートルード峠を歩きたいと思っていたのだ。

  予報ではこれから数日は悪天候が続き、週末から晴れるということだったので、ケプラーをそれに合わせようと考えてインターネットで空き状況を確認する(ケプラーは今シーズンから予約制になった)が、その日までは既に予約で一杯だ。やむなくその後を予約しようと再びDOCに行くと、最新の予約状況では、それから数日後も一杯になったが、運良く1名分だけ土日で取れるという。幸運にもキャンセルが出たようなのでそれを確保してもらい、続けてコロミコ・トレックに電話してホリフォード・トラックのツアーの予約をお願いして、万事成功。翌18日にはさらに先の、ダニーデン(Dunedin)に向かうツアーなどの予約も済ませて、NZ旅行分の手配はほぼ全て完了となった。

  その後、翌日からのグリーンストーン・トラックに備えてグレノーキーに移動するが、クィーンズタウンでは相変わらず晴れていたものの、わずか40数km離れたグレノーキーは雨で、しかも結構な大雨となっていた。さっそく宿のGlenorchy Backpackers Retreatにチェックインするも、雨は一向に止まない…

  やがて、雨が少し弱くなったところで外を覗いてみると、雲の合間に見える山が雪化粧しているではないか。たかだか標高1000m程度で、それほど高くない山でも雪が積もっているのだ。NZではいつ雪が降ってもおかしくないとはいえ、まさか真夏に雪が降るとは思っていなかった。これから3日間は、徐々に回復する模様とはいえ、決して良い予報ではない。森歩きだから問題ないと思っていたが…不安を抱きつつ、しかし予定を組んでしまった以上行くしかないので、幸運を祈って明日に備えた。

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