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旅行記:ニュージーランド(世界自然旅)

23.トラウマの克服 (2003/2/14:雨時々曇後晴

 嵐がやって来た

 ついに今日から念願のツアーが始まる。昨夜から断続的に大雨が降っていたが、起きた時にはほぼ止んでいて一安心だ。

  さっそく身支度を整えて8時にオフィスに出向き、ガイドのマーチンとご対面(老紳士といった感じ)。続いてギア・チェックを受けるが、通常の装備では明らかに足りないので、必要なものを調達する(無料で貸してもらえるので特に問題ない)。その際、不要な荷物は置いていけと口うるさく言われ、危うくカメラと三脚も置いていく羽目になりそうだったが、これはどうにか防ぐことができた。

  こうして準備が完了して出かけようとすると、先ほどまで小雨だったのに、時同じくしてバケツをひっくり返したような大雨になってしまった。風も強くて、まるで嵐だ。やむなく雨宿りし、雨が弱まるのを待つが、なかなか弱まる気配はない…結局30分ぐらい待機してようやく雨が弱まったので、道路脇に溢れる水を横目に見ながら、ワナカ市街を離れた。

 しばらく車を走らせると、向かうマツキツキ渓谷方面にだけ青空が広がっており、途中で雲の合間からアスパイアリング山が姿を見せてくれた。予報ではこれから回復に向かうはずなので、良い兆候だ。やがて45分ほどでラズベリー・クリークに到着。マツキツキ川の水量は増加しているが、昨年の嵐ほどではなく、晴れ間も覗いていて良い感じだ。そして準備を整え、10時半頃出発した。

Mt Avalanche with sheep
アバランチ山 (中央) とアスパイアリング山 (右) と羊たち

 再びの渡渉

 歩き始めは川岸の牧場内を歩くので、牛たちに退いてもらいながらほぼ平坦な道を行く。ロブロイ氷河との分岐を過ぎてしばらく進むと、右手にはロブロイ氷河の上部が顔を覗かせている。今回の嵐で新雪が積もったようだ。

  淡々と1時間ほど歩いたところで、同じツアー会社の人たちとすれ違う。昨夜は相当な雨だったそうだが、これからは天気も回復に向かうだろうとのこと。しかし、なおも歩いていくと次第に雲行きが怪しくなり、やがて小雨がぱらつき始めた。しばらくは我慢して歩き続けるが、徐々に本降りになってきた。

  すると、昨年渡渉に失敗したポイントが現れた。これまでのところは飛び石伝いで十分に渡れたが、さすがにここは少々難しい。とはいえ、昨年の豪雨時と比べれば水量は圧倒的に少ない。あれ以来トラウマとなって、渡渉はできるだけ避けてきたが、ここはそれを克服するチャンス。渡りやすいポイントを探し、飛び石伝いで歩いていく。少々靴は濡れたが、さしたる問題もなく渡りきることができた。ついにトラウマの克服だ。

Side view of Rob Roy Glacier
横から望むロブロイ氷河

  予定では3時間ほど歩いて、ショベル・フラット(Shovel Flat)にある専用の山小屋、アバランチ・ロッジ(Avalanche Lodge)で昼食を取ることになっていたが、雨がひどくなってきたので、やむなく手前のアスパイアリング・ハット(Aspiring Hut)でしばし雨宿りとなった。

  軽食を取って雨が弱まるのを待つが、むしろ雨は強まってしまった。ガイド曰く、最悪の場合は後1時間だけ歩いて、アバランチ・ロッジに泊まるという。困ったものだ…と思って空を眺めていると、しばらくして雨が弱まり始めた。この機を逃すまいとすぐに出発し、樹林帯を抜けて1時間弱でアバランチ・ロッジに無事到着。ここで少し遅めの昼食となった。

Cloudy Matukituki Valley
マツキツキ渓谷を望む

 昼食を終えると、アイゼンやピッケルなど、氷河登攀に必要な装備に加え、食料もさらに足して出発だ。これでパックはかなりの重さになり、さらに一眼レフと三脚もあるので結構な重量である。

  空はいまだ小雨が降ったり止んだりしていたが、ともかくしばらくは平原を歩いていき、30分ほどでパール・フラット(Pearl Flat)に到達。ここで本来ならマツキツキ川を渡渉するのだが、雨で水かさが増しているため、今回は吊り橋を使って迂回し、10分ほど遠回りをして、いよいよフレンチ・リッジ(French Ridge)への登りに差しかかった。

 悪路を越えて

 これまではマツキツキ川沿いの比較的平坦な道を歩いてきたが、ここからは森の中の急登が始まる。歩き始めからぐんぐん登っていくが、ときおり景色を見ても、なかなか高度を稼いだ気がしない。道はただでさえ荒れ気味な上に、今回の大雨でかなりぬかるんだ悪路と化している。所々かなり無理のある作りになっていて、木の根を足場にするなどしてどうにか登っていく。

  ガイドのマーチンも「NZで最悪の道だな」などと冗談を言いながら登っていくが、たまりかねて約20分おきに休憩を取っている。歩くペースもそれほど早くはない。1人で歩いていたら、おそらくオーバーペースになってもうバテバテになっているのだろうが、今回はガイドの後ろを歩いているので思ったほど体力の消耗はない。しかし、泥の悪路を越えたかと思うと、今度は急な岩場の連続。足場を確保するのが困難な場所もあって、カメラと三脚を別に持つ身としては辛い状態となった。

  それでもどうにか克服して、1時間あまりでようやく森林限界にたどり着いた。岩の展望台からは、眼下にマツキツキ川の展望が広がっている。いまだ雲が周囲を覆っているので「素晴らしい」とまでは言えないが、明日はさらに良くなることを期待して、ここでしばらく景色を眺めながら休憩となった。

 ここからはタソット帯の岩場を登っていく。決して楽な道ではないが、森の中の道と比べればだいぶマシだ。ほどなくして、アバランチ山が雲の合間から少し見えてくるが、山々にかかった雲は容易には取れそうもない。予報ではもう晴れているはずなのだが…

  岩場の急登をこなすと斜面は緩やかになり、やがてフレンチ・リッジ・ハット(French Ridge Hut)が見えてきた。標高900mほどだが、辺りには残雪もちらほら現れ始めている。こうして、およそ2時間の登りでハットに到着すると(ガイドのマーチンは「かなり早いペースだ」と言っていた)、ワーデンが暖かく迎え入れてくれた。既に何人かの先客がおり、その後も続々と登ってきて十数人が泊まる模様だが、そのほとんどはドイツ人だ。彼らの多くは、この後ボナー氷河(Bonar Glacier)を横断してアスパイアリング山に登る予定だという。

  しばらく休憩して夕食時になって、ようやく空は少しずつ好転に向かい始めた。周囲の山々にはまだ雲が残っていたが、カスケード・サドル越しにはアーンスロー山の美しい姿を望むことができる。予報では明日は晴れなので、それに期待して早めに就寝した。

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