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旅行記:ネパール・ヒマラヤ(世界自然旅)

64.燃える最高峰 (2004/11/30:晴時々曇

 道を見失い…

 今日はいよいよ、チョモランマを望む展望地、カラパタールに向かう。麓のゴラクシェプ(Gorak Shep)まで、まだ900mほど高度を上げないといけないが、ここまで来ればもう一息だ。

 さて、ペリチェからはクーンブ・コーラに沿って歩き始める。陽が昇るとともに出陣したので、まだ日陰の部分が多いが、左手にはタウチェとチョラツェが覆いかぶさるように立ち尽くしており、迫力の眺めだ。背後にはアマダブラムも控えていて、素晴らしい限りである。

View from Morning Pheriche
朝のペリチェより

 ところが、しばらくすると踏み跡を見失い、道がわからなくなってしまった。こんなメジャーなコースなのに、周囲を見渡しても見つからない…仕方なく斜面の脇を歩いてみるが、かえって歩きにくくて難儀だ。

  それでも、どうにかプラン・カルポ(Phulang Karpo)に達すると、本来の道に復帰して、ここからは一気に歩きやすくなった。沢が迫ってきたところで右手を登り始め、これが見かけ以上に辛いが、振り返ればチョラ氷河(Chola Glacier)とチョラツェが望め、ここの展望もまた素晴らしい。時折振り返り見ながら、この登りをこなしていった。

  気がつけばディンボチェからの道が合流し、対岸にはトゥクラ(Tukla)がもうすぐだ。眼前に見えるのはクーンブ氷河(Khumbu Glaciar)のエンド・モレーンで、これからここを登らなければならない。気合を入れ直して、この登りに取りかかった。

View from Thokla
チョラツェとチョラ氷河 (トゥクラより)

 最後の難所

 ここは既に標高4600mを越えているので、決して楽ではないが、最後の難所だと思えば力が湧くというもの。息絶え絶えの人たちを尻目に、着実に歩を進める。すると、しばらくでヤクの大キャラバンと20名あまりのグループが登場。カラパタールまで登れたのか、皆おおむね満足そうな顔をしているが、中には肩を担がれ、放心状態で下る人もいる。高所で無理をしたら死ぬこともあるのに…

  若い欧米人グループを抜き去ってなおも登ると、ついにトゥクラ峠(Tukla Pass:4830m)に達して、この難所も無難にクリアすることができた。そのまま遭難者を悼む慰霊碑を過ぎれば、眼前の視界が開けて、谷奥の眺望が広がり出した。右からクーンブツェ(Khumbutse:6665m)、リントレン(Lingtren:6749m)、プモ・リ(Pumo Ri:7145m)と続き、目指すカラパタールはその下だ。いよいよハイライトが迫ってきた!

View of Mahalangur Himal
プモ・リなどが見えてきた

  ここからは緩やかに川原へ下り、平坦な道を歩くとロブチェ(Lobuche)に到着。正面に巨大なヌプツェが望めて良いところだが、まだ10時前なので、小休止したら先に進むことにした。

Nuptse from Lobuche
ヌプツェ (ロブチェより)

 道はここから、クーンブ氷河に沿うようにしてできている(氷河自体はモレーンが高いので良く見えない)。しばらく平坦な道が続くが、やがて急な登りとなり、チャングリ氷河(Changri Glacier)を越えていく。この高さまで来ると、モレーン(高度差約150m)のアップダウンすら苦しいが、氷河上もちゃんと道ができているので問題なく突破。そして、ついにゴラクシェプが眼下に姿を現した。

 ここまで、あまり人に会うこともなく驚いたが、ここゴラクシェプもまた静寂に包まれていて、ロッジも閑散としている。まだ昼前ということもあろうが、身を寄せたHimalayan Lodgeも他に客がおらず、随分と暇そうにしている。ついこの間までは喧騒に包まれていたはずだが、もうオフ・シーズンに入ったようだ。

 雲が晴れた!

 しかし、昼前から雲が湧いてきて、ここで昼食を取っている間に、周囲はすっかり雲に覆われてしまった。これではカラパタールに登っても骨折り損なので、止むを得ず待機し、雲が晴れるのを待つ。ここでは、是が非でもチョモランマの夕景を眺めたいと思っているので、そのためなら何日でも待つつもりだ。

 とりあえず部屋に戻って暇を潰すが、雲はなかなか晴れてくれない。これまでも、午後になると雲に覆われ、そのまま日が暮れるパターンがほとんどだったから、いつも通りではある。日の入りは5時半過ぎで、カラパタールには少なく見積もっても30分はかかるので、5時が限界。でも、夕方近くになっても雲は退いてくれなかった。

 今日はこのまま駄目なのか…と諦めかけたところ、不意に雲が消え始めた。時計はちょうど5時を指しており、ギリギリのタイミングではあるが、これは賭けに出るしかない。すぐさま出立して、稜線の急登に差しかかった。

  雲はますます消えていき、これはもう確実に晴れると思えたが、問題は時間だ。とにかく時間がないので、文字通り駆け登っていく。標高5200mを越え、平地の半分しか酸素がないので辛いが、これを見逃したら大損! 先を行っていたグループを軽く追い越し、なおも山岳マラソンのように走っていった。

  さすがに息が切れかかったが、ここでチョモランマが見えるようになり、雲は後ろに吐かれるだけになっていた。これはまさに絶好のチャンス! 最後の力を振り絞り、岩場の小尾根を辿って展望地に到達する。なんとか間に合った…と安堵する暇もなく、撮影の準備を始めて、夕景の時を待った。

  そして、ついに残り陽が少なくなり、神々が色づく瞬間が訪れた。クーンブ氷河越しにヌプツェとチョモランマが聳え、それらが次第に赤らんでくる。下からは影が迫り、やがてヌプツェをも飲み込んでしまったが、チョモランマはなおも輝き続け、まるで燃えるように朱に染まっている。さすがは世界最高峰、これほど鮮やかな夕焼けは記憶にない! あまりに興奮して、思わずガッツポーズをしてしまうほどの感動であった。

Sunset at Kala Pattar
夕焼けが迫る [→Flashスライドショー]

Sunset Sagarmatha
燃える最高峰!

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