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旅行記:イギリス&アイルランド(世界自然旅)

9.ドネゴール入域 (2004/4/27:曇時々晴

 ドネゴールを捨てきれず

 ゴールウェイでの一般的な観光を終え、次は北に向かうことにした。前述のように、もともとドネゴールに行くつもりだったのを交通の都合で諦めたのだが、やはり行けるものなら行きたい…しかし今回は限られた日程なので、くまなく周るのは無理。ならばせめて一箇所だけでも、ということで、行くことにしたのがホーン・ヘッド(Horn Head)であった。

 ここは北ドネゴールの端、車でしか行けないグレンヴェー国立公園からもそう遠くないところであるが、幸いにもすぐ近くまでバスが通じているらしい。そして何より、ロンリー・プラネットのガイドブックが高い評価をしているトレイルがあるのだ。曰く "An exhilarating walk along dramatic and beautiful cliffs with deep inlets, rock arches and quiet, unspoiled beaches." これまで、このガイドブックで紹介されているトレイルでハズレはほとんどない(対照的に、日本の某有名ガイドブックのものはハズレばかり…)ので、これは期待が持てる。

 こうして雨の中、9時発のバスに乗り、ゴールウェイを後にした。それにしてもこの日はかなりの雨量で、車窓の風景は台無しだ。バスは延々とひた走り、4時間半かけてレターケニー(Letterkenny)に到着。ここで下車するが、乗り換えのバスがどこから出るのかわからない…

  仕方なく数km先のビジターセンターまで歩いて聞いてみると、バス停は元の場所で、次の便は夕方になるという(バス停に時刻表の表示はなかった…)。やむなく濡れながら取って返し、しばらくバス停で待機。すると雨は止んで、晴れ間も覗くようになってきた。

  やがてバスがやって来て、北西へと進路を取る。ちょうど通学帰りの学生が多く乗り合わせていて賑やかだ(あまりにうるさくて、運転手に注意されていたが)。目的のドンファナヒー(Dunfanaghy)に着いたのは1時間後の午後5時過ぎ。そして、ここからトレイルの起点となるホーンヘッド橋(Hornhead Bridge)まで1kmほど歩き、直近にあるForest Lodge B&Bに宿を取った。

 険しい道のり

 翌朝、外を見ると、昨日とは打って変わっての晴天であった。何という幸運だろう。朝食を終えると、さっそく9時前に出発し、まずは車道に沿って歩いていく。ガイドブックによると、途中から海岸線に沿って歩くようになっているが、そんな道はない…ので、やむを得ず道なき道を歩いていく。

  砂浜に出ると、足跡を発見! こんな時期にも歩いている人がいるんだと感心する。やがて険しい岩場が迫ってきたので迂回するが、途中で道を見失ってしまった…崖をよじ登るようにしてピンチを脱出すると、しばらくで不明瞭な踏み跡が現れたので、これに沿って進んでいく。すると再び海岸に出てしまい、濡れた岩場が滑って危険だ。ここはどうにか切り抜けたものの、その先は再びの断崖。とても通れそうにないので、途中から直登して崖の上に出た。すると再度踏み跡が登場…本当にわかりにくい道だ。

Horn rocks
岩場が迫る

Dunfanaghy inlet
ドンファナヒー方面を振り返る

 ここからしばらくは、崖の上を歩くようになる。振り返れば、入り江とドンファナヒーの街並みが美しい。が、道は非常にわかりにくくて、現れては消え、現れては消え、の繰り返しだ。コーワン・ヘッド(Cowan Head)の辺りでは奇岩が立ち並び、何とも言えない風情を醸し出しているが、この先からは急に風が強まり、重苦しい雲が空を支配し、雨も降るようになってきた。そして左手に遺跡を見ながら進むと、突如急登が始まり、クローナマディー(Croaghnamaddy:252m)の稜線を登っていった。

Rocks near Cowan Head
コーワン・ヘッド付近の奇岩群

 ひとしきり登りを終えた頃、眼前にホーン・ヘッドとトラグリスク・ポイント(Traghlisk Point)の断崖が見えてきた。なかなか迫力ある眺めだ。が、この辺りの道も不明瞭で、やがてトレイルは消えてしまった。しばらく崖の淵を歩いていくが、足場が悪く、どうにも歩きにくい。片側は完全な断崖、足を滑らせたら終わり…慎重に、踏ん張りながら登っていく。

  確かに迫力ある断崖の景観が迫って良いのだが、この辺りは草が深くて、非常に体力を消耗する(アラスカのツンドラ・ウォーク以来の疲労度)。どうにか安全地帯に抜けると、左手に再び踏み跡が…どうやらこの崖を迂回していたらしい。

Horn Head
ホーン・ヘッドを望む

Looking down at Horn Head
急峻な崖をゆく

 この先はトレイルもやや明瞭になり、草も深くなくなったので快調に歩いていく。振り返ると急峻な崖が見えるが、あんなところを歩いていたなんて、後から考えると怖くて仕方がない。やがてシグナル・ステーション(Signal Station)という遺跡が登場。ここまで来ればホーン・ヘッドはすぐそこ、先端まで登れば、さすがに素晴らしい眺めである。ここで道半ば、昼過ぎになっていたので食事休憩にした。

View from Horn Head
ホーン・ヘッドからの眺め

Horn inlet
行く手の海岸線

Marble Arch
マーブル・アーチ

 風と時間と闘いながら

 前半は思いがけず道がタフで、およそ4時間と、予想以上に時間を使ってしまった。ドンファナヒーからのバスは朝・昼・夕の3便のみ、5時過ぎのバスには乗りたいので、そうなるともうあまり時間の猶予はない。休憩もそこそこに、歩き始めることにする。

 再び崖に沿って歩き、今度は南西方面に歩みを向ける。しばらく歩くと牧草地となり、羊たちが草を食む中を進んでいく(ちなみに、ここの塀は簡単に羊に乗り越えられていて意味がない…)。淡々と歩を進めると、入り組んだ崖が近づいたところで突如水しぶきが上がってきた。一瞬何事かと思ったが、よく見ると、崖から滴る水が強風に巻き上げられたものらしい。

  やがて道は丘に向けて登り始め、ほどなく丘の上に到達、先々の景観が一望のもとになる。ここからは一転下りで、強風と闘いながら、崖沿いの道を歩いていく。ガイドブックによると、この辺りでマーブル・アーチ(Marble Arch)が見えるはずなのだが…崖を覗き込んでも見当たらない。見失ったか、と諦めて小さい湾を回りこんでいくと突然、背後にマーブル・アーチが現れた。これは美しい自然の造形だ。ここで歩を休めて、しばしこの芸術作品を鑑賞したのであった。

 ここからはさらに急ぎ足で先を急ぐ。道も比較的明瞭で、草も深くないので快調に進んでいくのだが、なかなか思ったほど進まない。ポラギル・ベイ(Pollaguill Bay)を回り込んだところで3時半過ぎ、果たして間に合うのか、本当に心配になってきた。

  早歩きで先を急ぐと、やがて視界が開け、目の前には広大なトゥラモア浜(Tramore Strand)が見えてきた。美しいうえに誰もいない。辺りを支配するのは波の飛沫と風の音だけ…砂浜に下りると、これだけ広いビーチなのに、いるのは小鳥一匹と私。何という贅沢だろう。ちょうど大きな丸太が眺めの良い場所に横たわっていたので、ここに腰かけ、しばし休憩することにした。

Pollaguill Bay
ポラギル・ベイ

Tramore Strand
トゥラモア浜

 少し休んだところで時計をチェック。すると、既に4時15分…まだ4km近くあるのに、もう1時間しかないではないか(しかも最後の1kmは、重い荷物を背負って歩く)!

  慌てて出発し、競歩並みのスピードで、疾風のごとく歩を進める。道のアップダウンもなんのその、快調に飛ばしていくと、30分ほどで宿が見えてきた。そして周回達成! 残りは30分ほどあるので、何とかなりそうだ。

  預けておいた荷物を担ぎ、日向ぼっこをしていた宿主に別れを告げて街に向かう。こうして15分ほど前に街に到着(これが最初からわかっていれば、5分だけでも砂浜でのんびりしていたのだが…)、無事バスに乗車して、ドネゴール地方を後にした。

 バスはレターケニー乗換えで、北アイルランドのデリー/ロンドンデリー(Derry/Londonderry)に向かう。国境を越えても特に何もなく、7時頃に無事デリー入りするが、なんだかとても寂しい街で、市街地のはずなのに人気が感じられない。

  そこでさっそくホステルに向かうが、肝心の宿に着くと、誰も応答しない…何度もベルを鳴らすが返事はなく、窓越しに覗いても人の気配はまるでない。年中オープンのはずだが、客がいないので閉めたのか、それとも閉鎖したのか…とにかくここは駄目、もう1軒はどこにあるのかわからない。これでは仕方がないので先に進むこととし、鉄道駅に向かった。

 無事8時半発の最終列車に乗って、一路ポートラッシュ(Portrush)へ。途中列車の遅れがあり、9時40分に到着。さて、こんな時間に宿があるのだろうか…

  この先のブッシュミルズ(Bushmills)にYHAがあるのはわかっているが、8kmも先なので、今さら歩くわけにはいかない。かと言ってポートラッシュの宿情報は持ち合わせておらず、はてさて、どうしたものか…

  すると、目の前にタクシーが1台止まっているではないか。さっそく交渉してみると、£6で行ってくれるという。結構良心的な値段なので快諾。夜道をブッシュミルズまで走り、10時前にどうにか無事YHAにチェックインすることができた。

 このユース、まだできて2年ほどしか経っていないらしく、建物は綺麗で清潔、おまけにこの日の宿泊者は数名で、事実上の個室となった。ここまで来れば、アイルランド最後の目的地まではもう少しだ。

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