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旅行記:イギリス&アイルランド(世界自然旅)

5.欲張りが仇 (2004/4/21:曇一時晴後雨

 のんびり谷歩き

 湖水地方も早3日目。今日と明日は、カンブリア・ウェイ(The Cumbria Way)のハイライト部分を歩くことにする。この道は湖水地方を南北に縦断するトレイルで、全長約110km、およそ5日間かけて歩くコースであるが、そこまでの余裕はないので、今回は1日半でおいしいところだけ歩こう、というわけである。

 まずは宿の少し北にあるバス停へと歩き、そこからスケルウィズ・ブリッジ(Skelwith Bridge)までバスに乗る(1日5~6便なので、事前に調べておいた)。5分あまりで目的地に到着し、バスを降ろされるが、道がわからない…少々さまよってしまったが、どうやら沢沿いに道が続いているようなので、それに従って歩くことにする。しばらくは林の中を進んでいくが、渓流を横目に見ながら歩くのは、こんな曇天の日でも悪くない。やがて視界が開けると、今度は一転して牧場の中を歩くようになる。ここからエルターウォーター(Elterwater)まで、羊たちを観察しながら、グレート・ラングデール(Great Langdale)の谷に開けた牧草地帯をのんびり歩いていった。

Skelwith Bridge
スケルウィズ・ブリッジ

Village of Langdale
ラングデールの村

 1時間足らずでエルターウォーターの町に到達するも、再び道がわからなくなったので、ひとまず無難に車道に出て、さらに西へ西へと進んでいく。車が間近に通るのが若干怖いものの、この辺りは幹線道路に比べれば交通量が少ないので、まだまだマシだ。しばらく歩くと小さな村に出るが、ここでトレイルの標識を発見したので、再び歩道へと入っていく。道は再度沢沿いののどかな風景の中に吸い込まれていき、やがて傾斜地を進むようになる(この辺りも道がわかりにくく、少々迷った)。高度を少し上げると展望は良くなるもので、谷に開けた牧草地と山々の景色が美しい。だが、この辺りで雨が降り出したので、のんびりするのもそこそこに、先のダンゲオン・ギル(Dungeon Ghyll)の集落に下りていった。

Langdale valley
グレート・ラングデールにて

 周りにつられて

 ダンゲオン・ギルまで歩くと、まもなく車道は終了し、ここからはトレイルだけとなる。雨も止み、谷奥の牧草地を見ながら歩くのは快適だ。そしてこの先、イングランド最高峰を擁するカンブリアン山脈(Cumbrian Mountains)に向かって、道は延びている。

 平坦な谷底の道を進むと、しばらくで分岐に到着。ここで右折し、ステイク・パス(Stake Pass)を越えていくのが本来のルートである。ところが、前を歩く人たちを見ていると、皆左折(と言うより直進)し、正面左を登っているではないか。こちらは、最高峰のスキャフェル・パイク(Scafell Pike:978m)に通じるルートで、山脈の核心部に進むコースだ。おまけに、トレイルも右折の道より左側の方がはっきりしている。もともとは右折するつもりだったのだが、ここまでのんびり3時間、まだ時間にも体力にも余裕があるし、天気も悪い状態から抜け出しつつあるようだし、最高峰に近づくのも悪くない…ということで、予定を変更して左折することにした。

 道はまもなく登りにかかり、ぐんぐんと高度を上げていく。振り返れば、背後の山々と谷の景観が良い。整備の行き届いていた道も、登るにつれて険しくなり、歩きにくいところも出てくるが、そんなに厳しいわけでもないので難なくクリア。いつの間にか谷底では全く見えなかったグループにも追いついてしまい、ほどなくして峠に到達。眼下にはアングル池(Angle Tarn)も見えてきたが、ここは休憩に良さそうな所なので、池の畔まで下りて、少し遅めの昼食を取ることにした。

Cumbrian Mountains
来し方の山

Angle Tarn
アングル池

 退却!

 ところが、ちょうどこの頃から雨が降り出し、すぐに本降りとなってしまった。食事をしながら待機するも、雨は一向に弱まる気配はないどころか、ますます強くなってしまった。山々は霧の中に身を隠し、身を切るような風が体も心も冷やす。最高峰はもう間近なのだが、これ以上登っても意味はないだし、危険ですらある。結局1時間ほど待ってみたが一向に回復しないので、ここはためらうことなく退却することにした。

 とりあえず風雨を避けるために谷を下りていくが、この辺りの地図は持ち合わせていなかったので、勘を頼りに進んでいく。道は途切れ途切れながらも続いていて、どうにかひどい風雨から身を守る場所まで下りることができた。振り返れば、カンブリアン山脈が少しだけ顔を覗かせている。しかし昨日も感じたことだが、湖水地方の山々の景観は、はっきり言って大したものではない。特に特徴もなく、草だけ生えた単調な景色…このあたりは少々期待外れであった。

 雨は相変わらず降り続いているが、道は延々と谷に沿って続いており、これが思いのほか長い…しばらくするとステイク・パスからの道と合流するも、道はまだまだ続く。悪天候の中、これだけ長い時間歩くのは久しぶりなので、少々疲れてきた。途中からは再び羊たちが遊ぶ牧草地となるが、この雨でどこかに逃げたいのか、羊の群れも私に追われるように歩き、やがて境界の塀で立ち往生…私が階段を使って乗り越えていくのを恨めしそうに見ている。少々悪いなぁ、と思いながらもそのまま進み、疲れきった体に鞭打って、風雨の悪路を進んでいった。

 だらだらと歩き続け、池から3時間ほどで車道に出て、ストーンスウェイト(Stonethwaite)の集落が現れた。ここでようやく雨が弱くなり、ずぶ濡れの心と体も、少しは回復してきた。そして、ほどなくしてロングスウェイト(Longthwaite)のYHAが登場したので、今日はここでお泊りする。ここは湖水地方の観光にはマイナーな場所のはずだが、最高峰に近いだけあって、山好きと思われる人たちで結構な賑わいだ。シャワーを浴び、美味しい食事をいただいて疲労も回復したところで、早々に眠りについた。

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