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旅行記:中国西南部(世界自然旅)

18.シャングリラの始まり (2004/9/12:雨時々曇

 知られざる横断山脈

 横断山脈は、チベット自治区東部から四川省西部、雲南省北西部にまたがる広大な山域で、ヒマラヤ山脈の東に位置する。このエリアは最近まで未開放地域であった(今でも、チベットへの入境は制限されている)ため、あまり知られていないが、数多くの美しい雪峰を擁することで近年注目を集めている。四姑娘山(6250m)はその東端に位置し、成都からほど近いこともあって、人気の出てきたところだ。

 とりあえずバスで都江堰にやって来ると、続く小金行は早朝に1本しかないため、今日は移動できない…仕方なくターミナル横の古堰旅館で一夜を過ごし、翌朝、まだ暗いうちに出発した。

 いったん臥龍で休憩すると、道はそこから急に高度を上げ、つづら折に登っていく。やがて巴郎山峠(4487m)に登りつくと、そこからは一気の下り。あいにくの雨模様のため、麗しの四姑娘山は全く見えなかったが、こうして昼過ぎには無事、麓の日隆に到着した。

 雨がひどかったので雨宿りしていると、ここでチベット族の夫婦に声をかけられた。宿の呼び込みかと思って断るが、良いから乗れ、とばかりに車に乗せられ、冰石酒吧(Iced Rock Bar)に送られた(そして、彼らは去っていった)。

 訳もわからず中に入ると、そこには英語の話せるマスターがいた。英語の資料や文献、欧米人の写真が多いので、どうもここは外国人の溜まり場になっているらしい。宿を探している旨伝えたところ、さっそく階上の多吉山荘を紹介された。正直、あまり綺麗な部屋ではなかったが、1泊15元だというので納得し、その場はうまく収まった。

 大香格里拉の情報

 実は四姑娘山に関する情報をあまり持ち合わせていなかったので、荷物を置いたらバーに戻り、資料を物色させてもらう。すると中国人の男が現れ、「四姑娘山に登るつもりか」と(たどたどしい英語で)尋ねてきた。「いや、トレッキングをするだけだ」と伝えると、彼は一瞬残念そうな顔をしたが、すぐに「日本人の友だちを知っているので、呼んでやる」と言って、いきなり電話をかけ出した。なんというお節介…そして、携帯電話を渡されて話すのだが、お互い何が何だかわからず、困ってしまった。

 が、とりあえずバーまで来てくれることになったので待機する。しばらくして現れたのは、中山さんという人。ほぼ同年代のようだが、上海に住んでいるとのことで、中国語はペラペラである。彼は昨日、中国人数人とともに大姑娘山に向けて歩いたのだが、天気が悪くて景色は今ひとつだったらしい。今日は停滞を余儀なくされたが、この後、北の理県まで縦走し、甘孜・理塘・徳栄などを経由して、梅里雪山、そして瀘沽湖を巡って旅を終える予定だそうだ。

 私のルートと重なる部分もあるので、いろいろと貴重な情報を教えてもらったが、中でも有難かったのは、稲城亜丁の話である。このところ、中国ではトレッキングがブームになっていて、特に若い人を中心に人気だそうだが、ここが今、注目の的になっているらしい。私は、その辺りは通過してしまおうかと思っていたが、『中国国家地理』に掲載された写真は非常に美しく、もの凄く旅心を刺激されてしまった。これは行かなければ!

 また、この本で知ったのだが、最近はこの横断山脈一帯を「大香格里拉」と呼んでいるらしい。これはジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に描かれた理想郷・シャングリラに由来するもので、雲南省の中甸が2002年、自らを「香格里拉(シャングリラ)」だと宣言して(地名まで変えて)話題になった。しかし、一帯にはシャングリラを自認する地域がいくつもあり、論争が絶えない。確かに、原作を読むと中国に近いチベット世界の話だし、最も影響を与えたとされるジョセフ・ロックの紀行も、この中国西南辺境を対象にしている。そう間違ってはいないと思うが、もともと架空の話であるから、無駄な論争は避けようということなのだろう。

 ともあれ、こうして初日は過ぎていった。

 四姑娘山登場!

 翌13日になると、雨はすっかり止んでいたが、上空は雲に覆われていて、やはり四姑娘山の姿はなかった。これでは出かけても意味がない…と思っていたら、不意に青空が覗き出し、うっすらと、しかし確実に、秀峰・四姑娘山が見えてきた。何て美しい…

 そこで慌てて準備を整え、出発する。四姑娘山周辺には、海子溝・長坪溝・双橋溝という見所があるが、ひとまず展望を楽しみたいので、海子溝方面に入っていく。長坪溝入口の脇から鍋荘坪に登る道があったので、まずはそこを登っていくと、次第に雲が晴れてきて、秀逸な姿を垣間見えるのが嬉しい。

 そして、鍋荘坪に登りつくと海子溝本来の道と合流し、さっそく雪をいただく山の姿が見えてきた。四姑娘山も左手にあるはずだが、あいにく木々が邪魔しているので、もう少し登らなければいけない。頑張ろう。

Haizi view
鍋荘坪にて

 すると、チョルテン(仏塔)のある高台に上がったところで、ついに聖なる山が現れた。左から最高峰・四姑娘山、三姑娘山(5664m)、二姑娘山(5454m)、大姑娘山(5355m)と、4姉妹が揃い踏み。頂上付近は雪になっていたようで、それぞれ綺麗に雪化粧しているではないか。

 わかっていたとはいえ、やはり素晴らしい山容だ。ここ数日はずっと天気が悪かったそう(バーで話しかけてきた中国人も、1週間ほど滞在しながら、結局四姑娘山の姿を見ずに帰ってしまった)だから、到着翌日にこんな晴天に恵まれるなんて、とてもラッキーなことである。

Siguniang Mountain and Cholten
四姑娘山とチョルテン

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