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旅行記:中国西南部(世界自然旅)

7.喧騒の仙境 (2004/8/27:曇

 張家界にやって来て

 蒸し風呂のような寝台車で一夜を過ごし、張家界駅に着いたのは、朝の10時頃であった。思いのほか涼しい中を降り立つと、さっそく呼び込み隊が手薬煉ひいて待っている。なるべく関わりたくなかったので、しつこい絡みを振り切ってバスを探した。

 張家界に来たのはもちろん、世界遺産にもなっている武陵源を訪れるためである(ただし、中国国内では「張家界」と言った方が通じるようだ)。日本ではあまり知名度がないものの、石英砂岩が林立する奇観で知られた仙境の地で、桂林と黄山という、中国を象徴する2つの山水美を合わせ持つと言われている。これから西に向かうにあたって、是非とも訪れたいと思っていたところだ。

 ところが武陵源に向かうバスは見当たらず、その間に、乗客のほとんどは停まっていた観光バスに乗り込み、すぐに消え去ってしまった。日本の某ガイドブックには、駅前からバスが出ていると書いてあるのに…すると、たちまち呼び込みに包囲され、タクシーに乗らないかと誘われた。バスはないのかと問いただす(中国語はわからないので、筆談でやり取りする)と、街中に行けないとないと言う。仕方ないので、市街までバスで移動し、バスターミナルで無事武陵源行のミニバスを捕まえることができた。

 ミニバスは猛烈なスピードで飛ばし、道路工事による遅延をものともせず、2時間ほどで武陵源区にやって来た。ここには数日滞在する予定なので、さっそく1泊50元(約750円)以下の宿を探すが、なかなか条件に合った宿は見当たらない(ここは韓国人に人気の観光地なのか、やたら韓国語の表記が多い)。すると、自称ガイドを名乗る男が近寄ってきて、安い宿を紹介してやると言う。試しに付いていくと、そこは確かに50元だったのでひとまず確保。もう疲れたし、今日は天気が良くないので、そのまま横になって過ごした。

 ところが、しばしの滞在で、この常徳風味酒楼がかなりのボロ宿だとわかった。テレビはつくものの、トイレもシャワーも流れないし、鍵もかからない。部屋もベッドも清潔とは言い難いもので、これではかえって気分を害しかねない。明日には出て行くことにしよう。

 すると、夕食時になって急に宿の主人が現れて、下に降りてこいと指図してきた。何事だ? 訳のわからないまま1階に向かうと、そこには日本人の大学教授と、日本通の中国人がいた。なんでも、中国での講義を前にした接待で武陵源に来て、たまたま夕食に訪れたら、日本人が泊まっていると聞いたので呼んだのだという。この中国人は日本語ペラペラで、豪勢な夕食も奢ってくれて、久々に楽しい一時を過ごすことができた。

 曇天の始動

 そして翌日、予定通りチェックアウトして別の安宿を探すが、お高い観光ホテルが多く、なかなか思うようにはいかない。しばらく右往左往していると、西海山荘という宿の様子を窺っているところで声をかけられた。地方のビジネスホテル風だが、1泊70元でどうかと尋ねると、構わないから泊まれという(表記には150元以上と書かれている)。中は意外にしっかりしていて、昨日の宿とは雲泥の差だったので、ここに決めることにした。

 ところで、武陵源は張家界国家森林公園、索渓峪自然保護区、天子山自然保護区、楊家界景区の4区で構成されており、全てを見るには1週間を要するらしい。でも、入場料は2日で158元もする…ので、できれば2日で周れるだけ周りたいところである。ただ、索渓峪にある宝峰湖と黄龍洞は別扱いなので、実質的には3日間の観光になりそうだ。

 この日も冴えない天気が続いていたが、あまり暇を持て余すのももったいないので、ひとまず宝峰湖と黄龍洞に向かうことにした。どちらもバスはない(黄龍洞を通るミニバスはあるが、常に満員で途中乗車は難しい)ので、バイクタクシーを捕まえようとすると、近くにいた男が指を1本立ててしきりに勧誘している。てっきり1元で行ってくれるのかと思い、宝峰湖に行くよう指示すると、結局10元請求されてしまった。まぁ、橋が工事中で遠回りしたので目をつぶるが、さっそくボラれてしまった。

 宝峰湖に(62元払って)入場すると、さっそく大勢の観光客で賑わっていて閉口するが、まもなく分岐が現れた。湖に行くには、明らかに平坦な道を直進するのだが、右手は階段続きで、誰も歩いていない。このところヒトゴミに辟易していた身にとっては、至極魅力的に感じたので、ここはあえて苦難の道を選ぶことにした。

Baofeng view
百丈峡を望む

Baofeng Temple
宝峰禅寺

 階段は延々と続いていて、いったいどこまで続くのかわからない(ぐるっと周って、最終的には湖の入口近くに戻ってくる)が、とにかく一歩一歩登っていく。すると、しばらくで岩をくり貫いたトンネルが登場。世界遺産でこんなことして良いのかと思いつつ、さらに登ると見晴らしが良くなり、右手に百丈峡の奇峰群が見えてきた。おぉ、これだけでも苦労して歩いてきた甲斐はあった。

 わざとらしい演出

 汗がひくまで休んだら、分岐を左に見送り、さらに奥へと歩を進める。この先もしばらく登りが続くが、展望は効かなくなり、やがて急な下り階段が現れた。ここを慎重に下ると数峰亭、なおも急降下を続けると、まもなく宝峰禅寺が見えてきた。ここは一般道から程近いだけあって、数名の観光客で賑わっている。ゆっくり休みたいところではあったが、素通りして一般道へと降りていった。

 いったん舗装路に戻ると、まもなく湖に向かう分岐が現れたので右折。軽い山道を登り、そして下って湖畔に出る。すると、ちょうど団体客が船で出航するところだったので、脇道に逃げて同行を回避した。これで一安心と、次の船を待っていると、続いて別の団体がやって来てしまった。これでは待った甲斐がない…

Baofeng Lake
宝峰湖

 ともあれ、こうして宝峰湖の遊覧が始まった。走り出してもまもなく、湖岸から人が現れて歌を唄うという、わざとらしい展開には参ったが、周囲には奇岩・奇峰が屹立し、眺めとしては悪くない。「湖上の桂林」とでも言おうか、人工湖らしくなく、風景にマッチしているように見える。

Baofeng cruise
湖上を進む

 しかし、湖の奥まで進んだところで左折し、行き止まりの先耀湾で上陸すると、まもなく少数民族によるショーが始まった。何というベタな演出…中国人観光客は大喜びのようだが、個人的には面白くなかったので、早々に船に戻ってしまった。

 結局、イマイチ楽しめないまま遊覧ツアーは終了。後は急な道を下って、元のゲートに戻っていった。

Xianyao Bay
先耀湾からの帰路にて

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