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ベネズエラの国旗

旅行記:アンデス&アマゾン(世界自然旅)

25.失われた世界をゆく (2003/12/5:曇時々雨

 3国国境へ

 朝、起床すると完全に雲に覆われ、時折雨も降っているが、テプイの上に来たのだから仕方ないだろう。今日はベネズエラ・ブラジル・ガイアナ(Guyana)3ヵ国の国境(Punto Triple)まで歩くとのこと。この「失われた世界」でどんな景色が見られるのだろうか。

 ロライマでは、ポーターによる盗難もよく起こるというので、念のためテントに鍵をかけて出陣。しばらくは緩やかな道を歩いていくが、頂上では岩盤が露出し、あちこちに奇岩怪石を見ることができる。風雨によって削られたものらしいが、それにしても奇妙な岩だらけだ。

Roraima Rocks
頂上台地には奇岩が多い

 すると、先をゆくガイドが突然、足下の黒い点を見ていた。一瞬ゴミかと思ったが、よく見るとオレオフリネラ(Oreophrynella)ではないか。これは恐竜時代の生き残りとされる原始的なカエルの仲間で、ロライマ周辺でしか見られない希少種である。ここに来たら見ておきたいと思っていたので、じっくりと観察させてもらった(でも、なかなか動かない…)。

Oreophrynella
オレオフリネラ

  沢を渡ってからも、しばらくは岩盤の上をひたすら歩いていくが、この辺りから雨も降り出してきて、霧深い中を歩くことになった。適度なアップダウンをこなしながら進むと、やがて別の沢が見えてきた。ガイドが言うには、ここは分岐になっていて、どちらも国境まで行けるが、左に行くと悪路が多く、今の状態では難しいらしい。そう言われたら仕方ないので、皆の同意の上で、右手の道を進むことになった(個人的には、周回してくれるのがベストだったが…)。

Mushroom Rock
奇岩を縫って進む

 奇岩が映える

 ところが、沢を渡ってすぐに、道は岩だらけの難所となり、アクロバティックに歩かざるを得ない。かなり狭く険しいところを抜けると、目の前にはちょっとした林が登場。ここも世界最古の生態系の1つのようで、見たこともないような植物が多い。テプイの上は、生物にとってまさに「陸の孤島」。コナン・ドイルが、ここで恐竜が生き残っていると空想したのも不思議ではない。

 さらに奇岩帯を抜けていくと、ここにきて晴れ間が覗き、奇岩が映えるようになってきた。岩盤の上に登ると見晴らしも良くなり、奇岩の広がり具合が一目瞭然。実に風変わりな岩だらけで、あっけに取られてしまった。

Roraima Goblins
奇岩が広がる

Bell Rock
変な形をしたものばかり

 さらに歩を進めると、しばらくでアラボポ川(Río Arabopo)の源流に出て、ここから川沿いを歩くことになる。この辺りも奇岩の連続で、至るところに面白い岩を見ることができる。そして、少し登ったところで昼食休憩となるが、ここには白い結晶がたくさん散らばっていた。その名も水晶の谷(Valle de los Cristales)。辺り一面水晶だらけなのだ。

Roraima Pond
アラボポ川に出る

Valle de los Cristales
水晶の谷

  ガイドが言うには、10年前はものすごく綺麗だったが、このところ観光客が増え、持って帰ってしまう人も多いので、すっかり汚れてしまったらしい。確かに、良く見ると澄んだ水晶は少なく、輝きは今ひとつだ。こんなところでも環境破壊が進んでいるなんて、残念でならない。

  休憩中にすっかりまた曇ってしまったが、国境まではもう少しだと言うので、気合を入れ直して歩行を再開。左右に奇岩を見ながら登ると、やがて白い塔が見えてきた。あれが国境らしい。

Río Arabopo
川を遡る

Triple Rock
国境は近い

 国境帰り

 ここまで来ればもう着いたも同然なので、最後の岩登りをこなし、難なく3国国境に到達。周囲には取り立てて見るべきものはないが、いちおうお約束で、この塔の周りをぐるっと一周してみた。もうだいぶ頂上台地の奥に来たはずだが、周囲は霧に覆われているので、どの辺りにいるのかは見当つかない。こんなところに1人で来たら、間違いなく遭難するだろう。

Triple Point
3国国境

Strange Rocks
奇岩帯を見下ろし帰途につく

 少々佇んだら、やることもないし、早々に引き返していく。帰りも同じ道をたどるが、川から離れたところで再び晴れてきて、周囲の眺めが良くなってきた。こうなると、まるで月にでもいるような気分になってくる。気持ちの良い天気なので、ここで小休止してゆっくりと寛いだ。

 一息入れたら、その後は淡々と歩いて戻っていく。例によってイスラエル人は遅れ気味で、ガイドも呆れて怒り気味だ。途中ではあまりに遅れて迷子になり、ガイドが探しにいくハプニングも。ペースが違い過ぎるのも困ったものである。

Roraima Sandstone
やはり地球離れしている

  ともあれ、こうして夕方前にはキャンプ地に戻った。ロライマのキャンプ地は「ホテル」と呼ばれ、岩棚の下でテントを張ったり、食事をしたりするので、雨に濡れる心配はない。ただ、我々の泊まった"Principal"は、下のテントから上の食堂に上がるのに、滑りやすい岩を登らなければいけないので、その都度苦労した。

  そして、夜の頂上台地は暗く、静かで、とても寒い。さすがに恐竜を見つけることはできなかったが、ここにはその時代の生物がまだ生き残り、独自に進化しているのだ。そんなことを思うと、こんなところで眠れるなんて、考えただけでも幸せであった。

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