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旅行記:オーストラリア(世界自然旅)

67.荒野に一人 (2003/4/18:晴時々曇

 灼熱の中で

  カカドゥ行の定期バスは、あろうことか早朝6時半発…ツアー疲れで辛かったが、早起きしてバスに乗り、再び東に向かった。

  バスの中は、なぜか前方に白人等の旅行者が数名、間を空けて後ろにアボリジニの人たちが座っている(オーストラリアの場合、バスは自由席ではなく、ドライバーに指定される)。数時間が経ち、カカドゥの中心地・ジャビルー(Jabiru)が近づくと、後ろの方はなぜか盛り上がり、歌まで歌い出した。故郷に戻ってきた喜びだろうか?

  やがてジャビルーに到着すると、ほとんどの人はここで下車する。私もご多分に漏れず降りるが、他の人とは異なり、レンタカーを借りるため近くのガソリンスタンドに向かった。スタンドでは当初、店員に話が通じず困惑したが、受付が奥にあることがわかり一安心。ここで手続きをして車を走らせた。

  まずはビジターセンターに立ち寄って資料を収集し、ウビルー方面に向けて北上を開始する。先のツアーではただ走り抜けただけだったので、改めてこの間の奇岩と湿原の風景をじっくり見ようという魂胆である。

  幸いまだ交通量も少なく、気の向くまま景色を眺め、所々停車してはその景観を写真に収めていく。やはり自分のペースで進めるというのは良いものだ。水没区間も無事通過し、心ゆくまでこの風情を楽しんだのであった。

Flood road
水没している道

Flood plain
道脇の湿地帯

Rock at Ubirr
道沿いの奇岩

  その後、ウビルーの近くまで来たところで右折し、狭い道を進んでいく。次はツアーではまず行かないバーデジリジー(Bardedjilidji)のウォーキング・コースを歩くのだ。ここは、パンフレットに"This is one of Kakadu's most interesting short walks"とあるので、急遽歩いてみることにしたのである。

  既に外はかなりの暑さであったが、2.5kmなら大丈夫だろうと歩き始める。いきなり砂岩層が積み重なった奇岩が現れ、その後も様々な奇岩が迫る中を歩いていくが、思いのほか暑い…しかも乾季に入りたてのためか、先の大回りコースは通行止めになっていた。コース中にはいくつかチェック・ポイントがあり、パンフレットをもとに散策すると、周回は意外にあっけなく終了。駐車場では、灼熱地獄と化した車が私の帰りを待っていた。

Bardedjilidji Sandstone
バーデジリジー

Layer rock at Bardedjilidji
層状砂岩の景色が広がる

Canyon at Bardedjilidji
奇岩帯を抜けていく

 大岩を望みながら

  そこから再び南に取って返し、一路ノーランジー・ロックに向かう。岩の近くには昼過ぎに到着したが、せっかくなのでこの大岩を望みながら昼食を取ろうと、最適な場所探しを始める。絵葉書などを見て、すぐ近くのアンバンバン池(Anbangbang Billabong)越しに眺められる所を探すが、ノーランジー・ロック側の道からではその景色は拝められず、車道の終点から歩いてみても、湿地帯に入ってしまい先に進めない…

  やむなく引き返し、今度はナウランジャ方面から接近してみる。コース入口には「通行禁止」の文字があったが行けそうなので無視。しばらく進むと池が見えてくるが、同時に湿地帯に突入し、近づくのは容易ではない。今にもワニが現れそうで、なんだか気味が悪い…それでも池の畔にたどり着くと、そこからは小花咲く池越しにノーランジー・ロックを望むことが出来る。ようやく目的の場所にたどり着いたので、ここでしばしのんびりと過ごした。

  車に戻ったら、いよいよノーランジー・ロックに向かう。駐車場には数分でやって来たが、有名観光スポットだけあって、結構な数の車両が停まっている。もう昼下がり、止むを得ないかと納得しながら歩き始めると、思いのほか静かで人も少ない。さっそく壁画の残るエリアに入っていくが、どういうわけか人の気配はなく、じっくりと鑑賞することができる。岩の間を縫うように登り、やがて下りにかかるが、まるで人の姿はない。どうしたのだろう…

  不思議に思いながら進んでいくと、立派な木道の備え付けられた場所に入り、写真で見たことのある絵が現れ始めた。するとまもなく、人の気配も現れ始め、逆側からはツアー・グループが迫ってくる。さすがに核心部は人気で、人も大勢いるようだ。ツアー、家族連れなど、様々な人たちがアート・ギャラリーを鑑賞している。なるほど、ウビルーと双璧をなすだけあって、確かに保存状態も良く、見応えのある作品だ。

Nourlangie Rock from Anbangbang Billabong
アンバンバン池より

Anbangbang Main Gallery (1)

Anbangbang Main Gallery (2)

Anbangbang Main Gallery (3)
ノーランジー・ロックのギャラリー

  この一帯を抜けると、道はさらに東へ延び、まもなく登りに差しかかる。ここまで来れば人の姿も疎ら、と思っていたのだが、気がつけば先の方では賑やかな声が聞こえる…そしてカカドゥの原野を見渡すガンワデワルディ展望台(Gunwarddehwarde Lookout)に到達すると、ツアー客と思しき20人ほどの団体が辺りを占拠していたのであった。

  せっかくの展望台、このまま撤退するのは癪なので、しばらく待ってみることにした。すると、ほどなくして彼らは先の道を下り、駐車場に戻っていく。なんだ、意外にあっけないものだ。これで静寂を取り戻した展望台から十分に景色を眺めて、いよいよ本日のメイン・イベントへと進んでいった。

View from Gunwarddehwarde Lookout
ガンワデワルディ展望台より

View from the top of Nourlangie Rock
ノーランジー・ロック上より望む

Rocks around Barrk Sandstone Bushwalk
道中の奇岩

 荒野のハイキング

  もう時は午後3時半を回っていたが、これからBarrk Sandstone Bushwalkという12kmのコースを歩くことにしていた。ここはロンリープラネット社の"Walking in Australia"でタスマニアのオーバーランド・トラックとともに別格扱いを受けていたコースなので、是非歩いてみたいと思っていたのだ(そのために3Lもの水を用意していた)。

  さっそく展望台から登り始め、岩壁に囲まれた道を上がっていく。夕方近くになったとはいえ、まだまだ暑い…30℃は優に越えているだろう。しばらくは林の中を進むが、高度を上げるにつれ、振り返ると原野の展望が、先の展望台よりも広がって見えてきた。

  やがてノーランジー・ロックの上部にたどり着くと、一転して平坦な道となり、周りには奇岩がゴロゴロしている。その間を縫うように、緩やかなアップダウンをこなしながら進むが、なにか違う世界に迷い込んだような感覚だ。

  この奇岩帯を抜けると、左手と前方に再び原野の展望が開けてきた。辺りを見回すと、原野に奇岩が点在する風景が広がるが、人の気配はまるでない。まさに荒野の中に一人取り残されたかのようだ。この感覚がたまらない! だから一人旅を続けてしまうのだろう。

  それからさらに北に進むと、やがてやや急な下りとなり、岩の下へと下っていく。もう遅い時間だからかもしれないが、すれ違う人などまるでいない。不気味なほど静かだ。

Big rock at Barrk
大きな岩

Barrk lookout
展望地より

View of Gubara
グバラ方面を望む

  平地まで下ると、今度は岩壁を巻くようにして道ができている。この辺りからはだいぶ道がアヤフヤで、岩に所々残るアートに気を取られていると、ルートを見失いかねない(実際、一度は迷った)。もうまもなくでナングルワー(Nanguluwur)のギャラリーが現れるはずだが、それがどこかも良くわからない。それらしき岩壁を見つけたら道なき道も歩くが、どうもそれではないらしい…気がつけば陽も西に傾き、少々焦りを感じずにはいられなかった。

  しばらく歩いたところで分岐を発見し、想像以上に進んでいないことに気づいた。これでようやく自分の位置を把握し、落ち着いて歩いていくと、ようやく標識が登場。左手にギャラリーがあるというので、迫る大岩壁に向けて登っていくと、まもなくナングルワーに到着した。

  それにしても、これは驚きだ…極めて保存状態の良い壁画が多数残されているではないか。規模では他に負けるかもしれないが、絵の綺麗さにおいてはウビルーやノーランジー・ロックを凌ぐと言って良いだろう。ガイドブックには"The Gallery has some of the best art to be found in the park"と書かれていたが、それは嘘ではなかった。しかも誰もいない! 夕暮れが多少気がかりではあったが、じっくりとこの大画廊を堪能させてもらった。

Nanguluwur Gallery (1)

Nanguluwur Gallery (2)

Nanguluwur Gallery (3)
ナングルワーの壁画

  分岐に戻ったら、岩壁の下を駐車場に向けて歩いていく。ここからは基本的に林の中を歩くが、左手を見上げると、岩壁が金色に染まり始めていた。足元は徐々に暗くなり始め、道を判別するのも難しくなってきたので、慎重かつ大胆に歩を進めていった。

  そして陽が暮れるのも間近に迫った頃、道はふいに岩盤に差しかかり、開けた岩の上に出た。ここを一登りしたところで先を見ると、なんとノーランジー・ロックが真っ赤に染まっているではないか! こんな燃えるような赤は見たことがない…時間のことは忘れて、この大岩の夕焼けを見届けたのであった。

Sunset Nourlangie Rock
燃えるノーランジー・ロック

  陽が沈むと足元は一層危なっかしくなったが、なんとか先に進み、7時過ぎに無事駐車場に帰着。昼間にあれだけ停まっていた車も今は1台だけで、しかももう真っ暗であった。遅くなると道路自体閉鎖されてしまうので慌てて出発し、分岐からは南に進んでクーインダ(Cooinda)へ。そして8時には宿となるGagudju Lodge CooindaYHAに到着し、チェックインを済ませ、食事にもありついて事なきを得たのであった。

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