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旅行記:オーストラリア(世界自然旅)

56.砂の島を侮るな (2003/4/2:晴時々曇

 砂だけとは思えない

  シドニーからブリスベン経由で、ハービー・ベイ(Hervey Bay)には夕方の5時過ぎにたどり着いた。足掛け23時間の大移動となったが、これだけ長い間バスに揺られると、さすがに辛い…しかも、ブリスベンに来た時に感じたことだが、北上とともに確実に暑くなってきた。

  バス停からはColonial Log Cabinsの迎車で宿に向かい、10分ほどで到着。すると周辺にビーチがあるせいか、水着姿の女性たちが屯していて目に宜しくない…ここは熱帯地方の入口に当たるので、水着姿が当たり前なほど暖かいのだ。

  チェックインの際、明日からフレーザー島(Fraser Island)でトレッキングをしたいと申し出ると、それなら日帰りツアーで行って途中離脱するのが良い、とあっさり決められ、あれよあれよという間に予約が完了してしまった。もっと難航するかと思い、疲れもあってもう1泊するつもりでいたが、さっそく明日から出かけることとなった。

  部屋に入ったら、パソコンを取り出して恐る恐る動かしてみる。すると、どうにか立ち上がってくれたものの、なんと起動に15分もかかってしまった。慌ててバックアップを取ったら(エラーチェック、最適化などの)リハビリに励み、回復を祈る。あまりに時間がかかるので途中で眠ってしまったが、明け方確認すると、起動時間は5分にまで改善されていた。ともかく、これで一安心だ。

  そこで直ちに準備を整え、ツアーバスに飛び乗ると、10分少々でリバー・へッズ(River Heads)の港に到着。ここで島へのフェリーに乗り換えるが、島内でキャンプする場合は許可証を発行してもらう。ろくに準備もしていなかったので緊張したが、この手続きはあっけなく終了した。

  そして、フェリーはまもなく出発。さっそくパンフレットに目を通すと、「ディンゴに注意!」との内容で、注意書きがいろいろと書かれていた。そう言えばブリスベンに向かう車中、隣りの人がディンゴ(野生の犬)に注意するように言っていたが、テントを食いちぎったり人を襲ったりと、かなり危険らしい。1人で歩くなとも書かれているが、今さら言われても困る…とにかく注意だけは怠らないようにしようと心に決めた。

  ほどなくして、フェリーがフレーザー島側の港、キングフィッシャー・ベイ(Kingfisher Bay)に到着し、バスに乗り換えてツアー開始となった。ここは世界最大の砂の島で、南北約124km、東西20kmが全て砂でできているという(その貴重さゆえ、世界遺産にも登録されている)。確かに、下を見ると砂になっているし、道も走りにくそうだ(4WDしか入れない)。しかし、島の表面は亜熱帯雨林に覆われ、起伏もかなりあるので、とても砂だけとは思えない。70万年前から堆積しているらしいが、スケールが大き過ぎて実感がわかない。

 時間は過ぎて…

  バスはゆっくりと南へ向かい、最初のスポットとしてビラビーン湖(Lake Birrabeen)にやって来た。純白の砂が湖畔に広がり、湖のグラデーションが絵葉書のように美しい。すると、ここで休憩となり、皆水着姿になって思い思いに湖に飛び込んでいった。私はこの後歩くので自粛し、足を付けるだけにしたが、本当に美しい湖だ。

Lake Birrabeen
ビラビーン湖

  それからバスは反転し、北のセントラル・ステーション(Central Station)へと走っていく。途中、対向車とのすれ違いに難渋しながらも到着し、バスを降りてワングールバ・クリーク(Wanggoolba Creek)に向かった。この辺りはシダやカウリの大木、木の幹に根を張るスタグホーン・プラントなどが見られ、透き通ったクリークとともに、散策には最適な場所だ(それだけに人も多い)。ガイドの説明を聞きながらボード・ウォークを歩くが、私はろくに話も聞かず、周囲の美しい景観を眺めて過ごした。

Forest at Central Station
セントラル・ステーションの森

Wanggoolba Creek
ワングールバ・クリーク

  セントラル・ステーションを出発すると東に向かい、ユーロン(Eurong)で昼食となった。久々にバイキング形式の豪華な食事だったので、ついつい普段以上に食べてしまう。そしてここから歩き始める…つもりだったが、いったん北上して戻ってきたら離団だ、とガイドに決められてしまい、昼食後は再びツアーで動くこととなった。

75 Mile Beach
75マイル・ビーチ

  ユーロンから先は、75マイル・ビーチ(75 Mile Beach)という、実に100km以上続く直線のビーチを疾走していく。とにかく広大すぎて、走っても走っても景色が変わらない。バスは砂の奇景が広がるピナクルズ(The Pinnacles)まで北上し、しばしの休憩の後に南下。途中では難破船マヒノ(Maheno)を観賞し、エリー・クリーク(Eli Creek)では再び水着になって緩やかな沢を泳ぐ(私は泳がず)。この辺りは代表的な観光スポットだけあって交通量が多く、また各種ツアー客も多いので、大変な混雑である。

The Pinnacles
ピナクルズ

Maheno
難破船マヒノ

  最後は少々閉口しながらユーロンに戻ると、既に午後2時半を回っていた。今日はここから4~5時間かけてマッケンジー湖(Lake McKenzie)まで歩く予定だが、予想以上に時間が過ぎて、もう余裕がない。バスを降りるとすぐに準備を整えて、足早に歩き始めた。

  まずは、先ほど走った75マイル・ビーチを北上していく。車ならあっという間に走り抜けるが、歩くとなると思うようにはいかない。ただでさえ足を取られて歩きにくい上、走行車が多いため、足場の悪いところを歩かざるを得ないのだ。

  ワビー湖(Lake Wabby)の入口まで3.5km、軽く1時間以内で行けると思っていたが、それらしきものはなかなか見つからない…結局1時間あまりかかってようやくたどり着いたが、既に結構体力を消耗してしまった。砂の島は侮れない。

  ここからワビー湖に向かう道は、よく整備されていて楽な道のりであった。道中では水着姿の人たちと何度もすれ違うが、そんなものに構っている暇などないので、先を急いで足早に進んだ。

  30分少々で湖に到着すると、緑色の湖と砂丘がとても美しいが、湖で泳ぐツアー客がやたらといて騒々しい…あまりの賑々しさに嫌気が差して砂場に上がると、そこにはハンマーストーン砂丘(Hammerstone Sandblow)と呼ばれる広大な砂丘が広がっていた。砂漠ほど雄大ではないが、美しい景色だ。

Lake Wabby
ワビー湖

Hammerstone Sandblow
ハンマーストーン砂丘

  この砂丘を眺めながら北上すると、まもなく森の中に入り、じりじりと高度を上げていく。そして、まもなくワビー湖展望台(Lake Wabby Lookout)に到達。ここからは美しいワビー湖とハンマーストーン砂丘を一望できるが、ドイツ人3人組が世間話に花を咲かせて退いてくれない…そんな時ふと時計に目をやると、もう5時になろうとしているではないか。陽は傾き、ワビー湖は既に影になってしまっている。まずい…北上している上、季節も秋にかかっているので、どんどん日が短くなっているのだ。

  地図でこの後の行程を確認すると、まだ十数kmはあり、とても日の入りに間に合いそうにない。とはいえ途中にキャンプ場はないので、休憩もそこそこに、大急ぎで歩き始めた。

View from Lake Wabby Lookout
ワビー湖展望台より

 闇の森の恐怖

  展望台からは、ほぼ平坦な道を歩いていく。足場もしっかりしていて辛くはないが、森の中は早くも暗くなりかけてきた。早歩きで進んでいくが、時間だけはどんどん過ぎていく。この島では4WDを利用して走り回る人ばかりで、私のように歩こうという人はほとんどいないらしく、すっかり人の気配は感じられなくなってしまった。

  5時半頃、車道を横切って西に向かうが、森の中はすっかり暗くなり、夕陽の残る空の明るさだけが頼りになった。鳥の声が不気味に響き、少しの物音にも敏感に反応してしまう。ディンゴに襲われないだろうか…そんな不安を抱きながらも、早足で歩いていく。

  6時にもなると、目がだいぶ慣れてきたものの、陽は完全に沈んだらしく、周りの森の姿は見えなくなってしまった。さらに進むと慣れた目でも見えにくくなり、何度も道を外しそうになる。木の枝なども引っかかるが、全く見えない(半ズボンで歩いていたので、刺さって痛い)。6時半頃には、もう視力だけでは限界に達したので、トーチを付けて歩くようになったが、気がつけばもう真っ暗で、空には星が輝き始めていた。

  しばらく進むと車道に出たので、ここを横断。もはや経験(??)と勘だけで歩いていくが、途中にはほとんど標識がないため、本当に正しい道を歩いているのか、とても不安になってきた。

  さらに闇の森をゆくが、どこまで歩いて来たのかわからず、人の気配も全くないので、不安は一層掻き立てられる。いざとなったらビバークするしかない、と思いながらも、やはり恐怖心に襲われて仕方がない。ここまで怖い思いをしたのは久しぶりだ。とにかく、きっと助かると信じて歩き続けた。

Night forest
闇夜に巨木

  7時を回った頃、ようやく小さな標識を見つけ、道を間違えていなかったのだと気づく。するとまもなく、大きなカウリの木とともに分岐に差しかかり、左に折れると車道に合流した。轍だらけで歩きにくいものの、これで道に迷ったり、ディンゴに襲われる心配はなくなった。少し安心しながら歩くと、20分ほどで「マッケンジー湖」と書かれた標識が現れ、それとともに多くの明かりが視界に入ってきた。助かった!

  さっそくキャンプ場に入ると、既に多くの人が夕食を楽しんでおり、入り込むスペースがない…右往左往していると、奥の方にテント・サイトがあるというので行ってみるが、闇の中でディンゴが徘徊しているではないか。全くもって油断ならないところだ。

  到着したテント・サイトには、既に5張あまりのテントがあったが、幸いまだスペースは空いていた。しかし、テントを張るとまもなく、ディンゴがうろつきにやって来た。それからもディンゴが何度かやって来たが、食べ物がないと見るや、ゆっくりと去っていく。私は隙を見て手早く夕食を食し、危険のあるものは専用のコンテナに入れて万全を期したのであった。

  こうして心身ともに疲れきった体で眠りについた…が、隣りのグループが夜遅くまで騒いでいて煩い。どうやら泥酔しているらしく、何度も周りの人やレンジャーに注意されていた。この島は、人がいるところは本当に賑やかだ。

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