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オーストラリアの国旗

旅行記:オーストラリア(世界自然旅)

39.新しい国 (2003/3/6:晴

 行かなくちゃ

  ダニーデンからクライストチャーチ、シドニーを経由し、タスマニア島のホバート(Hobart)に到着したのは夜の10時過ぎ、足掛け17時間の大移動となった(時差は2時間)。そして、この日は予約しておいたCentral City Backpackersに駆け込み、シャワーだけ浴びて早々に眠りについた。

  翌6日は情報収集に充てるつもりで、まずはビジターセンターに寄ってみる。街中を歩くとNZよりも多国籍化した印象で、体格の良い人も多いので、ちょっと怖い感じだ。おまけに若者の柄が少々悪く、学生がたむろしていると何だか不気味でさえあり、やはり新しい国に来たのだなと思う。

  それにしても、とても良い天気だ。こんな日に出かけないのはもったいないので、急遽、近くのウェリントン山(Mt Wellington:1270m)に向かうことにした。

  実はオーストラリア、特にタスマニアについては十分な情報がなく、少々困惑していた。『地球の歩き方』はいちおう持っていたが、一般的な観光情報しかなく、今回のような旅にはあまり役に立たない。漠然とオーバーランド・トラック(Overland Track)とフレシネ国立公園(Freycinet National Park)ぐらいは歩こうと思っていたものの、それがどの程度のものなのか、交通機関はどうしたら良いのか、他にはどんなところがあるのか等、具体的な情報は乏しかった。

  そんな折、偶然にも「発見」があった。それはダニーデンで市街散策をしていた時のこと。ふと書店に立ち寄りガイドブックを物色していたら、ロンリープラネット社の"Walking in Australia"を見つけてしまったのだ。ニュージーランド版が出ているのは知っていたが、まさかオーストラリア版のウォーキング・ガイドが発売されているとは…これには正直面食らったが、おかげで旅の具体化が可能になったので、まずはそこに載っていたウェリントン山に出向くことにしたわけである。

  そこで昼食用の買い出しを行い、バスに乗って起点となるファーン・ツリー(Fern Tree)を目指す。目的地には30分ほどで到着したが、帰りの最終バスまで既に6時間を切っていたので、支度を整えたらさっそく歩き始めることにした。

Octopus Tree
オクトパス・ツリー

 隣接の異空間

  コースは、バス停から少し下ったところから始まる。まずはファーン・グレード・トラック(Fern Glade Track)に入り、シダの茂る森の中を登っていくが、森の印象はNZとは異なり、どことなく浅い感じだ。木の種類も違うが、具体的な名前がわからないのが悔しい…

  10分あまりでラドフォーズ記念碑(Radfords Monument)が現れるが、ここは直進してウッズ・トラック(Woods Track)に入る。しばらくは平坦な道が続くものの、やがて下り坂となり、車道を横切ってさらに下っていく。すると10分ほどで分岐が現れ、今度は左に折れてベッツ・ベイル・トラック(Betts Vale Track)となり、まもなくオガディー滝(O'Gradys Falls)が現れた。名前が付いているだけに期待していたのだが…まぁこの天気に免じて許してあげよう。

  滝を横切るとまもなく登りにかかり、徐々に高度を上げていく。分岐を右折し、次も右折してショブリッジ・トラック(Shoobridge Track)を進むと、やがて右手に大きなオクトパス・ツリー(Octopus Tree)が登場した。こちらはまずまずの迫力だ。

  この先を左折すると本格的な登りとなり、大きな岩の横を登っていく。しばらくの辛抱でレナ・バレー・トラック(Lenah Valley Track)との分岐にたどり着いたので、ここで少々寄り道をしてスフィンクス・ロック(Sphinx Rock)の展望台に行ってみることにした。ここまで1時間ほどかかったので、時間的にも良いタイミングだ。

  展望台にはマウンテンバイクで来ていた人が1人いるだけで、とても静かであった。枯れ木越しにオルガン・パイプス(Organ Pipes)とウェリントン山、逆側にはホバート市街が望める。ここで軽食を取って、しばし景色を楽しんだ。

View of Mt Wellington
ウェリントン山 (スフィンクス・ロック展望台より)

  休憩後、数分で元の道に戻り、再び頂上目指して歩き始める。だんだんとオルガン・パイプスが迫ってきて、車道を横切ってさらに登ると、もう目の前には岩壁が立ちはだかっていた。やがてオルガン・パイプス・トラック(Organ Pipes Track)と合流し、しばらくこの岩壁に沿って歩いてみるが、縦に線の入った(ような)岩壁はとても印象的で、これが市街に隣接したところにあるのが不思議である。

Organ Pipes
オルガン・パイプス

  しばらくして引き返し、この先のジグザグ・トラック(Zig Zag Track)から頂上へと登りつめる。名前ほどきつい道ではないが、緩やかなジグザグ道をひたすら登っていった。

  すると、途中からは森がなくなり、奇岩怪石の世界が広がった。右手にオルガン・パイプスと山頂付近の奇岩、左手には南ウェリントン方面の奇岩帯が見え、背後にはホバート市街の大展望が高度感を増して見えてくる。想像以上に素晴らしい景色だし、何より人がほとんどいないのが良い。

  この登りをこなすと山頂に建つタワーが間近に迫り、まもなく平坦な道になった。もう山頂だ。この辺りも奇岩怪石だらけとなっており、散策するだけでも面白い。

Ploughed Fields
南ウェリントン方面の奇岩怪石群

View of Hobert
ホバート市街の展望

  結局スフィンクス・ロックの展望台から1時間あまりで到達したが、山頂には車で来られるだけあって、かなりの人で賑わっていた。確かに景色は素晴らしいのだが、騒々しさがそれを台無しにしてくれる(特に関西人のカップルが「ここはええなぁ~」と言っていたのには興冷めした)。ここは私がいるべき場所ではないと悟り、足早に山頂の展望台を後にした。

Mt Wellington rocks
ウェリントン山頂付近

  山頂からはしばらく元の道を辿り、やがて右に折れて南ウェリントン・トラック(South Wellington Track)に入っていく。ここから先もまた奇岩怪石の連続で、この世のものとは思えぬ景色が広がっている。やはり新しい国に来たのだなと、しみじみ思いながら歩いていった。

  しばらくは赤茶けた岩の間を歩くが、山頂からわずかでもう誰もいない。この景観を見ないで大多数の人は降りてしまうのかと思うと、何だかもったいないような気持ちであった。

Wellington rocks
途中の奇岩怪石帯

  30分ほどでロッキング・ストーン(Rocking Stone)の分岐に到達。せっかくなので寄り道してみるが、上から見るとただの巨石の集まりにしか見えず、残念であった(南ウェリントン方面の景色は良いのだが)。

  この先は徐々に道が悪くなり、歩きづらいところが出てくる。それでも気をつけながら進むと、突如枝が東側に曲がった森が現れた。今日のような天気なら全く問題ないが、普段は天候の厳しいところなのであろう。ここを抜けるとスミス記念碑(Smiths Monument)との分岐が現れたので、進路を東に変えて下りにかかった。

View from Rocking Stone
ロッキング・ストーンより南ウェリントン方面

South Wellington
南ウェリントンと曲がった枝の森

  ここからの下りは結構急で、しかも石や岩だらけ、道も狭いのでとても歩きにくい。怪我をしないようゆっくり下るが、気がつけばもう最終バスまで1時間を切っているではないか。このままでは遅れかねないので、少々焦りながら足早に下っていく。

  20分ほど下ると急に道が良くなり、快適に下れるようになった。やがてスプリングス(The Springs)の分岐点に到着。ここでラドフォーズ・トラック(Radfords Track)に入れば良いのだが、分岐が複雑に入り組んで極めてわかりにくい…もう時間が迫っているので、正しいことを信じて下っていくと、やがて車道に出たので、しばらくはそれに沿って歩いていった。

  ところが、まもなく標識が現れるはずだと思って歩いても、何も現れない。そこで地図で確認してみると…しまった、手前で地図にない道を下ってしまい、予想より奥の車道に出てしまったようだ。仕方ないので遠回りし、この先のフィンガー・ポスト・トラック(Finger Post Track)を下っていった(この入口も非常にわかりづらかった)。

  まもなくウッズ・トラックとの合流点で右折し、後は行きの道を駆け足で翻っていく。この時点でもう残り15分を切っていたので、かなりギリギリだ。ラドフォーズ記念碑に着いたのが10分前で、いよいよまずいので競歩のごとき早歩きで下山。最後は走るように下ると、時間ギリギリでどうにかファーン・ツリーに到着し、まだバスが出ていないことを祈ってバス停に向かった。

  こうして行きに降りたバス停でしばらく待ってみるが、バスは通らず、もう行ってしまったのかと少々焦り始める…と、ここでバスが現れ、かなり手前の道路脇に停車した。そこで確かめに駆け寄ってみると、確かに最終バスのようだ。まもなくバスが発車したので、慌てて手を振ると、最終バスは気づくことなく、目の前を通り過ぎてしまった。あぁ…

 勝手が違う

  あまりにむなしい展開に途方に暮れて、何となくホバート方面へと歩き始めるが、脱力感で一杯だ。ともかく戻らないと仕方ないので歩くが、他の車は悲しいほど速く通過していき、回送バスも何台か通っていく。ここでNZなら誰かが車を停めてくれるのだろうが、そんな気配は微塵もなかった。

  つまらない車道歩きを続け、2時間ほどで市街が近づいてきた。南ホバートまで下りるとようやくバスが走るようになったので、ここで待機すると、時間を過ぎてバスが登場。再び通過されそうになった(こんなところに、まさか乗客がいるとは思わなかったようだ)が、どうにか乗せてもらうことができた。

  バスはものの数分で市街に到着し、ここで突然降ろされたが、場所が良くわからない(教会の横だが、そんなものはガイドブックの地図には記載されていない)…そこでやむなく歩き始めると、幸運にもすぐに宿に出くわした。ともかく、無事帰還できて一安心であった。

  そして翌日からは情報収集を始めるが、NZとは勝手が違って情報を集めにくい。ビジターセンターでさえ詳しい情報などはあまり表示されておらず、パンフレットを集めるのが関の山だ(直接担当者に聞けば良いのだろうが、混んでいてそんな気にはなれない)。日本人旅行者向けのインフォメーションセンターも同様で、ありふれたツアーを紹介される始末…これでは仕方ないので、後は自力で情報収集・分析を行うことにした。

  また、店は夕方以降になると極端に開いているところが少なくなり、恐ろしいほど静まり返ってしまう。ホバートの中心地も、とても州都とは思えないほど静かで、油断していると食事もままならないほどだ(近くにはスーパーがなく、郊外に20分ぐらい歩く必要がある)。おまけに、失くしたコンタクトレンズの調達もままならず、製品が届くのはしばらく先だという…

  NZとオーストラリアは比較的似た国だと言われるが、やはり違う国に来たのだと感じずにはいられなかった。

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