検索 Google
五輪館
Back|Next
旅巧館旅行記ヨーロッパ>アルプス
スイスの国旗

旅行記:アルプス(世界自然旅)

66.直登急下降 (2004/7/28:晴

 喘ぐ直登

 日本のガイドブックを見ると、この先はどれも、ボビーヌ(Bovine)経由でフォルクラ峠(Col de la Forclaz:1526m)に抜ける案内となっているが、ロンプラによると、バリエーション・コースになるアルペット峠(Fenêtre d'Arpette:2665m)を越える方が景色は良く、メジャーらしい。個人的にも後者の方が面白そうなので、好天も手伝って、今回はバリエーション・コースを歩いてみることにした。

 シャンペを発ったら車道を進み、まもなく左折。チェアリフトの脇を通って、アルペットの谷(Val d'Arpette)を進んでいく。しばらくは樹林が続くが、軽い登りをこなすと視界が開け、アルペット(Arpette)の集落が見えてきた。前方にはアルペット峠を囲む山々が望め、荒涼とした世界が広がっている。ここには宿もあり、これから出発しようという一団が準備に追われている。巻き込まれたら適わないので、ここは素通りし、さらに奥へ進んだ。

Val d'Arpette
アルペットからの眺め

 しばらく平坦な道を歩くと登りになり、やがて岩場の道を沢に沿って直登するようになる。いつの間にか森林限界を越えて、傾斜はさらにきつくなってきた。ここをやり過ごすと一旦平坦な箇所に出て、岩だらけの世界を歩くようになる。左右の山を見ても岩だらけで、実に荒々しい風景だ。

Aiguilles from Val d'Arpette
左手の針峰群

Six Carro and Clochers d'Arpette
右手の岩稜

 そして、ここから本格的な登りが始まる。分岐を右に進むと、始めはトラバース気味だが、ガレ場を越えたところからはまさに直登で、真上に見える峠目指して厳しい登りが続く。かなりの急斜面をジグザグに登っていくが、さすがにここはキツイ。見上げると多くのトレッカーが登っているが、皆非常に辛そうだ。

  私も喘ぎながら登り、何人も追い抜いていくが、きつくて休まずにはいられない。気がつけば大杉さんの姿が確認できなくなってしまったが、きっと登ってくるだろうと信じて、ゆっくりと歩を進めた。

 黙々と登り続けると、いつの間にか峠が近づき、頭上で休んでいる人たちが迫ってきた。そしてまもなく、峠に到達。ここは狭い上に休んでいるトレッカーも多いので、かなり狭苦しい。行く手の谷は見下ろすことができるが、目の前のトゥリアン氷河(Glacier du Trient)とツール針峰(Aiguille du Tour:3544m)は、手前の岩が邪魔して良く見えないではないか…

  これでは納得し難いので、体力が回復したところで岩場を登り、展望の良い場所まで歩いてみる。すると、ものの数分でトゥリアン氷河が全貌を現し、荒々しい姿が目に飛び込んできた。これは来た甲斐があったとばかりに、誰もいない展望地でしばし氷河に見入った。

Aiguille du Tour
トゥリアン氷河とツール針峰

View from Fenêtre d'Arpette
行く手の景観

 一転急下降

 存分に氷河を堪能したら峠に戻るが、まだ大杉さんの姿は見当たらない。元の道を覗き込んでみると、下の方で、顔を歪ませながら登っているのが見える。足取りもだいぶ重そうで、時間を置いて何度か見るが、なかなか近づいて来ない。頑張れ大杉さん!そう念じると、少しずつ迫ってきて、最後には無事峠に登りつくことができた。かなりきつそうだが、とりあえずお疲れ様。

 この先は一転して急下降。峠からは、目もくらむような下りが続いているのが見える。足場に注意しながら下ると、まもなくトゥリアン氷河が再登場し、険しい景観を提供してくれる。なおも急斜面を下っていくと、道は緩やかな台地に出た。ここは氷河の末端が間近に迫った展望地。のどかで居心地も良いところなので、休憩を取って氷河を眺め尽くした。

Glacier du Trient
トゥリアン氷河が迫る

 後続が来て賑やかになったところで歩行を再開し、再び谷を下っていく。道は先ほどより緩いものの、延々と下りが続いている。まもなく樹林帯に入り展望が効かなくなってきたので、その先は淡々と下ることにする。やがて川原近くに出ると、日帰りハイカーが多くなってきて、レストランが現れたところで大休止。氷河を眺めながら、大杉さんが現れるのを待つことにした。

Trient view
氷河を振り返る

 最後は緩やかに

 この辺りは人気の日帰りコースらしく、実に多くの家族連れが訪れている(日本人らしき人は全く見当たらないが)。峠から下りてくると、この辺の景観は大した感動ではないが、手軽に氷河が見られる絶好のポイントなのだろう。こういう光景は日本ではなかなか見られない(日本では中高年に占拠されている)ので、その様子を眺めながら、退屈することなく時を過ごした。

 大杉さんが現れ、しばらく休んだら最後の下りに取りかかる。橋を渡って左岸に出たら、幅広い道を道なりに歩いて谷底へ。ここまで来ればもう、さすがに道は緩やかで、至極のんびりと歩くことができる。30分も歩けばル・プティ(Le Peuty)にやって来て、さらに10分ほどで、今日の宿泊地、トゥリアン(Trient)に到着した。

 トゥリアンでは、街道近くのRelais du Mont-Blancにチェックイン。あいにく今日は馬で旅するグループが泊まったりして、ドミトリーでもほぼ満員に近い状態だ(ハイシーズンになってきた証拠だろう)。あのボナッティ小屋以降、やや宿に物足りなさを感じるのは気のせいだろうか…

 ともあれ、これで1週間のTMBも6日が終了し、残り1日となった。明日、フランスに入ればトレッキングは終わり、そしてこの旅も事実上終焉となる。果たして最後にどんなドラマが待っているのか、期待に胸が膨らむばかりだ。

Page Top
Copyright © gorinkan.org All Rights Reserved.