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旅行記:アルプス(世界自然旅)

65.暴風の峠 (2004/7/27:晴時々曇

 再びの混雑

 この日は再び快晴で、正面に立ちはだかるグランド・ジョラスもモン・ブランもくっきり見えている。そこで、美味しい朝食をいただいたら大杉さんには先に行ってもらい、しばし周囲の景観を堪能。この小屋はすっかりお気に入りで、機会があればまた訪れてみたいほど。やがて陽が差してきて、他の人たちも続々と出かけていったので、私も満を持して出立することにした。

 ここからは一旦樹林帯を急下降し、谷底のラバシェイ(Lavachey)まで下ったら右折。車道を歩いてバスの終点、アヌーバ(Arnuva)に向かう。それにしても、日本のガイドブックではこのフェレの谷をバスで駆け抜けてしまうのだから、実にもったいない! 早いところ改訂してもらうか、誰か代わりに紹介本を書いてくれないと、日本のトレッカーはこれからも核心部を見逃すことになるだろう…

 今日は異様に風が強く、フェレの谷底でも押されるほど。アヌーバからは未舗装路になるが、それでも車の通れるような道を、徐々に登っていく。左手には3国国境の山、モン・ドラン(Mont Dolent:3823m)から続く山並みが見える。道はやがてつづら折になるが、前方に大集団が見えてきた。昨日までは静かだったが、誰もが通るメイン・ルートに出て、再び混雑に巻き込まれそうだ。頭上のエレーナ小屋(Rifugio Elena)に向かって登りが続くが、ここは直登のショートカットを利用して、一気に大集団を追い抜いていった。

View from Arnuva
アヌーバの先より

 エレーナ小屋にやって来ると、正面にモン・ドランとプレ・ドゥ・バ氷河(Glacier de Pré de Bar)が聳え、左手にはグランド・ジョラスとフェレの谷が広がっている。何とも贅沢な眺めだ。ここで休憩も兼ねて鑑賞していると、タイミング悪く小屋から別の集団が現れ、登り始めてしまった。後ろからはもう、先ほどの集団がやって来て、小屋で休むことなく登り出しそうな勢いだ。こんな集団に先を越されたら身動き取れなくなるので、ここは早めに行動を再開することにした。

Mont Dolent
モン・ドラン (右) とプレ・ドゥ・バ氷河

View of Val Ferret
フェレの谷とグランド・ジョラス (右)

 国境を越えて

 ここからはスイスとの国境、フェレのコル(Grand Col Ferret:2537m)に向けてひたすら登るわけだが、登りは個人差が出やすいため、グループはたいてい遅くなる。ここでも予想通り、あっけなく集団に追いついてしまうが、20人ほどの大グループなので、細道では抜くに抜けない…この渋滞にはまって最後尾で悶々としていると、しばらくして道が少し広くなった。これは千載一遇のチャンス!とばかりに、ここを走って登り、ギリギリで集団の先に出た。さすがに息が切れるが、これで一安心。なおも登ると大杉さんに追いつき、すぐに追い越して峠を目指した。

 峠までは、ジグザグの登りがしばらく続く。先ほど走った影響で早くも疲れが出てきたが、ここは我慢のしどころ。フェレの谷の眺望に感激しつつ、ペースを極端に落とさないよう粘って、先にいた欧米人をペース・メーカーにして歩いていく。すると急登は終わり、目の前に峠が見えてきた。ここまで来ればもう一息。後は斜面をトラバースして、無事この難所もクリアすることができた。

 峠からは、イタリア側はもちろん、スイス側の穏やかな景色も見える。雲が多くて残念だが、それにも増して風が強い。油断したら吹き飛ばされそうなほどなので、ここはとても長居できない。本当はイタリア側の最後の展望をじっくり味わいたいところだが…とにかく素晴らしかった。チャオ、イタリア!

Pointe Combette
スイス側は穏やかな山容

 スイス側に下り始めると、道はなだらかで歩きやすくなり、風の影響も驚くほどなくなってしまった。振り返ればグランド・ジョラスがひょっこり顔を出していて、別れを惜しんでいるかのようだ。

  ここをのんびり歩いていくと、逆側からMTBに乗って峠を目指す人の姿が多くなる。なだらかな道が多いとはいえ、所々急なところもあるので、結構しんどそう…ヨーロッパはサイクリングが盛んなことでも有名だが、こんなところまで進出しているとは、いやはや恐れ入った。

 左の尾根を周り込むようになると、道はやや急になり、左手にフェレの谷が見えるようになってくる。そろそろお昼時だが、途中のレストランは混雑しているのでパスし、少し下って見晴らしが良くなった所で昼食を取った。

Val Ferret (Swiss side)
スイス側のフェレの谷

 楽々バス移動

 ここからは広い道を淡々と下り、ほどなくしてフェレ(Ferret)の集落に到着。しかし、次のバスまで時間があるので、車道をのんびり歩いて次の集落、ラ・フリ(La Fouly)まで足を延ばし、ここで若干の買い出しを済ませた。

Glacier de l'A Neuve
ヌーベ氷河 (ラ・フリより)

 ラ・フリはヌーベ氷河(Glacier de l'A Neuve)が眼前に望めて風光明媚なところだが、この先は展望が効かず歩く価値が少ないらしいので、バスを使って一気に距離を稼いでしまうとしよう。

  そこで3時過ぎのバスでフェレの谷を下り、終点のオルズィエール(Orsières)で乗り換え。30分ほどの連絡でシャンペ(Champex)行に乗り込む。周囲の景観はそれほど悪くなかったが、やはりバスを使うと楽で早い。歩いたら1日かかるところもあっという間だ。

 バスはジグザグの道をぐんぐん上がり、まもなく湖のあるリゾート地、シャンペにやって来た。ここは思いのほか観光地化されていて、今までの雰囲気とはがらりと変わっている。多くのホテルが立ち並び、商店や土産物屋も多くて実に賑やかだ。

  ちょっと場違いな感じを抱きつつも、まずは観光案内所に行って天気予報をチェック(明日、明後日も良いらしい)し、ついで予約してあった宿、Chalet du Club Alpin Suisseに向かう。昨日のボナッティ小屋が素晴らし過ぎたので、どうしても見劣りしてしまうが、そんなに悪い宿ではない。ここで英気を養って、残り2日に備えた。

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