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旅行記:アルプス(世界自然旅)

63.好天に誘われて (2004/7/25:晴

 絶景の南面

 昨日の急回復が物語るように、今日は雲一つない快晴になった。外を覗けば、頭上にはトレラテート針峰(Aiguille du Tré la Tête:3930m)とレックス・ブランシュ氷河が迫り、眼下にはコンバル湿原(Lago di Combal)が広がっている。昨夕も見た景色なのだが、やはり快晴だと印象がまるで違う。幸先の良い展開だ。

Aiguille du Tré la Tête
トレラテート針峰とエリザベッタ小屋

 朝食を終えたら、この天気を生かすべくさっそく出発。車道のような道を下り、コンバル湿原に降り立ってからは平坦で快適な道をゆく。前方にはノワール針峰(Aiguille Noire de Peuterey:3772m)が鏃のように尖り、振り返ればグラシエ針峰などが池に映し出されている。景色の良い道のりに、思わず何度も足が止まってしまった。

Lac de Combal
コンバル湿原

South face of Mont Blanc
モン・ブラン南面が見えてくる

 湿原の終わりまで来たら右手の斜面を上がり、本格的な登りにかかる。高度を稼ぐにつれて、モン・ブランの南面が姿を現してきた。フランス側の優雅な風情とは異なり、荒々しい山塊だ。道は沢沿いに続くが、この辺りはマーモットがちょこまか動いて愛らしい。さらに斜面を上がって尾根を越えると…おぉ!と思わず声をあげたくなるような絶景が広がった。

 視界はここで一気に開け、手前にモン・ブランが立ちはだかり、美しいヴェニの谷を遠望することができる。その奥にはフェレの谷(Val Ferret)が続き、グランド・ジョラスも凛々しい姿を見せている。これぞ絶景!しばし見惚れていると大杉さんも追いついてきて、かなり興奮している模様だ。せっかくなので、ここで大休止。後続が来るまでの間、この大展望を満喫したのであった。

Mont Blanc and Val Veny
ヴェニの谷越しのモン・ブランとグランド・ジョラス

 しばらくして、賑わい始めたところで歩行再開。ここからは左手にモンブラン山群を眺めながら、緩やかに下っていく。進むにつれ、逆方向から登ってくる人の数が増え始めると、やがてシュクルイ湖(Lago Chécroui)に到達。ここは湖面にモンブラン山群が映ることで有名だが、なぜか柵が張られて立ち入り禁止になっている…ガッカリしながらさらに下り、一気にシュクルイのコル(Col Chécroui:1956m)まで歩いてしまった。

Big Mont Blanc
フランス側とはまるで異なる山容

 寄り道の誘惑

 ここまでは下界の街、クールマイユール(Courmayeur)からロープウェイとリフトでやって来られるだけあって、かなりの賑わいを見せている。ここで大杉さんが来るのを待つが、まだお昼前。天気は一向に崩れる気配はなく、このまま下りてしまうのはもったいない…こんな好天に恵まれることは滅多にないので、ここで寄り道したくなってきた。

  ガイドブックによると、この先に見えているチェティフ山(Mont Chétif:2343m)に登れば、モンブラン山群からクールマイユールの街並みまで俯瞰できるという。結構きつい道らしいので時間的には厳しいが、今さらこの誘惑に逆らうのは困難だ。

 そこで、大杉さんがやって来たところでこの件を話すと、じゃぁ一緒に行きましょうと…ちょっと心配だが、さっそく歩き始めることにする。道は勾配のきついアップダウンを過ぎた後、本格的な登りに入った。大して標高はないので舐めていたが、もろい岩場や狭い急斜面の直登が続いて、想像以上にきつい。岩尾根に出ると展望が開け、モン・ブランやグランド・ジョラスなどが欲しいままになるが、山頂はさらに上…ここをジグザグに登ってようやく、目的の山頂に上がることができた。

 こんなきつい山にもかかわらず、周囲は家族連れなどで賑わっている。見渡せば、背後にモン・ブランがブレンバ氷河(Glacier de la Brenva)を従え、足元にはクールマイユールの街並みが落ち込んでいる。前方にはグランド・ジョラスにフェレの谷が望め、確かに素晴らしい眺望だ。すると、しばらくして大杉さんも登場。かなりしんどそうだが、この展望には感激しているらしい。すぐ先にマリア像があるので寄ってみると、ここからはまさに真下に切れ落ちていて、高所恐怖症の人なら即倒してしまいそうである。

Grandes Jorasses and Val Ferret
フェレの谷とグランド・ジョラス

Mont Blanc from Mont Chétif
モン・ブランとブレンバ氷河

 ここで十分に展望を楽しんだら、時間が迫っているので下山開始。急斜面が続いて危なっかしいが、一気に高度を落としていく。きつい箇所を越えて車道に出たら左折し、プラン・シュクルイ(Plan Chécroui)までダラダラと下っていく。そして、ロープウェイ駅に着いたらちょうど出発するところだったのでちょっと待ってもらい、大杉さんともどもクールマイユールに降りることができた。

 最後に急登

 クールマイユールでは食料補給などを考えていたが、思いのほか寄り道で時間がかかってしまい、気がつけばもう3時半過ぎ。今日はこの先、さらに2時間ほど登ってベルトーネ小屋(Rifugio Bertone)まで行く予定なので、もうあまり猶予がない。急ぎ足で街中に出て店を探すが、今日はあいにくの日曜日で、それらしき店が開いていない…仕方なく(?)アイスクリームを食べて栄養補給し、買い出しは諦めて歩き始めることにした。

 警官に道の入口を聞き、細い路地を進んでサピンの谷(Val Sapin)に入っていく。この辺りは可愛らしい建物が続き、改めてヨーロッパに来ていることを実感させてくれる。集落を過ぎると樹林帯に入り、まもなく車道は終了。ここから橋を渡ると、徐々に勾配がきつくなってきた。

  標識を見落とさぬよう気をつけて歩いていくと、左折していよいよジグザグの急登が始まる。既に体力をかなり消耗しているので、この登りは結構しんどい。ここを登っておけば明日が楽になるのだが、最後に急登をもってきたのは失敗だったかもしれない…とにかく日没までに登り切れば良いので、着実に歩みを進めることにした。

 登り始めるとまもなく、大杉さんの姿が見えなくなったが、こちらも余裕があるわけではないので、ゆっくり登り続ける。今日は珍しく最後まで天気が崩れなかったが、ここは森の中なので、展望を楽しむことはできない。残念に思いながら進むと、やがて樹林の隙間からクールマイユールの街並みが望めるようになった。ここまで来れば、森林限界はもうすぐ。歯を食いしばって登ると、その先に目指すベルトーネ小屋が見えてきた。そして最後の力を振り絞り、1時間ほどでこの急登を終えた。

View of Courmayeur
クールマイユールを見下ろす

 小屋に着いてしばらく休んだら、大杉さんの姿を探しにテラスに出る。が、なかなか姿を現さない…やがて日没が近くなり、いよいよ心配になってきたところで、ようやく眼下に見えるようになってきた。相当しんどいらしく、もう小屋は近いというのに千鳥足で、なかなか歩を進められない。最後は他の人たちに見守られながら小屋に這い上がってきて、無事到達。後は美味しいイタリア料理を食して、早々に眠りについた。

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