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旅行記:アルプス(世界自然旅)

61.出だしはのんびりと (2004/7/23:曇時々晴

 いざスタート!

 今日は31歳の誕生日、とともに、ヨーロッパ旅行のフィナーレを飾るツール・デュ・モンブラン(TMB)の出発日だ。昨夕の急展開で少々動揺したが、もう腹をくくって歩くしかない。きっと何とかなるさ、と気持ちを切り換えて臨むことにした。

 TMBはモンブラン山群を周回するトレッキング・コースで、フランス、イタリア、スイスの3ヵ国を股にかけ、11の峠、8つの谷を巡るスケールの大きな道のりだ(全行程歩けば170km程度)。数多くの名峰や氷河を間近に眺められることで知られ、ヨーロッパで最も有名なコースと言って良いだろう。

  日本のガイドブックを見ると、どれも5~6日で歩くことになっている(著者が同じなので仕方がない)が、これでは見落としてしまう見所も多い。そこで今回は、ペースを早めた上でさらに1日追加し、7日間で歩く予定だ。果たしてこれに大杉さんが対応できるのか、定かではないけれど…

 さて、初日はそれほどきつい行程ではないが、バスが1日2便しかないので早起き。7時には宿を出て列車に乗り、終点のサンジェルベ=ル・ファイエ(St. Gervais=le Fayet)で大杉さんと待ち合わせた(彼はバスで一足先に来ていたので、こちらが待たせた格好になってしまった)。

  無事合流したらバスに乗り換えるが、乗客は他にほとんどおらず、これからTMBを歩くという雰囲気に欠ける。そして、モンジョアの谷(Val Montjoie)を遡り、終点のノートルダム・ドゥ・ラ・ゴルジュ(Nortre Dame de la Gorge)には9時過ぎに到着。ここから、いよいよスタートだ。

 ストレッチなどの準備を済ませて歩き始めると、タイミングが悪かったのか、到着時の静寂から一転、次々とグループが現れて、賑やかな船出になってしまった。しかも、道はいきなりの急登。さっそく力の試されるところだが、他の欧米人トレッカーに負けず、大杉さんも頑張って付いてきている。でも、無理は禁物。「根性で付いていきますから」なんて言われても困る。トレッキングは楽しむものであって競走ではないから、自分のペースで歩くのが一番だ。それがわかってもらえるだろうか…

 突然の雨

 樹林帯を過ぎてなお登ると、前方が開けて平坦な道のりとなった。放牧された牛がのんびり草を食んでいたりして、何とも牧歌的な風景だ。天気もまずまずで気分も良好。ここから一登りでバルム小屋(Chalet de la Balme)にたどり着くが、ここの水が冷たくて実に美味しい! 登りの暑さも手伝って、腹が膨れるほど飲んでしまった。

Walking to Balme
牧歌的な谷をゆく

View from Balme
来し方を振り返る

 ここからは再びの急登になり、ボンノムのコル(Col du Bonhomme:2329m)に向かって登りが続く。苦しいところだが着実に歩を進めると、気がつけば大杉さんの姿がはるか後方になっていた。そして、ジョヴェ湖(Lacs Jovet)への分岐を過ぎると途端に人の数が少なくなり、静かな道のりとなる。なんだ、ほとんどの人は日帰りで歩いているだけだったのだ。

  安心してなおも急坂をジグザグに登っていくが、この辺りから天気が急に怪しくなり、まもなく雷雨になってしまった。止むを得ず、残雪を越えたところで慌てて雨具を取り出す。峠までもうすぐだというのに、初日から運の悪いこと!

 装備を整えている間に大杉さんも追いついてきて、ここからは団子状態になって登っていくが、私の歩くのが早いようで、まもなく他の人たちは後方に消えてしまった。そして、傾斜が緩くなったところでボンノムのコルに到達。この頃には雨はほぼ止み、周囲の景色も見えるようになってきた。ここには避難小屋があり、ちょうど昼時ということもあって多くのトレッカーで賑わっている。本来ならここでゆっくり休むべきだろうが、そういう雰囲気でもないので、少し休んだら先に急ぐことにした。

 峠からは斜面をトラバース気味に登っていくが、かなり緩やかな道なので問題ない。ちょうど人通りが途絶えていて静かだ…右手には谷の眺望が開けていて気持ちが良い。この辺りは急いではもったいないので、ここぞとばかり、休みながら歩いていった。

View from Col du Bonhomme
ボンノムのコルの先の眺望

 誕生祝い?

 道はやがてクロワ・デュ・ボンノムのコル(Col de la Croix du Bonhomme:2479m)に向かって登り始め、最後は沢伝いに高度を上げて、意外にあっさり到着。ここからはもう、今日泊まるクロワ・デュ・ボンノム小屋(Refuge de la Croix du Bonhomme)がすぐ下に見え、その先にはシャピュー(Les Chapieux)に続く谷が見通せる。ここを数分下って、小屋に着いたのは午後1時過ぎ。初日は4時間程度と、比較的のんびりとした行程だったが、1250mも登ってきているので、時間の割に楽ではない。出だしとしてはまずまずだが、大杉さんは大丈夫だろうか…

View from Col de la Croix du Bonhomme
シャピュー方面

 小屋は100人近く泊まれる立派なもので、中は清潔(土足厳禁!)。水洗トイレにシャワーまで付いていて、日本の山小屋とは大違いだ。しかも夕食はデザート付のフルコースで、どれも非常に美味しい。さすがはヨーロッパ、こんな山奥でも至れり尽くせりである(それでいて、値段もあまり高くない)。

 外国のトレッカーと団欒しながらのディナーも、終盤に差しかかると余興が始まり、演奏のサービスがあったりしてなかなか楽しい。やがて誕生祝いの儀式が始まったので、何事かと思って見ていると、可愛らしい少女の誕生日のようだ。私と同じ日に生まれたなんて可愛そうだが、個人的には誰にもそのことを話していないし、これだけのサービスでもう満足。十分に満喫したら早めに床につき、明日からの無事を願って眠りについた。

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