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旅行記:アルプス(世界自然旅)

55.気難しい天候 (2004/7/15:晴時々曇

 花見物

 翌日も晴天の予報だったが、蓋を開けてみるとまた曇り…昨日の夕焼け時に雲がかかっていたので嫌な予感はしていたが、それにしても気難しい天候である。

 とはいえ、マッターホルンを除けば今日も概ね晴天。歩くには良い日なので、今日はウンターロートホルン(Unterrothorn:3103m)からトゥフテルン(Tufteren)経由で下るコースをゆくことにした。ここはマッターホルンはもちろん、ヴァイスホルンやフィンデル氷河などの展望が抜群で、さらにエーデルワイスも良く見られるという。時期としてはまだ早いが、あわよくばという期待を胸に歩く次第である。

 まずはスネガまでケーブルカーで昇るが、さっそく日本人の中高年客で大混雑。スネガからはブラウヘルト(Blauherd)までテレキャビンで、そこからロープウェイでウンターロートホルンに向かうが、混んでいてなかなか乗れず、思いがけず時間がかかってしまった。

 やっとの思いでウンターロートホルンに着くと、そこはもう日本の山の中のよう。賑々しくて仕方がないが、しばらく待っていると徐々に退散し、静寂が取り戻されていく。それに合わせるようにマッターホルンも雲間から姿を見せるようになり、背後のフィンデル氷河ともども、この展望を満喫することができた。

Findelgletscher
フィンデル氷河

Matterhorn from Unterrothorn
ウンターロートホルンからのマッターホルン

Weisshorn from Unterrothorn
ヴァイスホルンも近い

 こうして人が少なくなったところで歩行開始。まずは氷河に向かって下り、オーバーロートホルン(Oberrothorn:3415m)に向かう手前で左に折れて、緩やかな下山路に入っていく。ここからは終始前方にヴァイスホルンが見えるが、こちらは山頂に雲がかかってイマイチ美しくないので、雲が取れるのを待ってみる。

  すると、背後から10人あまりの軍勢が迫ってきた。一緒になりたくないので先に行ってもらうが、これが思いのほか遅い集団で、随分距離を開けて歩き始めたのに、すぐに追いついてしまった。どうしたものか…と思っていると、目の前で何か見つめている。近づくと、エーデルワイスが一輪、ひっそりと咲いているではないか。この先も期待できそうだと思いつつ、集団が休憩を取ったところで抜け出し、先へ進んでいった。

Edelweiss
エーデルワイス

Matterhorn and Zermatt
ツェルマット越しにマッターホルン

 見過ごさぬよう

 まもなく道は急坂を下るようになるが、展望は開けて、ツェルマットの街並み越しにマッターホルンが見えるようになった。この大展望を満喫しつつ、花を見過ごさぬよう、足元に注意を払わねばならないので忙しい。すると、急坂を過ぎたところでエーデルワイスが数輪、可憐に咲いているのが見えた。改めて確認するが、これは紛れもなくエーデルワイスだ。先ほど登っていった欧米人は目もくれなかったが、注意していると視界に入ってくるものである。この時期にまとまって見られるとは夢にも思わなかったので、ここでじっくりと鑑賞した。

 この先も注意しながら下ると、咲きかけのエーデルワイスが何箇所かで見られるが、先ほどのような素晴らしいのは見られない。するとまもなく、眼下にトゥフテルンの集落が現れる。ここに向けて淡々と下ると、先ほど、私が集団に取り込まれて苦戦しているところを足早に通り過ぎていった女性が、妙に注意深く足元を気にしながら歩いている。この人ももしや、エーデルワイスを探しているのだろうか…

  ここであっさり抜き去ろうとすると、エーデルワイスを見ましたか、と日本語で尋ねられた(日本人だった)。この人はエーデルワイスがどういう性質のものか(野原に大群落を作るのではなく、岩場などにひっそりと咲くものである等)を全く知らなかったらしく、完全に見過ごしてしまったようだ。しょうがないので少々薀蓄をたれて説明すると、彼女はもう一度歩こうとスネガに戻っていった。一方、私はトゥフテルンからツェルマットに向かう道に入り、樹林帯の中を延々と下っていった。

 ツェルマットには昼過ぎに戻ったが、この頃から雲が少なくなり、再び周囲の展望が効くようになってきた。こうなると有名な展望台、クライン・マッターホルンにも行きたくなってくる。少々値は張るが、こうなったら行かずにはいられない!ので、さらにイタリア国境まで足を延ばすことにした(もともと、ツール・モンテ・ローザを歩く時はここからスタートしようと思っていた)。

Looking up at Breithorn
ブライトホルンを見上げる

East face of Matterhorn
マッターホルン東壁

 雲間の展望台

 クライン・マッターホルンは標高3883m。フーリ、トロッケナー・シュテーク(Trockener Steg)と乗り継いで、ロープウェイで一気に富士山より高いところに昇る。この展望台に着いたのは午後3時過ぎだったが、トロッケナー・シュテークからはブライトホルンやマッターホルン東壁の姿が見えたというのに、この時はちょうど山頂に雲がかかり、何も見えない…多くの観光客が展望台に登り、雲が消えるのを待っていた。

 すると、しばらくして雲が切れ始め、周囲の山々が見通せるようになってきた。正面に見えるマッターホルンは、ツェルマットなどから見る姿とは似ても似つかず、ごつい岩山と化している。イタリア側の街、ブルイユ・チェルヴィニア(Breuil Cervinia)も良く見え、背後のブライトホルンは手に取るような近さだ。ここは写真で見てあまり期待していなかったが、実際に来て見ると思ったより景色の良いところで、わざわざ足を延ばした甲斐があった。

 やがて、再び眺望が雲に隠されたので展望台を下り、近くの「氷のトンネル」に行ってみる。そして入ろうとすると、中から日本人ツアー客が大挙して現れ、三度姿を現した山々に興奮している(先ほどより眺めは悪いが)。マッターホルンがどれかもわかっていない人たちだったが、1人が雲の盛り上がっているところを指して「あれがモン・ブランじゃないか?」と言い出したものだから、また大騒ぎになってしまった。これだけ雲が多くて、距離的にも遠いアルプス最高峰が見られるわけはないのだが…まぁ、可愛そうなので見えたことにしてあげよう(快晴なら確かに見える)。

 トンネルの中には氷の彫刻などが展示されているのだが、はっきり言ってそれほど大したものではない。ここを簡単に周って戻ると、まもなく最終のロープウェイが出るところだったので慌てて乗車。乗り継ぎも問題なく済んで、無事下界に降り立つことができた。そして、雲一つないマッターホルンの夕焼けを目にして、明日こそは朝焼けを拝ませてくれ、と願わずにはいられなかった。

View from Klein Matterhorn
クライン・マッターホルンの展望

Breithorn
ブライトホルンが迫る

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