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旅行記:アルプス(世界自然旅)

50.名残のアレッチ (2004/7/6:雨後曇一時晴

 氷河ツアーが…

 明くる5日は一転、朝から雨になってしまった。予報通りとはいえ、これでは出かける気にならないので宿で待機。午後になって弱まったところで街に出て、明日からのアレッチ氷河ツアーの準備を整えることにした。

 このツアーは、ユングフラウヨッホからアルプス最大・最長の氷河を下ってヴァリス方面に抜けるもので、久々の氷河歩きを楽しみにしていた。5日ほど前に申し込んだところ、まだ参加者は4名(最少催行人員6名)だが大丈夫だろうとのことだったので、さっそく確認に向かう。

  すると、先の予報がずっと悪かったためか、あれから参加者が増えずキャンセルになったと…これは人気のツアーなので、満員で参加できないことはあっても、参加者が足りずにキャンセルとは夢にも思っていなかった。とはいえ、悪天候で気が向かない面もあったので、渋々納得して引き下がった。

 さて、アレッチ氷河が歩けなくなった以上、もうグリンデルワルトに用はない。次に目指すはマッターホルン(Matterhorn:4478m)の麓の街、ツェルマット(Zermatt)だが、この氷河ツアーを想定していた関係で、宿は8日から、つまり2日の空白があった。予報を見るとしばらく悪いが、アレッチ氷河を下から眺めずに行ってしまうのは名残惜しい…ということで、とりあえず麓のフィーシュ(Fiesch)に向かい、そこで機会を窺うことにした。

 翌6日は朝から大雨だったが早出。7時前の列車に乗ってインターラーケン、シュピーツ(Spiez)、ブリーク(Brig)と乗り継いて谷を進み、フィーシュには10時過ぎに到着した。幸い、ここに来て降り続いた雨が止み、山々は厚い雲に覆われているものの、氷河が見られる可能性は残されていた。

  そこで、 まずは街外れのYHAに赴きチェックイン(ユースの施設はガラガラだったが、妙に小中学生の団体客が多く賑やか)。その後しばらく外を見ていると、標高の高いところは雲に包まれたままで、この状態では上がっても何も見えない…どうしたものかと思ったが、とりあえず街中見物に出かけてみることにした。

Fieschergletscher
フィーシャー氷河

 回復に賭けて

 フィーシュはアレッチ氷河を眺める絶好の展望台、エッギスホルン(Eggishorn:2869m)への起点となる所だが、意外に街は小さく、観光客もそれほど多くなかった。ツーリスト・オフィスで天気を確認してみると、今日明日とも曇りか雨ということで、それほど大差ない。山々はいまだ雲の中だったが、少しずつ回復しているような気がする。これなら、もしかしたら氷河が見えるかもしれない…明日どうなるかはわからないので、この回復状況に賭けて、一か八か昇ってみることにした。

 ロープウェイは数人の乗客を乗せて浮上。しかし、しばらく昇ると雲に突入し、何も見えなくなってしまった。途中駅のキューボーデン(Kühboden)は完全に霧の中で、視界は数mしか効かない…ほとんどの人はそのままエッギスホルンに向かったが、私は、これ以上標高を上げても無駄だと判断し、また事前予約していた宿をキャンセルする必要もあったので、ここで下車した。

 首尾よく宿のキャンセルを済ませたら、エッギスホルンを周り込むように作られたトレイルを歩くことにする。右手にはヴァリス山群の大展望が広がり…と言いたいところだが、周囲は霧に覆われて何も見えやしない。この先に不安を抱えながら、淡々と歩く。しばらくは幅広の道が続いたが、やがて緩やかに登り始め、勾配は徐々にきつくなってきた。予想ではそろそろ霧が上がってくるはずなのだが…

 北西に周り込み、斜面が緩くなったところで、不意に前方に何か見えてきた。目を凝らしてみると、小規模な氷河だ。これはフィーシャー氷河(Fieschergletscher)。雲間から姿を現してくれたが、今まで何も見えない状態だったので一安心。ちょうど昼時だったこともあって小休止し、現れては消える氷河を眺めた。

  まだ不安定な状況だが、これならきっとアレッチ氷河も見られるだろうと歩行再開。ようやく足元から先の視界が開け始め、普通に歩くには問題なくなった。やがて、前方にフォールダーゼー(Vordersee)が登場。大したことない池だが、その奥に聳えるエッギスホルンはまだ雲の中で、山頂に昇ってしまった人は何も見えないだろう。それを尻目にさらに歩を進めると、正面にメリエレンゼー(Märjelensee)と、アレッチ氷河らしき氷が見えてきた。幸い、氷河上には霧が発生していない模様で、これならまず間違いなく見られそうだ。

First view of Aletschgletscher
アレッチ氷河が見えてきた

 喜び勇んで先を急ぐと、ガレ場を登ったところで氷河の姿が見られるようになった。周りの高峰は変わらず雲に覆われていたが、氷河を見るだけなら問題ない。若干だが薄日も差してきた。賭けは見事に成功したと言えよう。

Grosser Aletschgletscher
雄大なアレッチ氷河

 長大なうねり

 さすがにアルプス最長・最大の氷河だけあって、長大な流れになっている。うねり具合もとてもよくわかり、まさに氷の河であることを実感させてくれる。願わくば氷上を歩きたいところだ。

 しばし雄大な氷河の景観を眺めたら、ここからは氷河下流に向けて歩いていく。氷河の岸に沿って歩くので展望は抜群。移り変わる氷河の姿を目の当たりにしながら歩けるので、快適な道のりだ。ただ、ここで天候回復は一服して、むしろ雲が濃くなり、山々は再び身を隠すようになってきた。残念だが、こればかりは仕方がない…

 しばらく平坦な道が続いたが、下流が近づくにつれて逆に登りになり、モレーン上へ誘われていく。眺望は当然良くなり、中下流は一望のもと。もう上流部は見えなくなってしまったが、それでもなかなかの展望だ。やがて前方にロープウェイが見えると氷河とはお別れで、ここからベットマーアルプ(Bettmeralp)の集落に向けて下っていった。

Lower Aletschgletscher
氷河下流からの眺め

View of Bettmeralp
ベットマーアルプに下る

  しばらくすると眼下にベットマーゼー(Bettmersee)が見えるようになり、道はそこに向かって急下降を始める。ここまで来れば、散歩気分で歩いている人も多くなり賑やか。別の展望地に向かうロープウェイなどもあって、多くの観光客が思い思いに楽しんでいる。そして、5時前に無事ベットマーアルプにたどり着いた。

Cow at Bettmeralp
寛ぐ牛くん (ベットマーアルプにて)

 ここからはロープウェイでベッテン(Betten)まで一気に下る。途中、ベッテンドルフ(Bettendorf)で乗り換えて無事谷底に降り立つと、それほど待ち時間なく列車が登場。案外すんなりとフィーシュに戻ることができた。

 こうして、どうにか名残のアレッチ氷河見物を終えることができた。結果的には翌日の方が若干雲が少なかった気はするが、それでも雲が厚く高峰は隠れたままだったので、それほど大差なかっただろう。この日は完全な休養日とし、少々買い物をした程度で宿にこもって(旅行記を書くなどして)過ごした。

 そして翌8日、満を持してフィーシュを後にし、雨の中をブリーク、フィスプ(Visp)経由でツェルマットに向かった。

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