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旅行記:アルプス(世界自然旅)

48.核心部に迫る (2004/7/3:晴後曇

 ヨッホは日本人だらけ

 明け方、まだ暗いうちからごそごそ物音が聞こえてきた。どうやら写真を撮っているらしい。この日はたまたま3人もの日本人が同じ部屋だったが、しばらくすると1人が起き、さらにもう1人も起きて、談笑を始めた。まだ6時、何事かと思って起きてみると、ちょうどアイガーに朝陽が当たっているではないか。北壁なので日の出は期待できないと思っていたが、これは美しい。すぐさま写真に収めると、まだ寝ている人もいるので静かにするよう諌め、後は静かに光のショーを見守った(こういう時、ほとんどの外国人は興味を示さないが、日本人はまるで違う。なぜだろう?)。

Sunrise Eiger
アイガーの朝焼け

 今日は晴天との予報が出ていたので、昨日の段階で、一大展望地であるユングフラウヨッホ(Jungfraujoch:3454m)に行こうと決めていた。ここには後日、アレッチ氷河トレッキングで訪れる予定だが、その時に晴れる保証はないし、まだツアーの催行が決まったわけでもない。ただでさえ高い運賃なので、晴れた日に訪れないともったいない!ということで、思い切って行くことにしたわけである。

 始発に乗るべく朝食のパックを受け取り、7時前に宿を出て駅に向かう。先ほど写真を撮っていた人も予定を変更してユングフラウヨッホに行くことにしたそうで、2人で駅まで歩いていくと、既に大勢の人だかり…始発はそれほど混まないと聞いていたが、実際には大混雑(しかも日本人が圧倒的に多い)であった。

 列車の到着を待っていると、後ろからおば様2人が声をかけてきた。個人旅行は初めてとのことで、少々不安らしい。何だかんだ話していると列車がやって来たが、目の前には団体専用車両が停まってしまい、あわてて次の車両に移動。ここも混雑していたが、ぎりぎりで席を確保することができた。こうして通勤列車並みの混雑の中、始発列車(7:19発)は出発した。

Jungfrau in the morning
クライネ・シャイデックからのユングフラウ

 列車は左にアイガー北壁を見ながら高度を上げ、30分あまりでクライネ・シャイデック(Kleine Scheidegg)に到着。ここで乗り換え、いよいよユングフラウヨッホに向けて登っていく。ここは正面にメンヒとユングフラウが望めて素晴らしいが、アイガーグレッチャー(Eigergletscher)駅を過ぎると列車はトンネルに入ってしまい、景色を楽しむことはできない…

  列車は急勾配を登り、 しばらくでアイガーヴァント(Eigerwand)駅に停車。ここはアイガー北壁のど真ん中に作られており、北壁直下を見下ろすことができる。その次はアイスメーア(Eismeer)駅だが、ここはもうグリンデルワルトの裏側で、荒々しい氷雪の世界が広がっている。そして、ついにヨーロッパ最高所の鉄道駅、ユングフラウヨッホに登りつめるのであった。

View from Eismeer
アイスメーア駅より

 駅に着いたら、私は真っ先にスフィンクス・テラス(Sphinx Terassen)に向けて駆けていく。エレベーターで昇ると、無事展望台に到達。風が強くてかなり寒いものの、まだ観光客は少なく、素晴らしい展望が広がっている。足元から流れるアレッチ氷河をはじめ、周辺は一面の銀世界。メンヒやユングフラウも近く、迫力の景観だ(ちなみに、この辺りはアルプスで唯一、UNESCOの世界自然遺産に登録されている)。しかし、夢中で写真撮影をしていると、ほどなくして大量の人がなだれ込むようになった。その大部分は日本人ツアー客で、あっという間に展望台は超満員だ。これでは美しさも半減なので、私はさっさとこの地を後にした。

Aletschgletscher from Jungfraujoch
アレッチ氷河を見下ろす

Mönch
メンヒがとても近い

 喧騒の展望台を離れたら、今度は近くのメンヒスヨッホ小屋(Mönchsjochhütte)まで、雪の上を歩いていく。強風がしんどいものの、道は良く整備されており、普通の靴で歩いてもほとんど問題ない。周りはアルピニストと少数の観光客のみで、歩くにつれてアレッチホルン(Aletschhorn:4195m)が堂々とした姿を見せたり、スフィンクス・テラスからでは見にくかった山々も綺麗に見えたりと、意外に悪くないものだ。

  こうして30分ほど(ガイドブックには1時間、標識には45分とあった)で小屋に到着。ここからは反対側の氷原も見えるようになり、ここをスキーで滑っていく人の姿も見える(さぞ気持ち良いだろう)。だが、ここに来て雲が増え出した上、風が極めて強いので、20分ほど休んだら帰路に着かざるを得なかった。

Aletschhorn
アレッチホルン

View from Mönchsjochhütte
メンヒスヨッホ小屋より

 20分ほどでユングフラウヨッホに戻ると、次の列車がやって来たのか、先ほど以上の大混雑で、すれ違うのが困難なほどの賑わいになっていた。駅の近くまで戻ると、いったい何百人いるのかと思うほど…しかもそのほとんどは日本人の中高年ツアー客の方々で、ここは日本かと錯覚してしまいそうだ。とりあえず反対側のプラトー(Plateau)に行ってみるが、大した展望台でもないのに大盛況なので即時撤退。これ以上いても閉口するばかりなので、11時の列車で帰ることにした。

Eigergletscher
メンヒとアイガー氷河

 麓も人だらけ

 列車には昨夜偶然同室だった人も居合わせ、さらに氷河特急で一緒だったご夫婦にも遭遇。驚きの展開の中、列車は平然とトンネルを下っていく。そしてアイガーグレッチャー駅で下車し、ここから周辺を軽くハイキングすることにした。

 降りてくる間不安に思っていたのだが、案の定、その間に雲が広がり、アイガー、メンヒ、ユングフラウなどの高峰は軒並み隠れてしまっていた。目の前には大迫力のアイガー氷河が見えるが、ちょうど小腹が空いたのでしばし待機し、その上のメンヒが現れるのを待つ。雲は時々晴れるが、その姿を拝めるのは一瞬しかない。それをカメラに収めたら観念して、氷河のモレーン沿いの道を下っていった。

 ここは思いのほか急だが、氷河が間近に迫り、前方にはミューレン(Mürren)方面の展望が広がっている。モレーンから外れるとお花畑が広がっていて、黄色や白を主体とした、様々な高山植物が咲き競っている。振り返ればメンヒが大きく見え、何とも贅沢なところだ。急な下りを終えたら分岐が現れたので、ここは右に道を採り、クライネ・シャイデックに戻ることにした。

 この辺りからは再び人の数が増え、時間が経つにつれてどんどん増殖していった。緩やかな道をたどってクライネ・シャイデックに着いた頃には大賑わいで、大勢の観光客がたむろしている。予定では、この後ヴェンゲン(Wengen)経由でメンリッヒェン(Männlichen)に向かおうと思っていたが、ただでさえ人が多いところだし、雲が増えて展望が望めなくなってしまったのでカット。このまま線路沿いに歩いて、アイガーグレッチャー駅に戻ることにした。

Wildflowers near Kleine Scheidegg
高山植物が咲き競う

 この線路沿いの道は一大ハイキング銀座で、誰でも歩けるお気楽コースとあって、大勢の人が歩いている。特にユングフラウヨッホ帰りに人気なようで、日本人ツアー客の姿も多く見られる。こちらは先ほどより花の数が少なく、景観もいま一歩なので淡々と歩くが、一向に人が減る気配はない。雲の方は少し減り始め、メンヒやユングフラウの姿は見られるようになってきたが、アイガー北壁にかかった雲はなかなか取れる兆しがない。この後、北壁直下のトレイルを歩こうと思っているのだが、果たして退いてくれるだろうか。

Eiger with clouds
雲巻くアイガー北壁

Looking up at Mönch
メンヒが大きい

North face of Eiger
アイガーの雲は取れず…

 雲巻く北壁

 最後はメンヒを眼前に眺めながら登って、アイガーグレッチャー駅に到達。ここで小休止を挟んでアイガー・トレイル(Eiger-Trail)に分け入っていくが、既に4時過ぎとあって、これから下りようという人は見られない(登ってくる人は結構いる)。北壁には相変わらず雲がかかり、雲が巻いているのが良くわかるが、きっと退いてくれるだろうと信じて歩き始めた。

 雲隠れの北壁を見上げながら残雪の道を下っていくが、下の方に覗く岩肌は荒々しく、迫力満点だ。ザレた斜面を進んでいくと、所々で花もまとまって咲いており、多くの花を見ることができる。やがて丘の上にやって来ると見晴らしが良くなり、眼下にグリンデルワルトの街並み、その先にはヴェッターホルンなども見えてきた。ここでゆっくりと休んでいると、しばらくして背後から20人ばかりのグループが登場(珍しく日本人ではない)し、同じ場所で休憩を取り始めたので、慌てて出立する羽目になった。

 ここからは前方と左手の展望を楽しみながら下っていくことになる。北壁は変わらず雲の中だが、少しずつ雲が上がっているのか、ゴツゴツとした岩肌が良く見える。いくつかの沢を越え、滝が見えるようになるとジグザグの下りとなり、目指すアルピグレン(Alpiglen)駅も見えてきた。そこへ向けてどんどん高度を落としていくと、ほどなくして駅に到着。ここで電車を待って、後は楽々グリンデルワルトに戻るのであった。

Grindelwald overlook
グリンデルワルトを望む

View from Eiger-Trail
ヴェッターホルン方面の景観

Eiger face
北壁は裾だけ

 さて、これで本日の行程は終了なのだが、この後、明日の予定について話し合うことになっていた。明日は谷向こうの展望台、シルトホルン(Schilthorn:2970m)に向かおうと思っていたのだが、今朝方お会いしたおば様方も同様の考えだったので意気投合し、朝早いうちに行こうと話していたのである。7時半にお会いすると、うち1名は足を痛めてしまったので断念。代わりに(?)旅行会社の人が同行することになったという。しかも出発は6時前…これは予想以上に早いものだったが、これで混雑を避けられるのなら望むところ。後は朝食の手配をして、早めに床についた。

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