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旅行記:アルプス(世界自然旅)

43.別角度から望む (2004/6/27:晴時々曇

 血の通う山々

 今日は昨日同様に良い天気になったので、もう一つの有名な展望台、ディアヴォレッツァ(Diavolezza)に向かうことにした。ここはコルヴァッチとは逆方向からベルニナ山群を望む所で、新田次郎が「血のかよっている山」と表現した美しい山並みが見られるという。コルヴァッチがイマイチだったので、こちらへの期待は大きかった。

 そこでポントレジーナ9時発の列車に乗り込むが、これはちょうどイタリア方面に向かう朝食後最初の便のため、結構な混雑だ。列車はさっそくモルテラッチュ氷河を通過。美しい眺めだが、やはり車窓から写真を撮るのは難しい…

  20分あまりでベルニナ・ディアヴォレッツァ駅に到着し、ロープウェイに乗り換える。同様に30人あまりが降りたので、窓口は一時大混雑となるが、乗り継ぎはうまくいき、9時45分には展望台にやって来ることができた。まだ一面雪に覆われているが、ピッツ・パリュ(Pitz Palü:3905m)からベッラヴィスタ(Bellavista:3922m)、そして最高峰のピッツ・ベルニナまで、雄大な展望が広がっている。さすがに新田次郎が感動しただけあって、コルヴァッチよりもずっと美しい。ここは眺め甲斐があるので、しばらくのんびりとたたずんで、心ゆくまで景色を楽しんだ。

View of Diavolezza
ディアヴォレッツァの展望

 さて、ここからは駅に向けて下っていくことになる。道はまだ完全に雪に覆われており、チケットの購入時に注意されたので往復分購入しておいたが、見る限り踏み跡はいくつもあるので、何とか歩けそうだ。さっそく雪を踏みしめながら下り始めると、これがなかなか気持ちよい。雪が適度な深さなので、闊歩するように歩くことができる。何とも言えない心地よさを味わいながら、ぐんぐん下っていく。

 道は本来斜面をトラバースする険しいコースなのだが、踏み跡はそんなところを通らず、ロープウェイに沿うように続いている。こちらは傾斜も道幅も楽々なので、何も気にせず歩くことができる。しばらくすると、右手にディアヴォレッツァ湖(Lej da Diavolezza)が見え始め、その奥にはラーゴ・ビアンコやベルニナ山群の展望が開けてきた。湖はまだほとんど氷に覆われているが、所々で美しい色を見せている。この景観を眺めつつ、快適に下っていった。

Lej da Diavolezza
ディアヴォレッツァ湖越しの景観

Lej Nair and Lago Bianco
レイ・ネイル (手前) とラーゴ・ビアンコ (奥)

 ロープウェイの下を通り、谷向こうの山が見えてきたところで、岩場の下りになった。この辺りから雪が少なくなり、下手に岩場を通ろうとすると「落とし穴」があって危険なので、慎重に回避しつつ下っていく。すると、眼下にはロープウェイ駅や道路が見えてきた。ここまでくればもう安全だ。

 思いがけぬ展望地

 ここからは谷まで下りず、モルテラッチュ氷河方面に向けて、山腹を通るコースを進むことにした。その方が景色が良さそうだし、人も騒音も少ないと踏んだからだ。

  さっそく分岐を左に入ると、しばらくジグザグに下った後、ほぼ平坦な道の中を歩くようになる。右手にはベルニナ谷があり、先にはポントレジーナの街や山々の景観が広がっている。行き交う人も少なく、快適な道のりである。

Val Bernina
ベルニナ谷

 のんびり歩いていくと、やがて下りになり、まもなく分岐が現れた。右に進めばモルテラッチュ駅、だがまっすぐ進むと展望地に着くという。この先にはモルテラッチュ氷河があるので、これは寄らぬわけにはいかない(今まで車窓から見ているが、一瞬でしかない)。自然と足は真っ直ぐ進んでいた。

 展望地には数分で到着。ベンチで老夫婦が休んでいたが、ここは木々が邪魔して、樹林越しに美しい氷河が見えるものの、展望はイマイチ宜しくない。適当な場所を探してさらに歩くと、右手が急に落ち込んでいるので、気をつけながら近づいてみる。すると、ちょうど崖の手前で木々が切れて、見事に展望が広がった。正面にモルテラッチュ氷河、もちろんピッツ・ベルニナも聳え、手前のピッツ・モルテラッチュ(Pitz Morteratsch:3751m)の姿も美しい。ここは絶好のポイントだが、当然誰もいない(下からでは相当登らなければいけない)ので昼食も兼ねて大休止し、誰に邪魔されることもなく絶景を堪能した。

Vadret da Morteratsch
モルテラッチュ氷河を望む

 十二分に楽しんだところで下山開始し、ジグザグの道を淡々と下っていく。次第に行き交う人が多くなり、まもなくモルテラッチュ駅に到着するが、ここは観光客で大賑わいだ。ポントレジーナに向かう列車に乗ったら、ポントレジーナの1つ手前の駅で下車し、街中に向かった(その方が早いので)。

 ベルニナ満喫

 ここから、予定ではアルプ・ラングアルト(Alp Longuard)へチェアリフトで上がり、そこからセガンティーニ小屋(Segantini Hütte)を経由してムオッタス・ムラーユ(Muottas Muragl)まで歩くつもりだった。ところが雲が相当増えてきたので、これではベルニナ山群の展望はあまり期待できない。それにこのコースは、このエリアで最もポピュラーで、かなりの喧騒が予想される。展望という点では、既に近くから迫力ある景観を眺めてしまったので、いまさらという感じ。セガンティーニ(アルプスの有名な画家)には悪いが、正直言ってあまり気乗りがしない…結局、チェアリフト乗り場前まで行ったが止めることにして、すごすごと宿に戻っていった。

 ともあれ、こうしてこの2日間は天候に恵まれ、ベルニナ地域で歩きたいと思っていたコースはもう歩くことができた。もちろん他にもコースはあるが、十分にベルニナを満喫できたし、下手にしょぼいコースを歩いて印象を落とすことはない。では、残り1日をどうするか…と、ふと思いついたのがスイス国立公園(Schweizerischer Nationalparkだった。

 ここはスイス唯一の国立公園で、日本のガイドブックではほとんど紹介されていないが、ベルニナから北東に向かったエリアが1909年に指定され、以来厳重に保護されている。この地域は、20世紀初頭には鉱山開発や森林伐採、狩猟などで相当に荒れた土地であったが、国立公園になったことで、今やスイスでは珍しい「手付かずの自然」が見られるという。

 それだけでも十分興味を惹くが、さらに、公園内にはいくつかのハイキングコースがあり、そのうち2つが"Walking in the Alps"でも紹介されており、なかなか評価は高いようだ。しかも運の良いことに、ポントレジーナからは1時間ごとに直通列車が走っており、所要50分弱でゲートウェイとなるツェルネッツ(Zernez)にたどり着くことができる。こうなったら行かない手はない、ということで、翌日は少し足を延ばすことにした。

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