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旅行記:アルプス(世界自然旅)

42.スイスに入って (2004/6/26:晴時々曇

 ベルニナ各停の旅

 ティラノに着いたのは午後4時半過ぎ。幸いにも天気は良好で、移動にはもったいないほどだ。スイス側の駅でパスポート・チェックを通過し、スイスパスのバリデーションを済ますと、ちょうどサンモリッツ(St. Moritz)行の列車が出るというので駆け込み乗車。見事に効率良く乗り換えることができた。

 ティラノとサンモリッツを結ぶ路線は、アルプスと氷河の風景を堪能できるところとして知られ、多くの観光客が訪れている。普通はベルニナ特急(Bernina Express)に乗って車窓の風景を楽しむのだが、今回は各駅停車でのんびりと、気ままに楽しむことにした(その方が席を自由に移動できるし、所要時間も大して変わらない)。

 ティラノを発車した列車はゆっくりと勾配を上がり、まもなくスイス領内に入る。のどかな風景の中をしばらく進むと、線路は円弧を描いて標高を上げていくが、このループはそれほど大したものではない(いちおう、ベルニナ特急のハイライトの1つだが…)。やがて右側にポスキアーヴォ湖(Lago Poschiavo)が見えると、右手に谷を見ながらの登りとなった。この辺りはのびやかな景色が広がって、美しいところだ。

Lago Poschiavo
ポスキアーヴォ湖

View of Poschiavo
のどかな谷の風景

 列車は森の中をぐんぐん高度を上げていく。時折見える風景は良いが、結構右に左にと曲がって大変である(よくこんな路線を造ったものだ)。いくつものトンネルを抜けると、頭上には氷河が見られるようになり、まもなく峠の駅、アルプ・グリュム(Alp Grüm)に到着。この辺りがハイライトというだけあって、確かに周囲には素晴らしい景観が広がっている。時間があれば途中下車してみたかった。

 ここから列車はトンネルに入り、そこを抜けると正面にラーゴ・ビアンコ(Lago Bianco)、左手にピッツ・カンブレナ(Piz Cambrena:3603m)をはじめとした山々を見ながら進んでいく。この辺りもハイライトの1つ、山々の景観は良いが、湖自体は、残念ながら思ったほど感動を呼ぶものではなかった。

Lago Bianco
ラーゴ・ビアンコ

 湖に沿って走り、レイ・ネイル(Lej Nair)を過ぎると下って、ベルニナ谷(Val Bernina)を北上していく。やがて右に左にとカーブし始めると、右手には雄大なモルテラッチュ氷河(Vadret da Morteratsch)が見えてきた。手前の木々が邪魔して写真は撮りにくいが、これは見応えがある。そして、ほどなくしてポントレジーナ(Pontresina)に到着。今日から4泊はここのYHAを予約している(サンモリッツのユースは、なぜか1ヵ月半前の段階で一杯だった)ので、ここで下車して駅前の宿に入ったのであった。

 宿の夕食をいただき、さっそく予報をチェックすると、スイスに入国して運が向いてきたのか、しばらくは天気が良いようだ。それに気を良くして、この日は早々に眠りについた。

 スイスも雪だらけ

 翌日は予報通りの晴天。ならば、今日はロゼック谷(Val Roseg)方面に向かうこととし、まずは有名な展望台、コルヴァッチ(Corvatsch)に向かうため、駅前発のバスに乗り込んだ。

  車内は、最初数名のみだったが、サンモリッツのホテル街に着くや、大勢の観光客が乗り込んできてたちまち満員になった。スールレイ(Surlej)のロープウェイ駅に到着すると、私はいの一番で切符売り場に向かったが、目前で日本人ツアー客のガイドさんが走り込んできて先に切符を購入。その間にロープウェイが出てしまい、結局他の大勢の人たちと一緒に上がる羽目になった(後で知ったことだが、このコルヴァッチ行のロープウェイは今日から運行開始だった)。

 ロープウェイはエンガディン(Engiadin)の谷と湖を見下ろしながら高度を上げて、途中のムルテル(Murtel)で乗り換え。この時点で既に雪だらけだったが、コルヴァッチまで来ると一面の銀世界になった。正面にはベルニナ最高峰のピッツ・ベルニナ(Piz Bernina:4049m)が聳え、右のピッツ・ロゼック(Piz Roseg:3937m)などとともに、険しい表情を見せている。が、どうも手前のスキー・ゲレンデが邪魔して、見映えとしてはあまり良くない…きっとこの先のハイキングコースからの方が綺麗に違いないと確信し、この展望台からはあっさりと撤収することにした。

View from Corvatsch
コルヴァッチの展望

 ガラガラのロープウェイでムルテルまで降りると、いつの間にか駅前のレストランは大賑わい…ちょうど上がってきた観光客も大勢いて、ひどい喧騒になっていた。これは耐え難いのですぐに出発し、スールレイ峠(Fuorcla Surlej)に向かった。

 峠までの道は緩やかだが、こんなところでもまだ雪深く、追っ手は苦戦して徐々に後退していく。それを尻目に私はどんどん進み、20分ほどで峠に到達。目の前にはベルニナ山群の展望が広がり、まだごく数名しかいない静寂の世界だ。なかなか良い雰囲気だが、もう少し先まで歩くともっと良い展望が得られそうなので、ここでは休憩を取らずに、谷を見下ろす辺りまで進むことにした。

View from Fuorcla Surlej
スールレイ峠より

 雪道をしばらく下っていくと、眼下にロゼック谷が見え始め、眼前のチエルヴァ氷河(Vadret da Tschierva)が迫ってきた。奥にはロゼック氷河(Vadret da Roseg)も見えてきて、山々の景観が素晴らしい絶好の展望地だ。これを見過ごす手はないので、ここでしばらく休み、この光景をじっくりと味わった。

Vadret de Tschierva and Roseg
チエルヴァ氷河 (左) とロゼック氷河 (右奥)

Val Roseg
ロゼック谷

 やがて、後方から人が現れ始めたので出発し、ロゼック氷河方面に下っていく。この辺りもまだ残雪が多く、所々で苦戦を強いられるが、幸いにも踏み跡がいくつかあったので、それを利用して下降(それにしても、今年のアルプスは残雪が多い!)。谷の奥に向かうにつれて景色は徐々に変化し、やがてロゼック氷河の大パノラマが広がってきた。眼下には氷河湖があり、ここも絶好の休憩ポイント。せっかくなので、昼食がてら大休止した。

Vadret de Roseg
ロゼック氷河一望

Wildflower in Bernina (1)
花も見られる

 人多く物高し

 のんびりと休んでいると、すぐ下ではマーモットが日向ぼっこをしている。のどかな風景だ…と思っていたら、まもなくカップルが現れてすぐ近くで休憩を取り、にわかに騒ぎ始めてしまった。どうして雰囲気や距離感を理解しないのかわからないが、これでマーモットは隠れてしまい、私も隠れたい気分になったので、先に歩を進めた。

 この先はロゼック氷河に向かって進んだ後、それを巻くように急下降していく。ここでもまだ雪が残っているが、慎重に進んで難所をクリア。気がつけばだいぶ下っていて、今度は下から上がってくる人たちに会うようになってきた。氷河湖の脇まで来た頃から雲が増えてきたが、やはり上から見るよりもだいぶ迫力が落ちてきたので、ほどほどに休んだら再スタートを切った。

Lago Roseg
ロゼック氷河と氷河湖

Wildflower in Bernina (2)
アルペンローゼも咲き始めていた

 ここからは、ロゼック谷に沿った平坦な道になる。楽々と歩いていくが、谷から上がってきた家族連れやグループなどもやって来て、結構な賑わいになってきた。ダラダラと歩いていくと前方にはホテル・ロゼックグレッチャー(Hotel Roseggletscher)が見えるが、ここは大賑わいだ(と言うのも、ここまでは自転車や馬車で手軽に入れるうえ、レストランもある)。こんなところに私の居場所はないので、道草せずに谷を下ることにした。

 氷河に別れを告げて森の中に入り、広々とした道を下る。しかしこの道、自転車が猛スピードで通過していくうえ馬糞もあるので、あまり良いものではない。すると、すぐ先でハイカー用の道が現れたので移動し、いかにも散歩道らしい道に従って谷を下っていった(ここでも家族連れなどがよく歩いているが、なぜか日本人は見かけない…)。

 こうして淡々と歩き、ポントレジーナには夕方前に帰着。ちょっと時間ができたので、街に出てみると、メイン・ストリートには観光客が多数詰めかけ、物の値段も決して安いものではない(北欧と比べれば若干マシだろうか)。この辺りではまだ日本人をそれほど見かけないものの、人は多くて物は高いという、スイスのイメージがずばり的中した格好だ。これでもまだハイシーズン前、この先どれほどの混雑になるのか、見ものである。

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