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旅行記:アルプス(世界自然旅)

41.奇峰ゴロゴロ (2004/6/24:曇時々晴

 ドロミテ中心部へ

 フォルテッツァで乗り換え、ボルツァーノに着いたのはちょうど昼時であった。標高がだいぶ下がったせいか、昨日までの寒さとは打って変わって暑いほどだ(この方がイタリアっぽいが)。

  次に目指すのは、ドロミテの中心部にある街、カナツェイ(Canazei)。車があれば、サン・カンディドからドロミテ街道を走ると近いが、バスを使うとなると、このボルツァーノか南のトレント(Trento/Trient)からアクセスすることになる。さっそくバスの時間を調べてみると…1日わずか2本、しかも2便目がまもなく発車だ。慌ててバス・ターミナルに向かってチケットを購入し、どうにか時間のロスを抑えることができた。

 バスは10人あまりの乗客を乗せて出発し、まもなく山間の渓谷をすり抜けるようにクネクネと走っていく。周囲にはラテマール(Latemar:2749m)などの魅力的な岩峰・奇峰がいくつも姿を現し、神秘的なカレッツァ湖(Lago di Carezza)も見られる。日本ではドライ・チンネぐらいしか脚光を浴びていないが、このエリアは実に見所満載なので、今度は是非いろいろなところを巡ってみたいものである(日本人はほとんど見かけないが、ヨーロッパからの観光客は結構多い)。

 乗客は途中で結構降りてしまい、カナツェイまで乗車したのは私だけであった。さっそくツーリスト・インフォメーションに出向き宿探しを始めると、なんと宿の空き状況のわかるボードがあるではないか。これはラッキー、しかもまだ空いている宿がいくつかあるので、その中で最も安そうだったGarni Ciamorcに行って2泊を確保することができた。

 宿を確保したら、次は天気予報のチェック。今日までは悪い(でも晴れている…)が、明日から回復に向かうとのことで、快晴とはいかないまでも、青空が覗くことを期待して就寝した(テレビが付いていたので、ついついサッカー「ユーロ2004」を見てしまったが)。

 晴天と曇天の間

 ところが、翌朝起きてみると重苦しい曇天で、山の上には雲がかかり、ほとんど何も見えない状態だ。残念だが、日程に余裕がないので行くしかない…

 さっそく朝一番のゴンドラに乗車し(まだ他に乗客はいない)、途中のペコル(Pecol)でロープウェイに乗り換えてベルヴェデーレ(Belvedere)まで一気に上がる。途中からセッラ山群(Gruppo Sella)が見えてきたが、運の悪いことに、ベルヴェデーレに着く頃には雲がかかり、一面霧の中に入ってしまった。ここはドロミテ最高峰のマルモラーダ(Marmolada:3342m)やセッラ山群、サッソルンゴ(Sassolungo:3181m)などを眺める絶好の展望台だが、これでは来た甲斐がない…しばらく待ってみるものの、霧は容易には退こうとしない。やがて人が増えてきたので、泣く泣く歩き始めることにした。

Sassolungo from Belvedere
ベルヴェデーレより

 ベルヴェデーレ小屋(Rifugio Belvedere)を通り過ぎ、平坦な道を進むとまもなく、サッス・ベチェ小屋(Rifugio Sass Becè)が現れる。この先は拍子抜けするほど楽な道で、淡々と歩いて30分あまりでヴィール・デル・パン小屋(Rifugio Viel del Pan)に到着した。この辺りはマルモラーダの展望が素晴らしいそうだが、今は霧でほとんど何も見えない状態…口惜しいが、この先晴れてくることを期待して、粛々と前に進むことにする。

 ここからは多少山道らしくなるが、それでも整備された歩きやすい道なので、気楽に歩くことができる。右手はファッサ谷(Val di Fassa)の眺めが良く、マルモラーダも少しずつ見え始めてきたが、山腹をトラバースしているので、左手の展望はきかない。セッラ山群が見えているのか気になるところだが…

 進むにつれて逆方向から来る人が増え始め、まもなくフェダイア湖(Lago Fedaia)に下るコースとの分岐にたどり着いた。ここで下るのが一般的なようだが、これから晴れてくる可能性が高いこともあって、今回はいったんポルタ・ベスコーブ(Porta Vescovo)に登り、さらに稜線を辿って元の道に戻ることにした(その方が展望も良い)。

 ジグザグに斜面を登り、ポルタ・ベスコーブまで上がると、そこからは稜線の急登になる。かなり苦しいところだが、この頃からようやく青空が覗き出し、マルモラーダの姿も見えるようになってきたので、それに励まされながら登っていった。

  ここをこなすと、左手にはマルモラーダとファッサ谷の大パノラマが広がり、足元には高山植物が散見している。とても気持ちの良い稜線歩きだ。しかし、なぜか右手は雲がかかり、全く視界がきかない。稜線を挟んで、左は晴天、右は曇天と、こうも違うとは驚きである。

Marmolada
最高峰のマルモラーダ

Val di Fassa
ファッサ谷を見下ろす

Vescovo view
稜線を挟んで天気が違う

 右側も晴れるだろうと待ってみるが、雲はどんどん上がっているものの、なかなか晴れてはこない。一時的にアラッバ(Arabba)の集落が見えることもあるが、基本的には雲の中…昼食がてら休んでいたが、しばらくするとマルモラーダ方面も雲が増え始めたので、先を急ぐことにした。

 ここも苦難続き?

 ここからいったん稜線の右側を下っていくが、ここはもろい岩場のうえ、雪も残っていて危なっかしい。何とかクリアしたものの、その先も雪に覆われた斜面が続く。踏み跡はなく、雪の残り方も少ないので、岩場では「隠れ落とし穴」がありそうで怖い。残雪を迂回したり、安全そうな所を選んでトラバースしていくが、その先には巨石がゴロゴロした岩場があり、試しに足を運んでみると、見事に落とし穴にはまってしまった。こんなところは歩けないので下に迂回。雪の少ないところを慎重に渡り、次は雪の上の崖に這い上がってクリア。どうにか難所を通過することができた。

 こうして稜線に戻ると、次は小山への急登が待ち構えている。この辺りは往路に非常に近いので、一時的に稜線を歩く人が多く、一気に賑やかになってきた。小山を下り、今度は前方の山の崖下目指して急登をこなす(さすがにここを歩く人はいない)。右手の眺望もようやく開ける中、この難所を突破すると、眼前にはセッラ山群とポルドイ峠(Passo Pordoi)が見えてきた。奥にはサッソルンゴの姿もあり、素晴らしい景観だ。

View of Passo Pordoi
セッラ山群とポルドイ峠を望む

 ここを下って再び稜線を登ると、いよいよセッラ山群が一望のもとになり、サッス・ベチェ(Sass Becè)越しのサッソルンゴも迫力を増してきた。ここでしばらく休憩とし、辺りの展望を楽しむことにする。マルモラーダが雲に隠れてきたのは残念だが、のんびりするには絶好の場所だ。だが、東に目を移すと怪しげな雨雲が近づいてきたので、休みもそこそこに歩き始めることにする。

Gruppo Sella
セッラ山群

View of Sassolungo
サッス・ベチェ越しにサッソルンゴ

 稜線を淡々と下っていくと、サッス・ベチェ小屋の前でにわか雨に遭遇。ここは雨宿りで逃れ、止んだらサッス・ベチェの東側を巻いて、ポルドイ峠に下っていった。

  峠はさすがに観光客だらけで、かなりの賑わいだ。ここからセッラ山群に上がるロープウェイがあるので乗ろうか迷っていると、まもなく雨が降り出し、瞬く間に雷雨になってしまった。仕方なく土産物屋で待機し、雨が止むのを待つ。

 雨は30分ほどでいったん収束した。もともとは、ここからカナツェイまで歩くつもりだったが、この先の天候に不安を抱いたのでバスの時間をチェック…すると、カナツェイ行のバスは雨宿り中に出てしまったらしく、もう今日の便はない。まだ4時過ぎだというのに…こうなったら歩くしかない!

 道はうねる車道の脇に作られているので、そこを急ぎ足で下っていくが、すぐにまた雨が降り出したので近くのホテルで雨宿り。犬に吠えられながらも耐え忍び、止んだら再スタート。すると10分も経たないうちにまた大雨になったので、再び小屋で雨宿り…止まなかったらどうしよう、と不安になってくる。

  雨は30分ほど降り続いたところで弱まり、再々スタートで駆け下りて、どうにかペコルまで下りることができた。ここからゴンドラに乗るという手もあったが、空を見るとようやく雨雲が抜けたようなので、後は森の中をジグザグに下り、30分ほどでカナツェイに戻ることができた。

 街に下りたら、明日から物価の高いスイスに入るので、今のうちに買いだめしようとスーパーに寄ってみる。が、あいにく今日は定休日…何も買えないまま宿に戻り、イタリア最後の一夜を過ごしたのであった。

 そして、翌日はスイス国境の街、ティラノ(Tirano)に向けて移動する(距離的には近いが、山が邪魔してアクセスできないので、いったん平野に出て大回りしていく)。まずは早朝6時半のバスでトレントに出て、列車でベローナ(Berona)へ。ここまで来るとイタリアっぽくなり、かなり暑い…ここで特急に乗り換えてミラノ(Milano)に向かうが、せっかく座席を予約したのに荷物置き場が一杯で、座るに座れない…その結果、荷物を背負ったまま1時間半ほど、通路の脇で耐え忍ばざるを得なかった。

 ミラノからはティラノ行の列車に乗るが、これがまた大混雑で席を確保できず…仕方なく出入口付近で立ったままティラノに向かう(風がないので暑く、しかも同じように立っている人が多いので、汗が噴き出して仕方がない…)。イタリア抜けは容易ではなかった。

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