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旅行記:アルプス(世界自然旅)

36.一転二起 (2004/6/15:晴後曇

 歩けないとは…

 天気予報によると、この先はあまり良くないが、今日は概ね晴天とされていた。ならば最も行きたいところに行くべきだ!ということで、チロルの第一歩はシュトゥーバイタール(Stubaital)に向かうことにした。ここはインスブルックからアクセスしやすいので、比較的人気の高いエリアである。

 とはいえ、実は出発直前まで悩んだ。と言うのも、朝起きると北東から薄雲が迫っていて、時間が経つにつれ上空を覆い始めたからだ。シュトゥーバイタールは南西側、まだ雲はかかっていないが、もう時間の問題…でも、明日以降晴れる可能性は低いので、とりあえず行ってみることにした。

 インスブルックの駅前には8時に到着。次のバスは8時半発だったので、食料を買い込んでからバスに乗る。まだシーズン前のはずだが、バスは結構混んでいて、席を確保するのがやっと。しかも途中から乗客が乗り込んできて、座れない人も出てくるほどだ。チロルは比較的観光客が少ないと聞いていたが、そんなことはなかった(それとも、これでもまだ少ない方なのだろうか)。

 バスは谷奥に進んでいくが、谷に入ると早くも白雪の山々が見えてくる。まだ雲はかかっておらず、何とか間に合いそうだ。途中のノイシュティフト(Neustift)で多少減ったものの、結局終点のムッターベルク谷駅(Mutterbergalm Talstation)までほぼ満員で、皆ゴンドラへと乗り換えていく。私も列に並び、ハイキングの起点となる中間駅、フェルナウ(Fernau)まで券を買おうとすると、販売員は「今は雪で歩けない」と言い放ち、切符を売ってくれない。そんな…今日はここからスルツェナウ氷河(Sulzenauferner)に肉薄し、ニュルンベルガー小屋(Nürnbergerhütte)を経由して谷まで下りようと思っていたのだが、いきなりの大誤算となってしまった。

 あまりのショックにこのまま引き返そうかと思ったが、ここの山頂駅は"Top of Tyrol"として知られる有名な展望地。まだ天気も良いことだし、ひとまず山頂まで物見遊山で行ってみることにした。

  ゴンドラは混雑しているものの、多少の待ち時間で乗車、2つの中間駅で乗り換えて、山頂へと昇っていく。途中、フェルナウの辺りからは雪だらけで、上の方ではスキーが楽しめるほどだ。これではまだ歩けない、と妙に納得してしまった。

View near Top of Tirol
中間駅より

Way to Top of Tirol
ゴンドラで山頂駅へ

 山頂駅に着くと、さすがに展望は良い。ちょうど雲がかかり始めたところだったが、今日お近づきになる予定だった、シュトゥーバイアー・アルペン(Stubaier Alpen)の最高峰、ツッカーヒュートル(Zuckerhütl:3507m)はもちろん、イタリアの山々まで見通すことができる。観光客でごった返しているのが残念だが…

Zuckerhütl (Top of Tyrol)
ツッカーヒュートルを望む

 山頂駅からは南側が歩けるようになっており、雪道にもかかわらず、多くの人がよちよち歩きで歩を進めている。せっかくなので私も負けじと雪道を闊歩し、スキー・ゲレンデまで歩いていくと、南西の視界が開け、ヴィルトシュピッツェ(Wildspitze:3768m)をはじめとしたエッツターラー・アルペン(Ötztaler Alpen)が一望のもとになった。徐々に雲に覆われてきていたが、雄大な展望には違いない。そそくさと駅まで戻ると、先ほど以上の観光客に閉口、さっさと帰路につくことにした(まだあまり時間が経っていないため、下りはガラガラ)。

View of Ötztaler Alpen
エッツターラー・アルペン方面

 ただでは終われぬ

 こうして山頂で雄大な展望を眺めることができたが、どうもいま一つ納得がいかなかった。確かに景色は良かったが、一般観光客と同じことしかできない歯がゆさか、はたまた喧騒に身を置く苛立ちか、とにかく、あまり感動が生まれてこないのだ。このままでは終われない…そんな時思い出したのが、ノイシュティフトからエルファー小屋(Elferhütte)に登り、ピンニスタール(Pinnistal)へ下るコースだった。これは優先順位としては4~5番手だった(歩けたら良いなぁ、というレベル)が、4~5時間で歩けるので、昼からでも大丈夫。幸いムッターベルク谷駅着が11時前で、バスは11時半にあるので、これなら歩けそうだ。

 こうして、ノイシュティフトに戻ってきたのが12時過ぎ。さっそくリフト乗り場に向かい、山の中腹にあるベルクシュタツィオン(Bergstation)まで一気に上がる。ここはパラグライダーの出発点で、シュトゥーバイタールを見下ろす展望とともに、色とりどりの翼が気持ち良さそうだ。目指すエルファー小屋へは、ここからつづら折りの登りになっており、尾根伝いに急登をこなしていく(本来の道は工事中?だった)。少々きついが、眼下の景色が素晴らしいので、それに励まされながら着実に登っていった。

View of Stubaital
シュトゥーバイタールの展望

 やがて30分あまりで小屋に到着。ここまで来るとエルファーシュピッツェ(Elferspitze:2505m)の岩峰が迫り、ノイシュティフトの街並みも見える。ここで休んでも良かったのだが、もう結構時間が経っていたのと、意外に小屋が混雑していたので、このまま先を急ぐことにした。

 小屋から少し登り、分岐を左にたどると、道は緩やかなトラバース道になってくる(下りかと思っていたが、最初はしばらく登りだ)。ここはパノラマヴェーグ(Panoramaweg)と呼ばれるだけあって、左にゴツゴツとした岩稜山脈・ゼルレスカム(Serleskamm)を谷越しに望みながらの快適な散歩道となる。日当たりが良いのか、道端には高山植物が結構咲いていて、その美しい姿で楽しませてくれる(雪が残っている箇所もあるが)。歩く人もそれほど多くなく、気持ちの良い道のりだ。

Wildflower in Tirol (1)Wildflower in Tirol (2)Wildflower in Tirol (3)
Wildflower in Tirol (4)Wildflower in Tirol (5)Wildflower in Tirol (6)
道中の主な高山植物

 しばらく歩くと分岐に到達。ここで右手を見上げると、エルファーシュピッツェの険しい岩峰が見える。そして正面には、谷奥のハビヒト(Habicht:3277m)も姿を現してきた。ここも迫力ある眺めが得られるところなので、ゆっくりと休み、展望をじっくりと味わう。そしてここから下り坂で、谷の底にあるカールアルム(Karalm)まで淡々と下っていった。

Pinnistal
ピンニスタール (右奥がハビヒト)

Elferspitze
エルファーシュピッツェの岩峰

Serleskamm
ゼルレスカム

 天気が崩れて

 カールアルムに着いた頃には、もうすっかり雲が空を覆うようになっていて、薄暗い空模様になっていた。だが、後は谷沿いの幅広い道を下るだけなので、気楽に歩いていく。想像していたよりはずっと急な道だったが、特に問題となるようなところはなかった。

  1時間あまり下ったところで、徐々に前を行く人たちの姿が見えてきた。私よりずっと前に歩き始め、ゆっくりと堪能したことだろう。思いのほか遅いのであっさりと抜かせてもらい、ペースを落とすことなく歩き続けていった。

 こうして、ノイシュティフトの隣町、ネデル(Neder)には5時半過ぎに到着し、6時頃のバスに乗ってインスブルックに戻っていった。いきなり困難に直面しどうなることかと思ったが、何とかリカバリーできて一安心であった。

 そして翌日は、予想通りというか、朝から雨…それも結構雨脚が強いので、とてもアルプスに出かける気にはなれない。そこで休養日とし、洗濯をしたり、買い物をしたりして過ごした。ただ、こんな時でも10~17時はYHAが閉館になる(=追い出される)ので、正直、過ごし方に困る。とりあえず街の中心地に出かけて情報収集したり、インターネットをしたり(日本語を読めるところがなかなか見つからず苦戦)、本屋で立ち読みしたりして時間を潰すが、もう少し対応を考えて欲しいものである(17時前には、することがなくなった人たちで、宿の前が混雑していた…)。

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