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旅行記:アラスカ(世界自然旅)

83.栄華の跡 (2003/9/11:晴後曇

 パノラマ飛行

 チットナからマッカーシー(McCarthy)までは30分足らずだが、途中はランゲル山脈に沿って飛行するので、素晴らしいパノラマが期待できる。今日は天気にも恵まれているので、これは絶好の機会だ。

Flight view of Mt Wrangell
ランゲル山を望む

Lakes near Chitina
湖沼群が広がる

 飛び立つとまもなく、左手にランゲル山が目に飛び込んでくる。のぺっとした山だが、あれでも標高4317mあり、氷河に覆われた現役の火山である。眼下に湖沼群を見て進むと、やがて巨大なブラックバーン山(Mt Blackburn:4996m)が出現。想像以上に迫力のある山で、しばらくは目を奪われてしまった。

Flight view of Mt Blackburn
巨大なブラックバーン山が見えてきた

Flight view of Atna Peaks
アトナ・ピークスも見える

 ブラックバーンが真横になると、前方にはアトナ・ピークス(Atna Peaks:4225mと4145m)、リーガル・マウンテン(Regal Mountain:4220m)が見え始め、やがてケニコット氷河(Kennicott Glacier)の上を飛ぶようになった。この氷河は氷とモレーンが絶妙の模様を描いており、絵になる光景である。ところが、こんな美味しい場面で雲がかかってきたのだ。どけ、どいてくれ!

Looking back at Mt Blackburn
ブラックバーン山を振り返り見る

Kennicott and Root Glacier
ケニコット氷河 (左)とルート氷河 (右)

  飛行機はルート氷河(Root Glacier)上を飛ぶようになり、眼下には急峻な山上に建つエイル鉱跡(Eire Mine)も見られる。こちらも実に美しい氷河だが、雲のせいで陰っているのが残念だ。そして、ここで旋回して南に転じると、先の集落に向けて高度を落とし、無事飛行場に着陸したのであった。

Kennicott Glacier
ケニコット氷河上を飛ぶ

Root Glacier
ルート氷河

  短いながらも充実の飛行に満足したところで、迎えの車に乗ってマッカーシーの集落に直行する。オフィスにやって来ると、お金の支払いとともに、15日の運行は不可なので前日に帰るよう勧告された。まぁ駄目もとだったので素直に諦めて、ひとまずLancaster's Backpacking Hotelに入った。

 古の銅山へ

 荷物を部屋に置いたら、今日はまずまず良い天気なので、すぐに出立する。ちょうどケニコット(Kennicott)行のバスが出るところだったので、これに便乗して北上。未舗装路を7kmほど走って、寂しげな終点に到着すると、左手にはブラックバーン山の雄姿が見られる。雲がかかってきたものの、素晴らしい眺めだ。

Mt Blackburn from Kennicott
ケニコットから望むブラックバーン山

 もうシーズンが終わっているため、ここのビジターセンターは閉鎖されていたが、掲示板には「人馴れしたクマが問題を起こしているので注意」と書かれてあった。どうやら、ロブソン山で会った人の話は本当らしい。今日歩くところではないが、恐ろしいことである。

 ケニコットでは、1900年代初頭に銅鉱脈が発見されて以来、1938年に閉山されるまで、銅鉱石の採掘・選鉱が活発に行われていたという。その精錬所跡が今でも残っており、古の郷愁を誘うが、まずはその中を通過し、ルート氷河沿いに歩いていく。途中で分岐が現れたが、何の標識もないので無視して進むと、ほどなくしてボナンザ・クリーク(Bonanza Creek)に着いてしまった。これでは行き過ぎなので、引き返して分岐を左に入っていった。

  今日目指すのは、かつての栄華の跡地、ボナンザ銅山(Bonanza Mine)である。実は、マッカーシーやケニコット周辺でハイキングできる場所は限られており、本当は軽飛行機を使ってバックカントリーに入らないと、この公園の醍醐味は味わえない。しかし、今回は時期的にも費用的にも無理なので、この周囲で最も良いと言われるコースを歩く次第である。

  トレイルはしばらく、車も通れるような幅広の道を登っていく(実際、森林限界上までバギーで走れる)。スイッチバックで高度を稼いでいくので、最初のうちは楽勝だったのだが、次第に勾配がきつくなり、思いのほか体力を消耗する。1時間ほどで森林限界を抜けると、眼下にケニコット氷河やルート氷河、そして周囲の山々が望めるようになった。あいにく、雲も増えてブラックバーン山は隠れているが、大地は綺麗に色づいていて、なかなかの眺めである。

View of Glaciers
ケニコット氷河とルート氷河を望む

Bonanza Color
大地もすっかり色づいている

 廃墟を歩く

 斜面が緩やかになったところで小休止とし、眺望を楽しんだら、さらに奥へと進む。左奥にジャンボ鉱跡(Jumbo Mine)を見ながら緩やかに登っていくと、やがて岩が剥き出しの谷間が見えてきた。目指す銅山はこの上だ。

 ここから、岩がちのガレ場を登り始める。水場を過ぎるといよいよ本格的な登山になってきて、道も不明瞭になり、距離の割には時間がかかる。右手に多くの奇岩、左手にボナンザ・ピーク(Bonanza Peak)を見上げながら歩いていくと、やがて前方に銅山跡が見えてきた。ここまで来ればもう少しと、さらに一踏ん張りで登っていった。

Looking back the way
来し方を振り返る

Bonanza Mine
ボナンザ銅山の跡

  最後は結構急な登りであったが、結局3時間ほどで銅山に到達することができた。いざ間近で見ると、これぞまさに廃墟。朽ち果てた銅鉱跡が痛々しくも残っていて、ガラスや木材の破片もそのままにされている。ここには看板があって、遺留品は一切持ち出さないようにとのお達しが書かれていた。誰もいないが、これでも保存には気を使っているようである。

 さらに稜線まで登ってみると、反対側には採掘の跡もそのまま残されていて、往時の繁栄を偲ぶことができる。最盛期には人口が2000人に膨れ上がり、年間60万トン近くの銅を産出していたそうな。今では人口も数十人程度だが、当時はさぞ栄えたことだろう。

Bonanza Peak
ボナンザ・ピークと採鉱跡

Bonanza Rocks
反対側の奇岩

  ここでしばらく栄華の跡を眺めたら、次第に雲も厚くなってきたことだし、おとなしく帰ることにする。下りは楽なもので、登りの倍のペースで一気に駆け下りることができたが、途中でゆっくりし過ぎたせいか、もうマッカーシー行のバスは終了。仕方なく歩いて帰り、さらに1時間半ほどで宿に戻った。

  ところで、ここで妙な言葉を耳にした。こんな僻地、当然日本人などいないと思っていたのだが、飛行機会社のオフィスを出てきた人たちが「どうしよう」「何もないね」などと話しているではないか。一瞬幻かと思ったが、あまり巻き込まれたくなかったので、そそくさと宿に逃げ込んだ。それにしても、こんなところまで日本人観光客が足を延ばすとは…

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