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旅行記:アラスカ(世界自然旅)

73.衝撃の天気予報 (2003/8/26:曇時々雨

 バックカントリーの心得

 これから、いよいよアラスカのハイライト、デナリ国立公園(Denali National Park & Preserve)に赴く。「デナリ」とは北米最高峰・マッキンリー山(Mt McKinley:6194m)のことで、先住民の言葉で「偉大なるもの」という意味。植村直己を飲み込んだ名峰と、多くの野生動物が待っているのだ。

 アンカレジからデナリへは、有名なアラスカ鉄道(The Alaska Railroad)を利用する。8時15分に出発し、ゆっくりと北上していくが、この日はあいにくの天気で、まもなく雨になってしまった。風光明媚な鉄道として知られていても、これでは意味がない…タルキートナ(Talkeetna)に来てもデナリのデの字もなく、途中のハリケーン峡谷(Hurricane Gulch)を渡る景色が少し目をひいた程度で、その醍醐味を味わうことはできなかった。

The Alaska Railroad
アラスカ鉄道

 8時間かけてデナリ駅に到着すると、相当数の乗客が下車し、そのほとんどが迎えのツアーバスに乗って消えていく。少数の個人旅行者は、しばらく待って無料の循環バスに乗って移動。私は今日から3泊をRiley Creek Campground、その後4泊をWonder Lake Campgroundで予約していたので、まずはそのバウチャーを受け取るべく、ビジターセンターに向かった。

  予約済のキャンプ場とシャトルバスの乗車券を発行してもらったら、さらにもう1泊分の余裕があるので、バックカントリーのパーミット取得を試みる。天候に恵まれればアイルソン山(Mt Eielson)の周回コースを歩きたいと思っていたが、ここは人気のエリア。駄目もとで聞いてみると…この先5日間は一杯だが、1週間後ならOKだという。これはラッキー!あらかじめ最初の予定を固めておいて正解であった。

  パーミット発行にあたっては、まずビデオを見せられる。ロブソン山で会った人も推薦していたが、これはバックカントリーの心得について丁寧に説明してくれ、かなり参考になる内容だ(日本語字幕付)。例えば、デナリでは"Leave No Trace"の理念のもと、トレイルはほとんどなく、踏み跡すら残さないようにする必要がある(グループで歩く場合は、あえて別の場所を歩く)。またグリズリーなどに襲われないよう、テントと食料と調理場はそれぞれ100m離し(三角形の位置関係)、食料はフードコンテナに入れる、などなど…。それが終わると、今度は詳細地図を買わされ、それに許可エリアを記載しなければならない。そして、最後に諸条件を確認して、ようやくフードコンテナとともにパーミットが発行された。

 悲惨な予報

 これで一通り用事が済んだが、天気予報が気になったので拝見。すると、驚くべきことに、この先は毎日雨になっていた。レンジャーの話では、ここ数日も雨続きで、デナリはほとんど見えていないらしい。1週間あれば、せめて1日ぐらい晴れてくれると思っていたが、甘いのか…非常なるショックを覚えて、キャンプ場に向かった。

 指定された場所にテントを立て、近くの店へ買い出しに行くと、ここにも予報が載っていたが、なんと10日間全て雨とのこと。夏のアラスカは雨が多くて滅多に晴れず、特に今年は雨が多いとは聞いていたが、これほど悲惨とは。デナリを見られなかったら、何のために来たかわからない…

  明けて26日、本当なら今日はカンティシュナ・ウィルダネス・トレイル(Kantishna Wilderness Trail)というツアーでデナリ周辺を一通り見てやろうと思っていたが、3ヵ月半前の段階で満員で、参加は適わなかった。もっとも、この日も優れない天候だったので、結果的には良かったのかもしれないが。

 と言うことで、今日は近場のヒーリー山(Mt Healy)とホースシュー・レイク(Horseshoe Lake)を訪れることにする。これらはごく優しいハイキングだが、明日以降のウォーミングアップと思って歩くことにしよう。

  トレイルは、線路を渡る手前からスタート。北上したらすぐに左折し、線路を渡って緩やかな道をゆく。分岐を右に入ると登りが始まり、やがてスイッチバックの急登になった。タイガの森を抜けて、次第に眺望が良くなってくるが、やはり曇天では今ひとつ…予報通りと言ってしまえばそれまでだが、この先が思いやられる展開である。

View of Denali station
街並みを見下ろす

Mt Healy
ヒーリー山

 軽いウォーミングアップ

 淡々と登って、1時間ほどで見晴らしの良い岩場に出た。ここが目的の展望地のようで、眼下には周辺の街並みが見て取れる。既に黄葉も始まっていて、森が部分的に黄色く色づいているのが印象的だ。しかし、ここは風が強くて相当寒いので、少し休んだら下山を始めざるを得なかった。

 楽々と下りきったら、まだまだ余裕なので、このままホースシュー・レイクを目指す。再び線路を渡ったところで、線路沿いにしばらく歩いていくと、少々で右下に湖が現れた。馬蹄形をしていて、それが名前の由来である。大したものではないが、他にやることがないので、続けて湖畔まで下っていくことにする。

Horseshoe Lake
ホースシュー・レイク

 少し戻ってトレイルを下り出すと、途中やや急な箇所があったが、なんなく湖畔にたどり着くことができた。徐々に人が増えていたとはいえ、まだまだ静かな方なので、ここでちょっとゆっくり過ごし、明日からの本番に思いを馳せた。

Lakeside of Horseshoe Lake
湖畔より

  こうして、昼頃にはあっさり歩き終えてしまった。軽いウォーミングアップにもならなかったかもしれないが、まもなく雨も降ってきたので、良いタイミングであった。その後は、犬ぞりを見たり、街中に出てみたりしたが、どうも天気同様すっきりしない。やはり明日からのことが気になっているのだろうか…

  夕方前にキャンプ場に戻ると、日本人の写真家さんがいて、明日からバックカントリーに入る予定だという。さらに聞けば、既に6月から断続的に入っていて、ビザが切れそうになったので一時ユーコンに避難し、再びやってきたとのこと。動物を撮るのが目的だそうで、これから9月中旬までずっと泊り込むらしい。さすがはプロカメラマンだ。

  その後、シャワーを浴びに店の方に行くと、前方をムースが歩いている。キャンプ場に入ってくるとは驚きだが、私は油断してカメラを置いてきてしまった。しかし、写真家さんは一生懸命撮影に興じている。いつでもカメラは離さないとのことで、これには脱帽であった。

  そして、1人寂しく食事をしていると、にわかに天候が良くなり、青空が広がるようになった。あれっ、雨じゃなかったのか…? そんな疑問を抱きつつも、これは良き兆候に違いないと勝手に考えて、興奮のうちに眠りについた。

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