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旅行記:アラスカ(世界自然旅)

72.アップダウン続き (2003/8/23:晴後曇

 降ろしてくれ!

 2日目は、昨日より南にあるマッキュー・レイク(McHugh Lake)とラビット・レイク(Rabbit Lake)を訪れる。こちらへはポッター(Potter)の南にあるトレイルヘッドから歩くのが手っ取り早いが、あいにく市バスはない。しかし、ここはちょうどウィッティアやスワードに向かう途中なので、これらに向かうバスを利用できる可能性があった。

 そこで、朝7時に宿を出て、スワード行バス乗り場に出向く。すると、運良く先日と同じ運転手だった(しかも私のことを覚えていた)ので、さっそく交渉開始。地図を見せて、トレイルヘッドで降ろしてもらえるようお願いする。思ったより高い料金を請求されたものの、運転手は了解し、これで往路は解決となった。

 バスは大勢の日本人観光客を乗せて、一路スワードへと走っていく。ポッターを過ぎ、いよいよ入口に差しかかった…が、バスは減速することなく通過してしまった。おいおい! 慌てて前に行き、運転手に話をすると、「トレイルヘッドはもっと先だ」と言い張って聞かない。そんなバカな、こっちは2度の下見で確認しているのだ。

  絶対に間違いないので降ろしてくれ、と詰め寄ると、最初は聞く耳を持たなかったが、こちらがうるさく言うので減速。そして「おかしな客が変なところで止まれと言うので、皆ごめんね」などと言って私を降ろしにかかった。何なんだその言い方!と思ったが、このままスワードに連れ去られてはたまらないので、さっさと降りて、元の道を引き返していった。

  数キロ歩いてトレイルヘッドに到着するが、朝早いだけあってまだ誰もいない。1%だけ、間違っていたらどうしよう、と思っていたが、ここが正真正銘の入口と判明したので一安心であった。

 草ボウボウ

 歩き始めはいきなりの登りだが、しばらくでテーブル・ロック(Table Rock)への分岐に来たので寄り道。しかし、こちらはさらなる急登で苦戦を強いられた。それでも、登り切れば眼下にターナゲン入江が見渡せ、なかなかの眺望だ。岩の上にはテントが一張あって、まだ眠っているようだったので、邪魔しないよう一人静かに鑑賞した。

Turnagain Arm from Table Rock
ターナゲン入江 (テーブル・ロックより)

 元の道を引き返し、分岐を左折したら、森の中を緩やかに登っていく。視界が開け、マッキュー・クリーク(McHugh Creek)の流れる谷を一望できるようになると、左にマッキュー・ピーク(McHugh Peak)への道を分ける。ここからは谷沿いの道を楽々歩く…と思っていたのだが、意外に歩かれていないのか、トレイル上は草ボウボウで歩きにくい。おまけに見た目以上にアップダウンがあり、特に沢筋を越える時はかなりの急勾配で、のっけから体力を消耗させられた。

McHugh Valley
谷の道をゆく

 草を掻き分け、疲れる登りをこなすと、今度は徐々にツンドラと岩の世界に変わってきた。沢もすぐそばを流れるようになり、谷奥の山々も望めるようになってくる。さらに岩がちの道を進めば、右手に突如マッキュー・レイクが広がり、ここを左に一登りでラビット・レイクも見えてきた。山上湖というほど遠い場所ではないが、ここは昼食に最適な場所なので、しばらくは湖畔に陣取って、のんびりと過ごさせてもらった。

McHugh Lake
マッキュー・レイク

Rabbit Lake
ラビット・レイク

  ここでほぼ道半ば。普通ならこれから北西の谷を進むようだが、私はさらなる展望を得たかったので、今度は稜線に沿ってポッターに戻っていく。先ほどまで左上に見えていた稜線を歩くわけだ。

  ラビット・レイクを背後に見送って登っていくと、意外にあっさりと小ピークに登れるが、その先は細かいアップダウンが続いているのが見える。ちゃんと踏み跡は付いており、風も強くないのは幸いだが、このアップダウンは見た目以上に疲れるものだ。どこが本当のピークかわからずに、登ったり下ったりするのは結構辛い。

 しかも、あまりに稜線にこだわると、所々切れ落ちた斜面があって、まともに下れない箇所もある。気をつけながら一つ一つクリアしていくが、これは想像以上に大変な道のりで、ちょっと後悔してしまった。

View of Rabbit Lake
ラビット・レイクを振り返る

Walking McHugh Ridge
歩いてきた谷を見下ろす

 拾わぬ神と拾う神

  やっとのことマッキュー・ピーク(らしきもの)に登りきると、今度は下りが多くなってくるが、なかなか稜線からは抜け出せない。見下ろせばドールシープ(Dall Sheep)の群れが遊び、アンカレジの街並みも遠望できる。しかし、夕方も近くなって、だんだんと不安がもたげてきた。

 どこまで稜線をゆくのかと心配になっていたが、最後のピークの手前で、踏み跡が左手の谷間を駆け下りていた。これはガレガレの急下降で、相当危険そうだ。意を決して慎重に下るが、砂走りのように砂が崩れてくるので、一歩間違えば転落しかねない。かなり怖かったが、この難所もどうにかクリアして、元の分岐まで下りることができた。

McHugh Peak
稜線の様子

View of Anchorage
アンカレジ方面の展望

  それからは平易な道を進み、最後の分岐を右に入ってポッターまで歩いていく。もう日暮れ間近で、道中はかなり暗くなっていたが、やっとのこと歩き終えることができた。今日も20kmあまり歩いたが、これでもう満足だ。

  そして、ここからは帰りの足がないので、電話でタクシーを呼びつける。ところがうまく繋がらないうえ、繋がってもポッターの場所をわかってもらえず、話もなかなか通じない。そうこうするうちに、小銭がなくなってしまった。近くの店は既に閉まってしまい、両替はできない。仕方なくヒッチハイクを試みるも、すっかり暗くなり、街灯もほとんどないので、車は止まってくれない…

  そこで、ここの駐車場に止まる車を狙ってみるが、こんな夜、1人でうろつく東洋人は怪しいと見えて、近づくと皆そそくさと逃げ出してしまった。宿の門限が夜の12時過ぎなので、それまでには帰りたかったが…まぁでも、明日用事があるわけではないので、諦めてアンカレジ方面に歩き始めた。

  もう車の通行も少なくなり、ヒッチハイクは絶望的なので、明朝までにバス停にたどり着ければ良いと開き直って、暗い夜道を歩いていく。すると、ポッター沼(Potter Marsh)を過ぎた辺りで、突然ライトが背後から照らされた。何事かと思いきや、1人の男がやって来て、何をしているのかと聞いてくる。こちらの事情を素直に話すと、不憫に思ったのだろうか、アンカレジの街まで乗せてくれると言い出した。良かった、これで救われた!

  こうして拾う神に救われて、深夜12時ちょっと前に無事宿に戻ることができた。そして翌日は、予報通りの雨となったので、心身ともに疲れきった体を癒すべく、街中でおとなしく過ごしたのであった。

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