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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2001-2002
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

15.究極のクックを求めて (2002/1/6:曇時々晴

 後手必敗

 旅もいよいよ終盤となったが、この日は久々にツアーも何もなくフリーだったので、いつもより遅く、8時過ぎに起床した。外を見ると、快晴を期待していたのに思いのほか雲が多く、少々残念であった。

  10分ほど歩いてホテルで朝食を取った後、引き返して荷物をまとめ、チェックアウトする頃にはもう10時になっていた。そして、今夜は山の上にあるミューラー・ハット(Mueller Hut)に泊まる心積もりであったので、荷物の大部分を預けて出陣した。

 ところが、山小屋を予約しようとDOCに赴くと、既にハットは定員一杯で、テントでないと泊まれないという。すっかり油断していたが、ハットの定員はわずか12名で、今日明日は天気が良いとの予報だったので、サザン・アルプスの日の入り&日の出を見ようという人がいてもおかしくなかったのだ。せめて朝食の際に先に寄っていれば…と思ったが、後悔先に断たず。その場はやむなく了解して、引き返すより他になかった。

 だが、落ち着いてしばらく考えても、今夜はホテルに泊まるか、キャンプ場でテントを張るか、ハットでテントを張るしかない。それなら、ハットまでテントを持ち込んで、クックの絶景を眺めながら眠りたい…ここまで来て中途半端なことはしたくないので、預けておいた荷物をいったん出してもらってテント関連装備を引き出し、再びDOCでハット・パス(Hut Pass:テント泊の場合は$9)を取得して、ミューラー・ハットに向かうことになった。

  ただ、ミューラー・ハットまでは3時間ぐらいで行けるというので、時間的にはまだまだ余裕があった。そこで雲が晴れるまで待とうと、しばらくはホテルのカフェでゆっくり寛いでみる。時間が経つにつれて雲は晴れてくるが、晴れているのは標高の低いところのみで、山にはまだ低い雲が残っている。結局昼過ぎまでホテルにいたが、徐々に騒々しくなってきたので、2時頃にはぼちぼち歩き始めることにした。

 雲を持ち上げながら

 歩き始めてしばらくは、実に平坦で整備された道が続く。途中まではケア・ポイント(Kea Point)と呼ばれるお手軽な展望台への道と一緒なので、一般の観光客も多い。それが30分ほど続くと、シアリー・ターンズ(Sealy Tarns)/ミューラー・ハット方面の道との分岐点に差しかかった。

  ここからは急な登り坂となるが、ご丁寧にも階段状に道が整備されているので、ある程度歩き慣れている人ならそれほど苦労しないで済む(でも、ところどころ厳しい箇所もある)。私の場合はむしろ暑さとの闘いに苦戦を強いられたが、途中で軽装にすることで克服し、順調に高度を稼いでいく。

Mount Cook Village
マウント・クック村を見下ろす

  気がつけば、マウント・クック村を見下ろす景色が素晴らしく、低く立ち込めていた雲も、登るにつれて徐々に高度を上げているようだ。この調子ならハットに着く頃には雲も晴れているかも…と期待していると、まもなくシアリー・ターンズに到着。ここはマウント・クックを見渡す展望地だが、あいにく雲に隠れてクックの姿は全く見えず、すぐ向こうのツケット氷河(Tuckett Glacier)とフリンド氷河(Frind Glacier)がわずかに見える程度だ。しばし休憩して雲が晴れるのを待つが、願いむなしく、クックの雄姿を望むことはできなかった。

Cloudy Sealy Tarns
曇天のシアリー・ターンズ

 シアリー・ターンズから先は一般向きではなくなり、やや厳しいコースが続く。だが、最初の登りをこなすと、やや平坦な草地となり、マウントクック・リリーの群生地が現れた。どうもマウント・クック国立公園に入ってからマウントクック・リリーを見かけないなぁと思っていたら、こんなところに咲いていたとは! しかもちょうど咲き頃のようで、どれも生き生きしているように見える。その光景に感動しながら、ゆっくり着実に歩みを進めていった。

Mount Cook Lilies
マウントクック・リリーの群生

  やがて岩だらけの道をこなすと、稜線に向けて最後の苦しい登りが続く。それをどうにか登り切ると、今まで隠れていたミューラー氷河(Mueller Glacier)とセフトン山(Mt Sefton:3151m)が間近に迫ってきた。雲も、歩きながら持ち上げていたかのように一緒に高度を上げ、既に稜線からは消えている。そして、稜線を歩くこと10分でハットに到着(5時頃)。さっそく専用スペースにテントを広げ、心地よい晴れ間の中、時折氷河の崩落する音をBGMに、しばし休憩した。

Glacier view from Mueller Hut
氷河を見下ろす

Cook view from Mueller Hut
マウント・クックを望む

 美の代償

 しばらくして、村から持ち込んだサンドイッチで夕食とし、夕暮れになるのを待った。雲はかなり晴れてきているものの、残念ながらクックは雲の後ろに隠れてしまっている。やがて頂上部分だけ姿が見えるようになったが、夕暮れが近づくとまた姿をくらまし、もはやその美しい姿は見られないかと思われた。

  ところが、夕暮れが押し迫ったところで、クックが一瞬顔を覗かせ、失望しかかったところを救ってくれた。周りも、一時は私を含めて2人だけになった時もあったが、その姿を見に10人ほどが現れ、一瞬の美の景観に酔いしれたのであった。

Mt Cook sunset
マウント・クックの夕焼け

Cloudy Sefton
セフトン山も覗く

 だが、陽が暮れると急に冷え込みが厳しくなり、テントの中では寒くてなかなか寝付けないほどになった(-11℃まで対応可能な寝袋で厚着をしていても、だ)。風も吹き出し、夜半にはミゾレ混じりの雨まで降る始末だ(翌朝には水滴が凍っていた)。

  しかも、今回の旅がキャンプ初体験だったので、不覚にもマットを購入しておらず(そもそも存在すら知らなかった…)、寝袋で直に寝転がる格好になっていた。これでは大地の寒さが直接伝わるというもので、体が震え、このまま凍てついてしまうのでは、と最悪のシナリオまで考えてしまう。それでも、明朝の御来光にかすかな期待を抱いて耐え忍ぶのであった。

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