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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2001-2002
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

5.ヘリは飛ぶのか (2001/12/27:曇時々晴

 失意の中で

 今日は事実上フォックス氷河での最終日のため、チャンセラー・ハット(Chancellor Hut)周辺での氷河ウォークができるか否か、全ては天候にかかっていた。朝起きると、雲に覆われているものの昨日より良さそうだったので、今日こそヘリで氷河上流に行けるのだと信じて疑わなかった。ところが受付にいくと、今日も雲がかかってヘリが飛べないので、中止だという…これで元々の計画が完全に崩壊したわけで、落胆せざるを得なかった。

  仕方なく、わずかな力を振り絞って代替プランを尋ねると、下流域での1日氷河ウォークと、中流域でのヘリハイクが提示された。昨日半日コースながら下流域は歩いているので、個人的にはヘリハイクの方が良い(もともとヘリハイクの上級編を希望していたわけだし)が、気がかりなのは天候であった。

  そこでその旨問いただしてみると、今(朝8時)の状況ならヘリは飛べるが、先(昼12時)の状況はわからないという。しかし、もはや考えても仕方ないので、ここは12時からのヘリハイクを申し込み、可能性に賭けてみることにした。

  しかし、12時からとなると、まだあと4時間もある。何もしないのはもったいないが、かと言って何をすれば良いのか、とっさには思いつかない。そこで、とりあえず近くの散策路に向かい、原生林の中を歩いていると、ふと、一昨日立ち入り禁止で引き返したシャレー・ルックアウトのコースに行ってしまおうかという考えが頭に浮かんだ。

  これなら、時間的には3~4時間程度で戻れるし、禁止と言っても、日本のように金網で入れなくなっているのではなく、ロープがあるだけである。自己責任で入れば、入れなくはないだろう。と言うより、もはや禁じ手を使ってでも、行かないことにはこの無念を晴らすことができないのだ!

 禁断の道

 こうして、まずは延々と車が通る砂利道を歩き、1時間あまりで駐車場にたどり着くと、いよいよロープをくぐり、禁断の扉の向こうへ足を運んだ。

  実際に歩いてみると、倒木は多少あるものの、なぜ閉鎖しているのかわからないほど快適な道が続いている。これはラッキーと思いつつ先を急ぐと、30分弱で大きな沢に遭遇。このところの雨で水量が多いが、困ったことに、渡渉に使える石がなかなか見つからない…

  これでようやく閉鎖の理由がわかったが、ここで引き返すわけにもいかない。渡れるルートを探していると、足場にしようとした石が沢に崩れ、不覚にも左足が沢に浸かってしまった。幸い大事には至らなかったが、ルートを探して相当遠回りをした挙句、どうにか渡渉に成功。元のルートに戻って歩を進めると、ほどなくしてシャレー・ルックアウトの看板が現れ、目の前にフォックス氷河が現れた。とりあえず無事たどり着けたことに安堵し、しばし景色を鑑賞した。

Fox Glacier from Chalet Lookout
シャレー・ルックアウトからの眺め

 十分に休憩したら帰途につき、先ほどの渡渉も無難にこなして、やや疲れ気味の足を運んでルートの入口まで戻る。すると、駐車場にはかなり(と言っても7台ぐらいか)の車が止まっていたが、皆5分ほど下った先にある氷河の展望台に行くばかりで、私と同じような無謀なことをする輩はいなかった。そこで来た道を引き返すが、10分ほど歩いたところで奇特なキーウィが車に乗せてくれ、予定より1時間近く早く戻ることができた(疲れ気味だったので助かった)。そして、目まぐるしく変わる天候を気にしながら、軽食などを取りつつ、12時になるのを待った。

 ラスト・チャンス

 ほぼ定刻に再び受付に行くと、またしても、雲が低くたれ込めているのでヘリが飛べないという…もはや全ての運に見放されたような気分だったが、幸いにも、最終の3時からのツアーにまだ1名分の空きがあったので、すかさず申し込み、ラスト・チャンスに賭けることにした。

  このまま、こんな不完全な形でウエストランド国立公園を去るのだけは何としても避けたい…そんな思いを強く抱き、願掛けでも何でもするから晴れてくれと、残りの時間で祈ってみる。すると、幸運にも1時過ぎから晴れ間が覗き出し、雲も徐々に上空に上がっていく。神の情けか偶然か、村では滞在中初めて暑いぐらいの陽気になり、2時過ぎには、これで決行されなければいつやるのだぁ!?と堅く信じていた。そして、ついに決行の報を聞くことができ、飛び上がりたくなるほど嬉しいとともに安堵した。

 ツアーには、家族連れなどを含めて21名(+ガイド2名)が参加していた。バスで飛行場まで移動し、靴などの準備を整えて、ヘリで4回に分けて中流部へ移動。ヘリで上がると、数分で氷河が眼前に広がり、そのスケールの大きさに改めて圧倒される。ヘリは旋回ながら目的の着地点に着陸するが、その道程だけでも価値があると言える。

Fox Glacier from Helicopter
上空から氷河を見下ろす

View of Fox Glacier (upside)
氷河上流方面の眺め

  氷河上に着いてからは、簡易アイゼンを着けた後、二手に分かれて1時間半程度の氷河ウォークを堪能する。歩き自体は昨日の半日コースと大差ないが、中流域の方が傾斜がややきつく、その分景色も壮観である。普段通れる氷河のトンネルが崩落しているなどのトラブルはあったが、クレバスや青白い氷河、氷の彫刻というべき特異な形をした氷河などが至る所で見られ、待ち焦がれた甲斐があったというものだ。残念なことに、雲が氷河に吸い寄せられるように移動してくるためなかなか晴れなかったが、時折覗く青空で、いつの間にか「氷河焼け」してしまうほどであった。

Broken tunnel at Fox Glacier
氷河の造形

Broken tunnel (close sp)
色は美しいが近寄れない

Tuunel at Fox Glacier
吸い込まれそうな色をしている

 こうして1時間半の氷河ウォークを堪能し、帰りは再びヘリで、氷河を見ながら無事帰還した。 最後までサザン・アルプスの山並みは姿を現さなかったが、やはり氷河ウォークは非常に興味深いものであった。

  今回は悪天候に邪魔され、チャンセラー・ハット周辺から眺める氷河源流やタスマン海に沈む夕陽、サザン・アルプスの映えるマセソン湖など、果たせなかった思いもあるが、これらはまたの機会の宿題としよう。ともかく、ウエストランド国立公園の最後をこういう形で締めくくることができ、まずは一安心であった。

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