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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2000-2001
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

12.苦あれば感動あり (2001/1/4:曇後晴

 雲よ、どこか行け!

View of Lake Mackenzie
マッケンジー湖を眼下に見る

  朝起きると、昨日の願いむなしく、空は雲に覆われていた。予報では晴後曇と聞いていたので、このコース最大のハイライトであるコニカル・ヒル(Conical Hill:1515m)にはできるだけ早く行ってしまおうと企んでいたのだが、早くも出鼻を挫かれた格好だ。

  歩き始めると、マッケンジー湖からはしばらく岩場の急坂となる。私は岩場の上り坂が得意なので、先頭のガイドとともに急ピッチで登り、後続をあっという間に引き離してしまった。

  マッケンジー湖を右手に眺めながら登ると、晴れ間も覗き始めて、緑色の湖面が一層鮮やかになる。このまま一気に天気が回復するのか、と大いに期待して、フリー・ウォークの人たちを追い抜きながら、ジグザグ道を勢いよく登っていった。

  だが、稜線上にあるオーシャン・ピーク・コーナー(Ocean Peak Corner)に出ると、反対側のホリフォード渓谷は完全に霧に覆われており、昨日見られたダーラン山脈の山々は白いカーテンに遮られて何も見えなかった。ガイドと2人で "Clouds, going away!"(雲よ、どこか行け!)と願ってみても、何ら効果はない。

  こうして、しばらくこのコーナーで休んでいたが、1人を除いて、後続がなかなか現れなかった。稜線上だけあって風が強く、体もだんだん冷えてくる。そのため、ガイドが気を遣って「先に行ってよいよ」と言う。本来なら掟破りの行為だが、ガイドも後続の面倒を見なければならないから、しばらく動けないようだ。そこで「ゆっくり歩いている」と伝えて、ガイドの先を歩くことにした。

 単独行で進み始めても、相変わらず霧が立ち込めており、景色のへったくれもない。エアポケットのようにフリー・ウォークの人たちの姿も見えなくなり、人の気配すらなくなった。それでも、マウントクック・リリー(Mount Cook Lily)やラージマウンテン・ディジィー(Large Mountain Daisy)などの珍しい高山植物が可憐に咲いていて、沈んだ気持ちを和ませてくれる。

Mount Cook Lily
マウントクック・リリー

Large Mountain Daisy
ラージマウンテン・ディジィー

  30分ほどすると、ガイドが走って追いついてきた。道を譲ろうとすると「君がリーダーだ」と粋なことを言うので、私を先頭にしばらく2人で歩いていった。そして、昼食場所のハリス・サドル・シェルター(Harris Saddle Shelter)が近づくと、ガイドは食事の準備があるからと言って、また走っていってしまった。こうして最後は霧の中、完全なる一人旅で歩みを進めた。

 天界の桃源郷

 シェルターに到着すると、ガイド付ツアーの参加者はまだ誰もいなかったが、お昼時だけあってフリー・ウォークの参加者が多数寛いでいた。ここで曇っているようでは、コニカル・ヒルでも眺望が望めないだろう…不安に思いながら飲み物をもらって休んでいると、徐々に先ほど霧で覆われていたホリフォード渓谷が姿を現し、ダーラン山脈の姿が浮かび上がってきた。

  食事をしながら見ていると、姿を見せたり隠したりと目まぐるしい変化であったが、少しずつながら確実に回復しているように見えた。そこで、食事を済ませて休んだら、まだ雲が残っていたものの、賭けでコニカル・ヒルに登ることにした。

Mt Gunn
姿を現したダーラン山脈

 コニカル・ヒルまでは、シェルターから急斜面をほぼ直登していくことになる。これが思いのほか急で、相当辛い登りだ。これで景色が何も見えなかったら絶対に後悔するだろうと思ったが、途中で引き返すわけにもいかず、ただただ歩を進めていった。

  しばらく霧の中を登っていくと、東側のマウント・アスパイアリング国立公園方面が開け、ハリス湖(Lake Harris)越しの展望を望めるようになった。これに気を良くして、さらに急斜面を登っていくと、ついに頂きに到達した。

  頂上はまるで天界の桃源郷のようで、360°の大展望が広がっている。とりわけ西のダーラン山脈は、キーサミットやガン湖の辺りから、ホリフォード川がタスマン海に注ぎ出るマーチィンズ湾(Martins Bay)まで、長大なホリフォード渓谷を一望できて圧巻だ(ここは標高1515mあり、キーサミットの919mよりもはるかに高いので、雪を戴く山々がより間近に見られる)。苦しい道のりであったが、この感動を味わえれば大満足である。

Conical Hill
ダーラン山脈の大展望 (コニカル・ヒルより) [→超拡大版]

View of Lake Harris
ハリス湖越しの眺望

Hollyford Valley from Conical Hill
ホリフォード渓谷を見下ろす

  結局、コニカル・ヒルには30分以上滞在し、絶好の撮影ポイントを探してあちこち動き回っていたが、やがて皆で下山することになった。ガイドについて急斜面を下っていくと、登頂を諦めたと思っていた日本人の参加者が、ガイドのトモコさんと大挙して登ってきていた(私のほかは、清水夫妻ほか1名が既に上がってきていた)。そして、いたずら好きの鳥・ケアの群れとも遭遇しながら急斜面を慎重に下り、無事シェルターに帰還した。

Kea
いたずら好きなケア

 無理せずゆっくりと

  シェルターで少し休んでいると、晴れて半袖でも暑くなるほどであった。そこで休憩もそこそこに先に進み、ハリス湖を巻きながら、ルート中最も高いハリス・サドル(Harris Saddle:1310m)を越えていった。これで長きに渡って滞在したフィヨルドランド国立公園に別れを告げ、マウント・アスパイアリング国立公園に入り、ルートバーン(Routeburn)に沿って下っていくことになる。ただ、この辺りまで来ると、コニカル・ヒルの直登で体力を消耗したのか、もう早く歩く気力がない。時間はまだ充分あるので、この先は無理せずゆっくり、景色を楽しみながら歩くことにした。

Lake Harris
ハリス湖

Ocean Peak
ハリス・サドルとオーシャン・ピーク

  ルートバーン流域にはルートバーン・フラッツ(Routeburn Flats)と呼ばれる盆地があり、それと両側の山脈を眺めながら下っていく。途中、1時間ほど下ったところで、ルートバーン・フラッツが見下ろせるパディ・ポイント(Paddy's Point:1225m)まで歩くオプショナルツアーがあったので、最後の力を振り絞って、それにも挑戦してみることにした。

  もはやそれほど急な地形ではなかったので、すぐに着くかと思いきや、意外に急な斜面を上がり、上がりきったと思ってもしばらくはアップダウンの続く丘の上を歩かなければならない。想像以上に疲れた末にたどり着いた場所は、確かに眺めが素晴らしかったが、疲れきった体に鞭打って登る割には、普通のルートから見られる景色とそれほど変わらない。余裕があれば別だが、無理をしてまで行く必要はなかったかもしれない。

View from Paddy's Point
ルートバーン・フラッツの眺め (パディ・ポイントより)

  それはともかく、パディ・ポイントでしばしゆっくりしたら引き返し、ルートに戻ってまた下りだすと、まもなくルートバーン滝(Routeburn Falls)が現れた。ここに本日泊まるルートバーン・フォールズ・ロッジ(Routeburn Falls Lodge)があるが、段を連ね、水しぶきをあげている滝のすぐ横にあり、しかもルートバーン・フラッツの美しい展望も見られる。おまけに改装されたばかりで、大変綺麗だ。こんな素晴らしいところに長期滞在できたら、どんなに素晴らしいことだろうか。

Routeburn Flats
ルートバーン・フラッツの眺め (ルート上より)

Routeburn Falls
ルートバーン滝

  そして夜には、このツアーの伝統という、ホットケーキの皿キャッチ大会が開催された。すなわち、フライパンに載せたホットケーキをガイドが背面投げし、待っている人間(参加者)が皿でキャッチするというものである。これはうまくいけば喝采、失敗しても大受けで、大変盛り上がった(幸いにも、私は首尾よく片手皿キャッチに成功した)。それからも、夜遅くまで、残り少なくなった時間を惜しむように、皆でいろいろとお話をして盛り上がった。

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