検索 Google
五輪館
Back|Next
旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2000-2001
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

9.神秘の光 (2001/1/1:晴後曇

 新世紀早々

  新世紀を迎えた朝、私は御来光を拝むため、6時頃には起床した。さすがに陽はまだ差していなかったが、空は徐々に明るくなり始めている。船内は、昨晩の祭りの後を色濃く残し、散らかったままだった。予定では朝7時から食事となっていたが、出足は大変鈍く、船員も含めてごく数人だけしか起きていなかった。

 食事を終えて甲板に出ると、徐々に陽が昇り始めたようで、マイター・ピークにはもう太陽の光が当たっている。だが、停泊するハリソン・コーブの両岸には断崖が聳え立っているため、太陽を拝むことはできず、光が下界に下りてくるのを見守るしかなかった。

Mariner at Harrison Cove
静寂のハリソン・コーブ

Sunrise Mitre Peak
朝焼けのマイター・ピーク

  やがて多くの人が起床すると、船は再び動き出し、ミルフォード・サウンドのクルーズが始まった。朝のクルーズは、光も当たらず冬のように寒かったが、まもなく陽の差すゾーンに突入し、神秘的な御来光とともに暖かい陽気が差してきた。これまで曇りや雨の日が多かったから、元日の御来光は半ば諦めていたが、何と運の良いことだろう。幸先の良いスタートだと思いつつ、快晴の中、3度目のクルーズを満喫した。

Sunrise Milford Sound
ミルフォード・サウンドでの御来光

 こうして9時過ぎに帰港すると、神通力が切れたのか、急速に曇り出してきた。私はテ・アナウ行バスに乗るため、同乗した人たちの流れに任せて進み、バスに搭乗。いつものバスと違うな、と思いつつ、席に座った。すると、点呼を始めたガイドが私を見て驚き、バスが違うわよ、と言い放った。どうやらオーバーナイト・クルーズに参加した大半の人は、ツアー参加者だったようだ(どおりで最初から和気藹々といくわけだ)。車内は爆笑の嵐で、新世紀早々、赤っ恥をかいてしまった。

 バスを降りると、後ろには例の赤いバスが停まっていたが、まだ1人しか乗っていない…これで良いのか不安に思っていると、運転手が現れたので出発時間を確認。するとまだ30分ほど時間があるので、急いでマイター・ピークを望むポイントを目指し、景色を少々眺める。しかし、既に薄雲が広がり始めており、見映えは今ひとつであった(その後すぐ引き返したが、それでも時間一杯で、最後は運転手に催促されて走って戻った)。

Mitre Peak at 21st Centry
新世紀のマイター・ピーク

 ミルフォード・ロード経由

  バスはテ・アナウに向けて出発し、ミルフォード・ロード(Milford Road)と呼ばれる、NZでも指折りの美景街道を進んでいく。クレドウ川(Cleddau River)を上がると、雪を戴く大岸壁に囲まれたU字渓谷に突入し、振り返ればシェアダウン連山が美しい景色を奏でていた。道はジグザグに登り、ホーマー・サドル(Homer Saddle)周辺の雪山に間近まで迫っていく。

View of Sheerdown Range
シェアダウン連山を望む

Homer Saddle
ホーマー・サドル周辺の山

  するとまもなく、薄暗いホーマー・トンネル(Homer Tunnel)に入り、そこを抜けると、左手にスノー・ブリッジ(Snow Bridge)と呼ばれるマクファーソン山(Mt Macpherson:1935m)の大岸壁が現れた。ここはゲートルード峠(Gertrude Saddle)への入口で、辺りでは観光客がバスを降りて写真撮影に興じている。だが、私が乗っているバスは止まらないので、車内から景色を楽しむだけだ。

Snow Bridge
マクファーソン山のスノー・ブリッジ

Monkey Creek
モンキー・クリークより

  やがて両側を雪山に挟まれたモンキー・クリーク(Monkey Creek)を下っていき、途中休憩となった。乗り合わせた十数人は、皆外に出て風光明媚な風景をカメラに収めている。無論私も続くが、曇天のうえ標高も高いので、思いのほか寒くなっていた。

  休憩後、バスはホリフォード川(Hollyford River)に沿って下っていき、途中から街道をそれて、マリアン湖(Lake Marian)入口で停車した。何事かと思ったら、散策路を少し歩くのだという。定期バスでこんなことがあるのかと不思議に思いつつ、ホリフォード川を吊り橋で渡り、マリアン湖へのコースに入った。

  翡翠のようなホリフォード川に沿ってブナ林を進むと、ほどなくして水量豊かなマリアン・クリーク(Marian Creek)にぶつかった。ここには足場を高くした木道が設置されており、そこから滝を見下ろすが、なんとも豪快な流れだ。この先をさらに進めば、2時間ほどで美しい氷河湖にたどり着くが、今回はここで引き返し、運転手ともどもバスに戻っていった。

Hollyford River
ホリフォード川の流れ

  バスは再び動き出し、テ・アナウに戻っていく。ディバイド峠(The Divide:534m)からは、明後日にいくルートバーン・トラック周辺の山々や、ホリフォード渓谷(Hollyford Valley)を見渡せて壮観だ。テ・アナウに戻るにつれて、景色の迫力は薄れていったが、ガン湖(Lake Gunn)やミラー湖(Mirror Lakes)など、次々と見所が現れる。さすがに北欧を凌ぐだけのフィヨルドだと、改めて感心させられた。

 こうしてテ・アナウには昼に帰着したが、この日は夜までフリーだったので、荷物を宿泊先のCentraに預けて、買い物をしたり、バスの予約をしたり、洗濯したりと、有意義に時間を過ごした。その後、コロミコ・トレックに出向き、第2のハイライトであるルートバーン・トラックの説明を受け、合わせて天気予報も伺った。すると、停滞していた前線が抜けて高気圧が近づいており、天候は良さそうだという。新世紀早々、幸先良い展開だ。

  それからは、テ・アナウ名物の希少動物タカヘ(Takahe)を見ていっては、との強い勧めに応じて、ワイルドライフ・センター(Te Anau Wildlife Centre:無料)に送ってもらった。スタッフの人が、タカヘ、タカヘ、と呼ぶと近寄ってくると言うが、なかなか姿を現さない…やはり人間の言葉がわかるはずないか?と思い始めたところ、幸せの青い鳥ならぬタカヘが、ひょこっと現れた。私は思わぬ出会いに感謝し、その後テ・アナウ湖周辺を散策しながらホテルへ戻っていった。

Takahe
飛べない鳥・タカヘ

 煌びやかな洞窟

 ところで、元旦の夜はテ・アナウ洞窟(Te Anau Caves)ツアーに参加することになっていた。ここはツチボタル(Glowworms)が生息するところとして知られており、この時期は海外からも多数の観光客が足を延ばすスポットである。年末には、雨が降り続いたせいで洞窟が進入不可能となり、ツアーが中止されていたので心配だったが、幸いにもこの日は無事敢行された。

  湖岸からの船に乗り込み、8時過ぎに出発すると、しばらくテ・アナウ湖を北上し、洞窟の入口近くで下船する。そして、ここの小屋でガイダンスを受け、ツチボタルの生態などを教わったら(ご丁寧にも日本語とドイツ語の字幕があった)、いよいよ8人ずつのグループに分かれて洞窟に入っていった。

  私は首尾よく1番手のグループに加わることができたが、激流を横目に見ながらしばし歩き、小型ボートに乗り、また洞窟を歩き、さらにボートに乗っていく。一見難儀だが、その先には、暗闇の中、無数の光を発するツチボタル群が現れた。写真・ビデオ撮影が禁止されているので、その模様をお伝えできないのが誠に残念だが、夜空の星が零れ落ちるような、その煌びやかな光景は、筆舌に尽くしがたい美しさであった。まさに神秘の光だ。

Glowworm
ツチボタルの光 (モックアップ)

 こうして大いに満足して小屋に帰還し、他の人たちが戻ってくるまでコーヒーやマフィンを食して空腹をごまかすとともに、屋内の展示物を見学するなどしていたが、帰ってくる人たちは皆、その美しさに感動を覚えているようであった。そして、もう薄暗い中テ・アナウの街に引き返し、無事ツアーを終えることができた。ホテルに戻ったのは夜の11時頃であったが、この調子で今後も天候等に恵まれることを願わずにはいられなかった。

Page Top
Copyright © gorinkan.org All Rights Reserved.