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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2000-2001
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

7.呆れるほど美しい (2000/12/30:曇後晴時々雨

 美景の宝庫

  このツアーも早いもので4日目を迎え、ついにミルフォード・トラックの最終日になった。昨日峠越えをこなしているので、今日は緩やかな下り道を21.8kmほど歩くことになる。私は、普段なら先陣を切って歩き始めるのだが、昨日カメラ撮影に失敗した反省から、この日は結露した部分をドライヤーで入念に乾かしてからスタート。そのため、初めて後方から追いかける形となった。

 ロッジを出ると、まだ小降りながらも雨が降っていた。この日のコースは、雨の多いミルフォード・トラックの中でもとりわけ降水量の多い地帯と聞いていたので心配だったが、恐れるほどではなく、徐々に雨量も少なくなっていた。しばらくすると、昨日間近で見たサザーランド滝が、遠目ながら左手に登場。周りには、雪化粧したサザン・アルプスの山並みが姿を現し始めていた。

View of Sutherland Falls
サザーランド滝を望む

Dumpling Hill
ダンプリング・ヒルの先を望む

View from Dumpling Hut
ダンプリング・ハットからの眺め

  歩き続けてダンプリング・ハット(Dumpling Hut)まで来ると、青空が見え始めて、四方を囲む山と滝が映え始めた。それにしても、このコースは本当に美景の宝庫だ。この辺りからはほぼ平坦な道を歩くことになるが、道の周りには美しいシダやコケの原生林があふれ、見上げれば両脇には断崖絶壁が広がり、そこには無数の滝と、雪に彩られた山脈がある。そして、横には水しぶきを上げながらアーサー川(Arthur River)が流れているのだ。

Waterfalls from cliff
断崖から流れ下る滝

Gentle waterfalls
優雅に流れる滝

  振り返ると、昨日霧に覆われていた山々が、美しい雪化粧を見せ始めている。実を言うと、最終日はだらだら下るだけかと思っていたが、それは思い過ごしでしかなかった。本当に、呆れるほど美しい。今さらながら、氷河の作り出した自然の芸術に感嘆し、ゆっくりと景色を眺めながら、じっくりと撮影を行いながら歩を進めた。

Mt Daniel
振り返ればダニエル山

Mt Danger
前方にはデンジャー山

Mt Edger
アーサー川とエドガー山

  モーニングティー・サービスのあるボート小屋(Boat Shed)に着く頃には、晴れて暑いぐらいになっていた。その少し前に日本人集団に追いついて、この小屋では多くの人たちに追いついたが、ここには天敵・サンドフライがいるので、休息もそこそこに、アーサー川に架かる吊り橋を渡って先に進む。

  ちょうど休息していた人たちが出発したので、人の多い状態がしばらく続いたが、構わずコケの道を歩いていくと、まもなく轟音を響かせるマッカイ滝(Mackay Falls)に到着。名所の1つだけあって、多くの人が展望台にたむろしている。私はしばし滝の流れと渓谷の美しさを観賞し、美景の撮影に勤しんだ。

Mackay Falls
マッカイ滝

  せっかくなので、すぐ近くのベル・ロック(Bell Rock:岩の中の空洞が大きく、ベルのような形をしている)の中にも入るなどしていると、その間に皆先に行ってしまい、後続の姿も見えなくなった。こうして、ここからは一人旅状態で、靴擦れの痛みと戦いつつ、残り少ないトラックの美しさを味わいながら進む。ふと見上げれば、時折飛行機が、おそらくは観光目的で周回している。周りの山並みも、頂上付近を除けば雲がなくなり、まさに絶好のトレッキング日和になった。

Shoulder Hill
ショルダー・ヒルを望む

 思いをかみ締めながら

  しかし、天気について油断ならないのがこのコースの特徴である。晴れていると思ったら、不意に悪化し、やがて雨が降り始めた。私はちょうどエイダ湖(Lake Ada)の横、切り立った山肌を切り開いた道を歩いていたので、最初はすぐ止むだろうと適当に雨宿りしながら進んでいたが、なかなか止まないので、やむなく雨具を取り出して、先のジャイアント・ゲート滝(Giant Gate Falls)を目指した。

  ところが、雨のせいなのか、単調な下りのせいなのか、靴擦れでペースが捗らないせいなのか、昼食場所となる滝はなかなか姿を現さない。倒木をいくつもまたぎながら進むが、尾根を越えても越えても、それらしき滝がないのだ。距離は近いはずなのに…と思いながら歩くと、ようやく昼食場所とされるシェルターが見えた。この時点で1時過ぎ。さすがにお腹が空いたので休息するが、ちょうど雨が止んできたこともあって、私はシェルターではなく、ジャイアント・ゲート滝の横で昼食を取ることにした。

Giant Gate Falls
ジャイアント・ゲート滝

Mt Ada from Lake Ada
エイダ湖とエイダ山

  ここは、パンフレットにもちゃんと「天気が良ければそのまま歩行を続け、吊り橋を渡ったところにある岩の上に座って、滝を見ながら昼食をどうぞ」と書いてあるが(前夜に説明もされており、しかも滝の風圧でサンドフライが近寄れないという利点もあるのだが)、先ほどまで雨だったせいか、あるいは手前の休憩所に心奪われてしまうためか、吊り橋を渡って滝の前に行っても、誰もいなかった。そこで、贅沢にも1人で滝を眺めながら、最後の昼食を堪能したのであった。

 昼食後は、残り5kmほどの道のりを、この4日間の思いをかみ締めるようにしてゆっくりと歩く(無論、靴擦れの痛みが限界に達していたこともある)。エイダ湖の縁に沿って、原生林の中を進むが、最後の最後になっても、この自然の造形物は美しい姿を見せつけてくれる。もう十分堪能し、お腹一杯なのだが、まだまだこんなもんじゃないと言わんばかりに、魅了し続けるのだ。そして、ミルフォード・サウンドから来るボートの音が聞こえ始め、道も極めて平坦になり、ついに終点のサンドフライ・ポイント(Sandfly Point)に到達した。

 労いの宴

 着いた時には、ちょうどミルフォード・サウンドの桟橋に向かうフェリー第1便が出るところであった。私は前方に見えるバーレン・ピーク(Barren Peak:1576m)を撮りたかったので、シェルターを通過していくと、トラック最終地点でカメラマンが慌てて呼び止め、写真を撮るよう勧める(どうやら、そのまま船に乗っていくと思ったらしい)。新手の商売かと勘ぐったが、お金は取らないとのことで、求めに応じて記念撮影。しかし、あいにくまたバーレン・ピークに雲がかかってきたので、ここは船に乗らず、次の最終便を待つことにした。

View of Barren Peak
バーレン・ピーク (サンドフライ・ポイントより)

Photo at Sandfly Point
トラック最終地点にて

  どうにか撮影を済ませ、シェルター(サンドフライ対策のため二重扉になっている)に戻ってからは、軽食を食べてゆっくり寛いだ。ほどなくして、追い越した日本人の人たちを始め多くの方々が到着し、お互いに健闘を称えあったが、そうこうするうちにまた大雨が降り出した。この辺りは、全くもって油断ならない天候である。

 フェリーでミルフォード・サウンド桟橋に向かう頃にはまた晴れ間が覗いていたが、あいにく名物のマイター・ピーク(Mitre Peak:1692m)は霧に隠れていた。桟橋に着くと、久しぶりに人の群れに遭遇し、急に俗世間に引き戻されたような気分だ。そして、バスでMitre Peak Lodgeに移動すると、ここでは個室があてがわれ、ちょっとリッチな気分になる。しかし、シャワーを浴びて休息していると、また雨が降り始め、マイター・ピークはすっかり姿を隠してしまった。こうなったら、明日以降に期待するしかあるまい…

  その後、夕方からは完歩証の授与式があり、拍手喝采の中、参加者一人一人に手渡された。そして夕食後は最後の団欒となったが、54kmも歩き通しただけあって、皆一様に満足そうだ。やがてピアノに合わせて歌が始まり、「カントリー・ロード」やビートルズの定番などを気持ち良さそうに歌っている。続いて即興のダンス(足だけ)も始まり、"Hey, come on, Japanese!"NZの家族に誘われて、日本人の皆も加わって、結局消灯まで踊れや歌えやの大騒ぎとなった。

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