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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2000-2001
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

5.美しき森を抜けて (2000/12/28:曇時々雨後晴

 一気に突き放す

  ツアーも2日目に入り、この日はクリントン渓谷(Clinton Valley)の中腹にあるポンポローナ・ロッジ(Pompolona Lodge)まで、歩行距離にして16kmと、いよいよ本格的なトレッキングとなる。朝起きると、心配していた雨も止みかけており、思ったよりも良い状態でスタートを切ることができた。

 9時前にグレイド・ハウスを出発し、クリントン川に架かる吊り橋を渡って、しばらくは昨日歩いた原生林の中を進む。川沿いに、ブナの生い茂る森の中を快調に歩いていくが、この間、曇ったり晴れたり雨が降ったりと、天候の変化が目まぐるしく、雨具は手放せない。

  私は早めにスタートして、集団を一気に突き放す戦法に出た。すると、これが功を奏したのか、晴れ間が覗いた時などに写真を撮っていても、人とすれ違うことはほとんどなく、邪魔されることもない。このコースでは、ガイドが3人、先頭と中間と最後尾に着くが、歩くペースは参加者各自の自由で、何ら指示されない。しかも、コースを外れるのも自由で、その際はコース上にザックを置いていけば良い(それによりガイドは人数を把握する)のである。日本のように、ガイドに従って一糸乱れぬ隊列をなして進み、コース外への立ち入りが禁止されている所とは対照的だが、私のように美しい景色を見るためには労苦を厭わない人間にとっては、こちらの方が(自己責任のもとでの)自由がきくので、嬉しい限りであった。

Wood and moss
緑豊かなミルフォードの原生林

Wood and green
倒れかかる木と森の調和

Mt Anau
クリントン川とアナウ山

  そうこうするうちに、昨日歩いた道の先に進み、まもなくウェットランド・ウォーク(Wetland Walk)として知られる湿地帯へ行く分岐が現れた。既にザックがいくつか置いてあったが、居合わせたガイドが勧めるので、せっかくなので寄ってみる。たかだか10分程度の寄り道だが、ここには美しい緑の森と赤茶けた湿地が広がっており、独特の景観をなしている。しかも、最後にはクリントン渓谷の展望まで望め、寄り道した甲斐があった。

Wetland
ウェットランド・ウォークの湿地帯

The end of Wetland Walk
ウェットランド・ウォーク終端からの眺め

 クリントン川に沿って

  分岐点に戻り、しばらく進むと、フリー・ウォークの宿泊場所、クリントン・ハット(Clinton Hut)入口に到達する。ここには美しいコケの群生が広がっており、まるで自然の日本庭園のような佇まいだ。その先は、基本的にクリントン川に沿って比較的平坦な道を上っていくが、緑色がかったクリントン川が、時に激しく、時に緩やかに流れ、それと深い緑に包まれた原生林、時折見られる雪山の展望とのコントラストなど、見るものを飽きさせない展開である。

Moss at Clinton Hut
クリントン・ハット前のコケの群生

View of Clinton River
激流のクリントン川

Gentle Clinton River
緩やかに流れるクリントン川

Green forest
川岸の原生林

  クリントン川の分岐点であるカカポ・ポイント(Kakapo Point)の辺りからは、北にミケルソン山(Mt Mitchelson:1939m)方面もかすかに望めるなど、天候も回復してきて、美しい景色がそこら中に広がっていた。これはチャンスとばかりに、私は所々で寄り道をするようになり、絶景の撮影に勤しむ。そのため、それまでは先頭の方にいたが、健脚のスチュアートや中年日本人女性2人などに遅れを取るようになっていった。

Unnamed waterfalls
名もなき美しい滝

Clinton River at Kekapo Point
ミケルソン山方面とクリントン川

 原生林を抜けると、氷河に削られたフィヨルドのU字谷が露わになってきた。道の両側には高さ1200mに及ぶ断崖絶壁が迫り、そこからは数百m級の滝が無数に流れ落ちている。この壮大な景観に圧倒されながら歩いていると、前に、見慣れぬ日本人夫婦が休憩を取っていた。聞けばフリー・ウォークで来ているとのことで、中高年ながら重い荷物を担いで歩いているという。私もそこで一時休憩し、荷物を置いて川原に向かってみることにした。

  すると突然、前方が開け、両側に万年雪を冠する山々が連なっているではないか。その中心には、20数km先のマッキンノン・パス(Mackinnon Pass:1073m)まで見通せる。霧も少しずつ晴れてきており、絶好の景色であったので、出発しようとする頃に現れた日本人参加者にも、この景観ポイントを教えて先に進んだ。

  すると、今度は1980年代初期に起こった地滑りにより、川がせき止められてできた池が現れた。前方の奇怪な木立とU字谷の景観が見事だ。ここでも絶好の撮影ポイントを見つけたので、後から来た日本人参加者にその場所をまた教えていき(それがまた後続の参加者にも伝わっていく)、まもなく昼食場所であるヒレレ滝(Hirere Falls)の小屋に到着した(ちなみに、先を行っていた日本人中年女性2人は、ヒレレ滝の小屋に気づかず進み、皆が昼食を食べている頃にポンポローナ・ロッジに着いてしまったらしい)。

Clinton Valley
クリントン渓谷の眺め

Misterious pond
地すべりでせき止められた奇怪な池

Woods near Hirere Falls
ヒレレ滝付近

 ボランティア・ガイド?

 昼食を取った後は、原生林の中に入ったり、外に出て壮大な景色を眺めたりと、平坦なわりに変化に富んだコースが続く。天気も晴れ間が多くなり、非常に気持ちの良い「散歩」になった。とりわけ、ここ数日の雨の影響か、崖から名もなき滝が数多く流れている。こんな景色は日本ではありえないな、などと感動を覚えながら、先を行っては寄り道し、後から来た人に寄るべきところを教えて、また先へ行く、というパターンが続いた(そのため、同行の日本人参加者から、いつの間にか「ボランティア・ガイドさん」などと呼ばれていた)。

Great waterfalls
名もなき名瀑

Waterfalls to Hidden Lake
ヒドゥン湖に流れ落ちる滝

  また、マーリンズ・クリーク(Marlene's Creek)と呼ばれる小川の跡をはじめ、この辺りは沢の渡渉が多いので、場合によっては膝下まで浸かることがあるらしいが、幸いにもこの日は雨が止んだので、そのような憂き目に遭うことはなかった。ところが、油断して雨具を脱いで歩いていると、宿の近くになってまた雨が降り出してきた。私はそれほど降られないうちにロッジに着いたので、一安心であった。

Clinton River
クリントン川中流域

  ロッジでは、いたずら好きの鳥・ケア(Kea)の出迎えを受けるが、これが靴さえ持っていってしまう厄介者なので、通路には何も置かないようにしなければならない。さらに、荷物を部屋に持ち込んで気づいたのだが、このロッジは通路が雨さらしになるため、スリッパを持ってこなかった者には非常に面倒である。私は、スリッパなどいらないだろうと甘く見ていたので、仕方なく、部屋から出る度に登山靴に履き替える羽目となったが、これは誤算であった。

  ところが、シャワーを浴び、洗濯等をしていると、やがて天気が回復し始め、夕方には快晴になっていた。フィヨルドランドに入って、初めてといって良い申し分ない天気だ。そのため、今のうちにコースのハイライト、マッキンノン・パスに行きたい衝動に駆られたが、このコースは宿泊地が固定なので、そのような真似はできない。しかし、夜になっても快晴で、空は夜9時過ぎでも昼間のような明るさであった。これは徐々に天気が回復している証だと信じ、明日の峠越えに期待を膨らませた。

View from Pompolona Lodge
ポンポローナ・ロッジからの眺め

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