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旅巧館旅行記オセアニアNZ Walking Journey 2000-2001
ニュージーランドの国旗

旅行記:ニュージーランド (NZ Walking Journey)

2.疑わしき景観 (2000/12/25:雨時々曇

 マイナーなフィヨルド行

  今回の主目的地は、クィーンズタウンからさらに西に入ったフィヨルドランドという地域である。フィヨルドとは、氷河の侵食により生まれた谷(氷食谷)に海水が入り込んだ入江を指すが、この地域には大きく15の入江(サウンド)があり、海岸線は内陸深くまで複雑に入り込み、切り立った断崖絶壁が直接海に落ち込む独特の地形となっている。U字谷に削り取られた渓谷、険しい山稜、数多くの氷河湖や滝、太古の原生林など、ニュージーランドで最も変化に富み、豪快で神秘的・幻想的な自然を形成しているという。

  そのため、当然のように世界遺産にも指定されており、正確にはテ・ワヒポウナム(Te Wahipounamu)として、フィヨルドランド国立公園(Fiordland National Park:125万7000ha)のほか、マウント・アスパイアリング国立公園(Mount Aspiring National Park:35万5518ha)、ウエストランド国立公園(Westland National Park:11万547ha)、マウント・クック国立公園(Mount Cook National Park:7万13ha)という4つの国立公園を含めたエリアとして登録され、多くの観光客を惹きつけて止まない。その中でも、ミルフォード・サウンド(Milford Sound)はNZを代表する景勝地として有名だが、この日は移動も兼ねて、ダウトフル・サウンド(Doubtful Sound)に向かうツアーに参加する。

  ダウトフル・サウンドはミルフォード・サウンドと並ぶフィヨルドランドの景勝地だが、ややマイナーな感は免れない。クィーンズタウンからのツアーでは、ミルフォード・サウンドへは日本人の団体客を中心にバス2台で向かったのに対し、ダウトフル・サウンド行はわずか6人。しかも、偶然バスの調子が悪いとかで、急遽ミルフォード・サウンド行のバスに途中まで同乗することになったが、こちらには日本人のガイドも付いて、道中、懇切丁寧に日本語で説明していた(余談だが、ああいうのを見て、他の国の人はどう思うのだろう?)。

Sheep in New Zealand
大平原と羊の群れ (NZの牧歌的風景)

 2時間ほど走って、ミルフォード・サウンド行と分かれてマナポウリ(Manapouri)に向かい始めると、天気が怪しくなり、不安は募るばかりであった。しかもこちらは日本人が少なく、結局私を含めて2人しかいない(全体では50人ぐらい)ので、別の意味での不安が募らざるを得ない…

 クルーズ開始

  ダウトフル・サウンドへは、テ・アナウの南にあるマナポウリからクルーズで45分ほどかけてマナポウリ湖(Lake Manapouri)を横断し、ウェストアーム(West Arm)からバスに乗り換えて1時間ほど走り、ようやく入口のディープ・コーブ(Deep Cove)に到着する。途中、マナポウリ湖では霧が濃くて景色はろくでもなかったが、バスに乗ってからは所々晴れ間も覗き、断崖の中にモス・ガーデンズ(Moss Gardens)と呼ばれる色鮮やかなコケの群生や、クリーブ・ガースの滝(Cleve Garth Falls:365m)を始めとしたいくつもの滝を眺めることができ、ウィルモット峠(Wilmot Pass)からはダウトフル・サウンドが望めたので、思いのほか楽しめた。おまけに、バスで隣りになった人が以前春日部に住んだことのあるウェールズ人で、多少会話をすることもできた。

Cruise ship at Lake Manapouri
ダウトフル・サウンドの船 (マナポウリ湖畔)

Cleve Garth Falls
クリーブ・ガースの滝

Doubtful Sound from Wilmot Pass
ウィルモット峠から見たダウトフル・サウンド

Lady Alice Falls
レディ・アリスの滝

 そして、いよいよダウトフル・サウンドのクルーズが始まった。海に直接つながっているためか、波が多少高かったが、晴れ間が覗いたり大雨が降ったり強風にあおられたりと、景色だけでなく天候も変化に富んでいる。

  この辺りは、かつて氷河によって削られてできた地形だけあって、両側には大きな山が聳え、写真に撮るのが困難なほどの壮観な景色が広がっている。かつてキャプテン・クックが「怪しげな入江だ」と言って船を進めなかったというのも納得で、海岸線は複雑に入り組んでおり、全長は160kmにも及ぶという。また、その地形ゆえ滝も大小様々であり、それがツアーの魅力の1つでもある。

  ディープ・コーブを出発するとまもなく、北側にレディ・アリスの滝(Lady Alice Falls)が現れ、まるで我々のクルーズを歓迎するように美しい流れを見せてくれる。やがて左折してホールアーム(Hall Arm)を進むが、進入するにつれて霧が濃くなり、しまいには大雨になってしまった。何物をも寄せつけぬ怪しげな雰囲気が広がる中、船は引き返し、ダウトフル・サウンドの湾口を目指して進んだ。

  ところが、マラスピーナ・リーチ(Malaspina Reach)を通ってタスマン海(Tasman Sea)に近づくにつれて晴れ間が多くなり、極めて気持ちの良いツアーとなった。例えて言うなら、北海道・知床の海岸線遊覧のスケールを数倍に拡大した感じだろうか。とにかく非常にスケールの大きな景色が、静寂の中で楽しむことができるのである(日本人はなぜミルフォードばかりに集まるのだろう? この偏りは不思議でならない)。

Malaspina Reach
マラスピーナ・リーチを抜けたところ

Marcaciones Point
マーカキオンズ・ポイントより

Nee Islets and Tasman Sea
ニー小島とタスマン海

  そして、少し開けたマーカキオンズ・ポイント(Marcaciones Point)ではすっかり晴れ渡り、先ほど縫うように進んできたフィヨルドの山々が綺麗に見渡せるようになった。また、近くのグロノ湾(Grono Bay)には伊勢エビの捕獲地があり、その先にはペンギンが来ることもあるという(あいにく対面することはなかったが)。しかし先端のニー小島(Nee Islets)まで進むと風が強くなったので、引き返して元の航路を辿っていった。

  しばらく進むと曇りがちになったが、先ほど視界の効かなかったホールアームも幾分天候が回復し、ダナエ山(Mt Danae:1509m)とクロウフット山(Mt Crowfoot:1695m)に挟まれた急峻のU字谷を堪能することができる。そして、最後に日向ぼっこをするオットセイも観察し、結局3時間ほどかけて回遊したが、実に見所満載であった。

Entrance of Hall Arm
ホールアーム入口

Hall Arm
ホールアームの中心部

Fur Seal at Doubtful Sound
ニュージーランド・オットセイ (休憩中)

 NZスタイルに変身

  帰りには、ウェストアームでマナポウリ発電所を見学し、行きはろくでもなかったマナポウリ湖で景色を眺めたりしながら、無事マナポウリに帰着。その後、今度はテ・アナウ行のバスに乗り換えて、6時半にはテ・アナウにやって来た(クィーンズタウンを7時に出発したから、11時間半もかかったことになる)。

 テ・アナウに着いてからは、 まず今日・明日の宿となるB&BShakespeare Houseに向かい、落ち着いたら翌日以降お世話になるコロミコ・トレックに連絡して、事前ガイダンスを受ける。そこで装備をチェックされるが、今回は時間がなかったこともあって、靴とザック以外は特段用意しておらず、これでは駄目だと、備えの不十分さを指摘されてしまった。

  NZでは、ポリプロピレンの下着を上下に着て、その上にTシャツと短パンをを履くのが定番のスタイルになっている。そこでその格好を勧められるが、日本で着たら奇異な目で見られかねない格好に、正直抵抗が…しかし、社長の平野さんの熱烈な売込みに根負けし、ついにNZスタイルの下着と手袋、虫除け剤を購入(必要なら現地で調達するつもりだったので問題ないが)。そして、NZでのトレッキングの心得をいろいろと聞かせていただいた。

  こうして、食事を済ませて帰ったのは9時過ぎだったが、まだ外は明るく、晴れていると昼間と見間違えるほどの青空だ。しかし、ここ3~4日はずっと不安定な天候が続いており、3日に2日は雨が降る地域とはいえ、これだけ連続して天気が悪いのは珍しいという。今日は運良く肝心なところで晴れてくれたので良かったが、今後どうなるか、少々不安であった。

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